プレミアリーグシーズンレビュー  12〜15位編

前回の記事も是非ご覧下さい。
https://note.com/karin_0921/n/nad977f7b960c

今回は勝ち点40台中盤に終わった15位セインツから12位ニューカッスルまでです。苦しんだ要因は何だったのか。

サウサンプトン(15位 勝ち点43)

・ジェットコースターの要因

序盤戦は一時首位に立ったセインツ。その後は9試合未勝利を経験するなど浮き沈みの激しいシーズンになった。その要因として、消耗の激しいスタイルを標榜していたことが挙げられる。好調時は4222でコンパクトに戦い、局地的な数的優位とスピードで襲い掛かる、という自分たちの土俵で戦えていた。見逃せないのは、CBとCH中心に保持の時間も作れていたこと。(守備の時間を減らす/消耗を防ぐ)アームストロングのCH起用がハマった要因もそこにある。

不調時にはプレスを無効化され、押し込まれると保持・前進が安定せず脱出出来ないという弱点を晒すことになった。

・南野拓実

ザルツブルグでもプレーした日本代表のエースはここで苦しむことになった。要因としては守備に追われる時間が長かったこと、そしてその守備もハードワークしていたがポジショニングが決して良いとは言えず、消耗したところで攻撃にパワーを割けなかった。

もちろんチームの状況も悪かったが、レドモンドやテラのような攻撃面での貪欲さを見せて欲しいところであった。

クリスタルパレス(14位 勝ち点44)

・序盤戦の442

開幕連勝スタートとなったパレス。前年の451から442にシステムを変更。ザハをゴールの近くに配置すること、そしてマッカーシーのボール奪取能力を活かすことが念頭に置かれていたように思う。しかし、左SHにエゼを起用するようになると守備面での粗さが目立つようになる。

今季のパレスはエゼの加入とリーデの重用により、即興的に魅力的なパス交換をする場面も見られる一方、堅いブロックは失われ(かと言ってハードなプレッシングも敢行しない)、大敗する試合も増えてしまった。

・451への回帰

終盤に向かうにつれ、エゼをインサイドハーフに配置し、ザハが左サイド、トップにベンテケというゲームが増える。アンカーのルカがフォームを取り戻したこと、基準点としてのベンテケが復調してキーマンになったことは高く評価したい。しかし、当然相手からすればパレスの左サイドは攻略しやすく、そこをビルドアップの出口とされるとなす術がなく失点を重ねることとなった。

・来季は、、、?

執筆時点でも監督は未定。複数の主力の去就も不透明。ファンだからこそ気を遣うことなく言ってしまうが有力な降格候補だ。能動的でハイインテンシティなフットボールなど求めないので堅い442ブロックをまずは再生させ、セットプレーを改善できる指揮官を求む。

ウォルバーハンプトン(13位 勝ち点45)

・3バック、4バック

ここ2シーズン安定した成績を収めていたウルブズ。さらなる進化のためには得点力アップが必要になる。であればCBを1枚削って中盤を増やしたいと考えるのも分からなくはない。(幸い、サイスもデンドンケルもユーティリティープレイヤーだ。)

しかし、1枚増えた中盤は単にスペースを消してスローな展開にしてしまうだけで、トラオレやネトの質的優位から逆算して有効とは言えなかった。むしろ、押し込まれた時の耐久力に欠けた。(これはシステムの問題というよりボリのパフォーマンスの問題かもしれない。)

・ヒメネス

今季の彼らにとって彼の離脱は大きすぎた。彼が担っていたポストワーク・フィニッシュワークの質は非常に高く、穴埋めをするのは不可能に近い。ウィリアンジョゼは結局何が特徴かすら伝わらず、ファビオは時折巧さは見せるが安定性や強さには欠ける。

新監督のスタイルはわからないが、ヒメネス・ポデンス・ネト・トラオレと言った個性豊かなアタッカー陣をどう活かすのか。その設計が楽しみだ。

ニューカッスル(12位 勝ち点45)

・とにかく個

パレス、バーンリーと同じ括りにされがちなチームだと思っているが、このチームが最も自由さを感じる。フィジカルを前面に押し出しハードに戦う一方、攻撃ではアルミロン、サン・マキシマン、カラム・ウィルソン、フレイザーと言った個性豊かな強烈な個が襲い掛かる。

ハードなスタイル故(?)けが人が多発し失速するとブレーズに初勝利を献上してしまう。

・攻撃志向の4312

グディソンパークでの勝利以降、システムを変更。本来の位置であるトップ下に配置され、さらに前方に2つの選択肢を与えられたアルミロンが中心に。結果に繋がるまで時間はかかったがよりゴールを目指す姿勢は高まった。

・ウィロック劇場

残留争いが佳境に入ったバーンリー戦、そして格上相手のハマーズ戦、リバプール戦、レスター戦では5バックに戻してポイントを獲得。この後も含めて連続得点を挙げ続けたのはウィロックだった。BtoBのプレーヤーでゴール前に遅れて、しかし絶妙なタイミングで攻め上がるウィロックは得点を量産。オープンな戦いを好む中堅チームに打ってつけのタレントと言えるだろう。


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