怖い話のウラ話・第10話「心霊写真のあの人は」
最近、心霊写真なんか流行らないなぁとか?
ちょっと前まで、夏と言えば必ず心霊写真特集が雑誌を賑わしたものです。あの〈心霊写真〉と呼ばれるものは、いったい、何だったのでしょう?
心霊写真は、心霊的なものが写り込んだ写真のことです。的なものなので、本物の霊が写っているかどうかは分かりません。たとえば、写真の中に手が多いとか、あるいは、足が消えていると言った写真も含まれています。これはいったい何の霊なのでしょうか? いずれにしても、普通の状態ではない物を〈心霊写真〉と呼んでいるようです。
中には、
「そこには誰もおらへんかったし」
と称して、ただの勘違いな写真もあります。
ちょっと不気味な感じに写ったものは、みんな心霊写真だと言われた頃もありました。これでは見た目の印象に過ぎません。本物かどうかの基準もありません。
赤い、あるいは白い光が被っているだけで、
「これは○○の霊が……」
と言う、怪しい自称霊能者もいます。果たして本物でしょうか? 良く写真を見てください。カメラの故障か写り具合による偶然の産物かもしれません。
人の目は8分の1秒くらいないと見た物を認識することが出来ません。しかし、カメラは人間が見る世界の、さらに10分の1以上の短い時間を写しているのです。見た目と写真が違うのは当然のことです。同じである筈はありません。もちろん、本物の心霊写真が、まったくないと言いはる訳ではありません。目にする数は極めて少ないだけです。
心霊写真は、カメラの発達とともに世の中に出回りました。しかし最初の頃は現像所のミスだと考えられていて、よほどのことがない限り出てきませんでした。
それがです、自動現像機の発達とともに大量に出回るようになったのです。その中には、ただの撮影ミスや、現像ミスまで含まれていました。しかし、見た人が見分けられないため、何もかも〈心霊写真〉としての扱いを受けてしまいました。そして、その頃に流行った多くの雑誌に、エセ心霊写真が載せられ、世の中に広まってゆくのです。
なお、心霊写真に関しては近世百物語・第六十三夜「あれこれの心霊写真」にも書いています。
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