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怖い話のウラ話・第12話「都市伝説はやがて」

 この世には、たくさんの怖い怖い都市伝説があります。多くは、ただのヨタ話です。しかし実際に、恐怖の的となるものもあります。怖ろしい伝説は、恐怖の気持ちがつのって現実を作ります。そうなると、噂話に過ぎなかった物事が、にわかに動き出して、世の中に被害をもたらします。
 まるで、嘘から出た真実まことのようなお話です。
 口避け女なんぞは、その良い例です。あれは作り話で、ただの噂でしたが、いつの間にか現実世界を恐怖に巻き込みました。当時の小学生は集団登下校したくらいの騒ぎになりました。
 都市伝説が現実を作るのは、どのような場合でしょうか?
 それは、怖さの度合いによるのです。怖ければ怖いほど、早く現実になります。また、必ず人の五感を刺激する要素がなければなりません。
 怖い話で刺激を受けた脳は、その物語を真実であると判断します。この錯覚をする人が増えれば増えるほど、脳は現実を作ろうとするのです。正確に言うと、脳の集まりである〈集合的無意識〉が未来を生み出す力を持っているのです。
 集合的無意識には様々な力があります。何も怪談ばかりを現実にするのではありません。良い噂は〈流行り神〉を生み出します。また、懸賞の締め切りが近くなると正解者が増えることが知られていますが、これも集合的無意識の持つ力のひとつです。
 厳密に言うと、呪いや生霊も、集合的無意識の力が現実化した物事です。すべての物事は、何らかの形で現実化しようとします。これは、脳が考えた物事ではなく、脳が感じた物事がまず優先されます。その違いは『不幸のすべて』に詳しく書いていますので、そちらを参考に……。

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