日本アニメの乳揺れの歴史

日本アニメの乳揺れの歴史

 乳揺れ:おっぱいが揺れる様。またその表現。

 *はじめに

 今日のアニメでは当たり前のように揺れ動くおっぱい。2000年以降、乳揺れのあるアニメは枚挙に暇がありませんし、乳揺れにトコトンこだわったという作品(『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』(2010年))や乳揺れフェティシズムを前面に押し出した作品(『いっしょにとれーにんぐ TRAINING WITH HINAKO』(2009年))が存在するほど、その表現は定着しています。また不知火舞、SRWシリーズ、デッドオアアライブシリーズを代表とするゲームでも、乳揺れは珍しいものでは無くなっています。
 さて、みなさんは、この表現が沢山の偉人による偉業のおかげということをご存知でしょうか? その歴史的偉業は各所で折に触れ語られますが、本稿もその一つとして筆者の知る限りの説をお伝えするものであります。

 *宮崎駿と乳揺れ――発見

 乳揺れの歴史を紐解くためには、『風の谷のナウシカ』(1984年)まで遡ります。そう! 乳揺れの歴史のパイオニアは、今も燦然と輝く世界の巨匠、宮崎駿氏だったのです! 『風の谷のナウシカ』の製作中、宮崎駿氏はナウシカの動画を描く為に、女性の動きを観察していたらしいです。そこで、宮崎駿氏は歴史的な発見をするのです。
 女性が体を動かす時、同時におっぱいも動いているという発見を!
 これぞまさに、アニメの乳揺れの歴史の始まりでした。実際に『風の谷のナウシカ』では、アスベルがナウシカを助けようとするシーンにて、乳揺れを確認することができます。
当該シーンについて、『新世紀エヴァンゲリオン』の監督の庵野秀明氏は次のように述べています。

 “ナウシカの胸の揺れ方が素晴らしい。女の子の胸を最初に揺らしたのは宮崎さんじゃないかと思う”
 (『風の谷のナウシカ』【音声特典】●オーディオコメンタリー:庵野秀明(原画担当)×片山一良(演出助手))

 このように、乳揺れという表現の発見者は宮崎駿氏でありますが、初の乳揺れアニメは『風の谷のナウシカ』では無い、というのが世間一般の認識です。これはいったい、どういうことなのでしょうか? 庵野秀明氏の「女の子の胸を最初に揺らしたのは宮崎さん」という発言と世間一般の認識の溝はなんなのでしょうか? それは、長編アニメーションと短編アニメーションの制作期間の長さの違いに秘密がありました。

 *貞本義行と乳揺れ――初公開

 『風の谷のナウシカ』に原画で参加していた庵野秀明氏(巨神兵が崩れ落ちるシーンを手がけたことは有名)は、宮崎駿氏から乳揺れの発見を聴き、それを当時から親交があった貞本義行氏(『新世紀エヴァンゲリオン』キャラクターデザイン)に伝えます。そして、その発見を実際にアニメで表現したのがガイナックスの前身であるDAICON FILM制作の短編アニメーション『DAICON IVオープニングアニメ』(1983年)での女の子がガッツポーズをとるシーンでの乳揺れです。このシーンこそが世間一般で認識されている、初の乳揺れアニメなのです。つまり、乳揺れアニメーションの始まりの流れは次のようになります。

 『風の谷のナウシカ』の制作中に発見→『DAICON IVオープニングアニメ』の制作→『DAICON IVオープニングアニメ』が1983年に公開→『風の谷のナウシカ』が1984年に公開

 この長編アニメーションと短編アニメーションの制作期間の長さの違いにより、乳揺れ発見と制作の初は『風の谷のナウシカ』の宮崎駿氏であるが、初の世間に公開された乳揺れアニメは『DAICON IVオープニングアニメ』という混乱が生じてしまったのです。
 ちなみに、この偉業を称え貞本義行氏は「乳揺らしの貞本」とまで呼ばれることになります。このシーンは原画で描かれていなかった胸の動きを、動画担当だった貞本義行氏が動きを足して揺らしたというんだから、貞本義行氏の功績は計り知れませんね。

 *ガイナックスと乳揺れ――最前線

 ガイナックスはその後、『王立宇宙軍』(1987年)の女性を襲うシーンを皮切りに、『トップをねらえ!』(1988年)『おたくのビデオ』(1992年)と、乳揺れの最前線に立ち、とにかく乳を揺らしました。その中でもエポックメイキングな作品は昔の『げんしけん』こと『おたくのビデオ』です。作画監督であった本田雄氏がが描いたといわれる乳揺れは、当時衝撃と共に受け入れられ、これにより、乳ゆれが爆発的に広がることになります。なお、本田雄氏はやたらうまくオッパイを描く人でしたが、それと共に体重移動作画の凄い人であり、現在ではスーパーアニメータとして第一線で活躍しています。『崖の上のポニョ』(2008年)のロマンアルバムに掲載されている本田雄氏の原画のページには、他人を褒める事が少ないことで知られる宮崎駿氏の賛辞が載っており、乳揺れをめぐる偉人の因果を感じずにはいられません。

 *プラスチックリトルと乳揺れ――標準

 『おたくのビデオ』以降、乳揺れがあるアニメは沢山ありますが、その中でも現代のスタンダードの乳揺れを作ったのがうるし原氏原作・キャラクターデザイン・作画監督・演出、よしもとさん原作・監督のOVA作品『プラスチックリトル』(1994年)です。WEBアニメスタイルにて小黒雄一郎氏が「質的にも量的にも、圧倒的なオッパイの描写だ」(第16回 オッパイと芸術)と述べているように、その乳揺れシーンは筆舌につくし難い程、官能的で優美なものでした。また、小黒雄一郎氏は同コラムにて、次のように絶賛しています。

 “風呂場シーンの中でも圧巻だったのが、入浴前にティータがイリーズの服を脱がそうとした時の数カットの、胸の揺れである。柔らかく、ぶるんと揺れる。僕が演出家やアニメーターの友だちと、『プラスチックリトル』を話題にする時に、焦点となるのが、その数カットなのだ。皆が「あの揺れは凄い」と言う。中には呆れ気味に「凄い」と言う人もいるが、それはこの際、忘れておこう。アニメ史上空前にして絶後の「揺れ」である。作画マニアとかでなくても、多くの男性がこの動きを観たら「おおっ」と思わず声が出るに違いない(と思う)。僕のアニメヒストリーの中で「インパクトのあったカット ベスト10」を選べといったら、きっとこのカットも選ぶはずだ。”
 (WEBアニメスタイル 第16回 オッパイと芸術 http://www.style.fm/as/05_column/animesama16.shtml)

 *ムテキングと乳揺れ(?)――審議

 なお、疑念はあるものの、実は『DAICON IVオープニングアニメ』(1983年)以前に乳を揺らしたアニメがあります。それは1980年9月タツノコプロ制作の『とんでも戦士ムテキング』第14話「新ヒーロー? 女性ムテキング」での、ムテクイーン登場のシーンです。ただ、最初に述べたとおり、このシーンが本当に乳揺れと言っていいのか、疑問の余地があります。該当シーンでは、ボインという歌詞と共に乳房が上下に揺れるのですが、これはただ乳房が単独で揺れるだけなのです。乳揺れの大きなポイントは、身体的な動作に伴い、乳が揺れてしまうことにあります。そういう意味では、乳揺れとは言えないかもしれませんが、アニメーションとして乳が揺れていないかといえば、確かに揺れているのです。また、友人から得た「乳揺れは戦前アニメの黎明期からあったらしい」という不確定情報もあり、乳揺れの始祖に関しては諸説あると言わざるをえません。なので、本稿はあくまで、諸説ある中の一つだということをここに付記させていただきます。

 *むすび

 本稿では、日本アニメの乳揺れの歴史として、『とんでも戦士ムテキング』(1980年)から『プラスチックリトル』(1994年)までの、主に乳揺れ黎明期について、mattune氏をスペシャルアドバイザーに据え、karimikarimi執筆でお送りさせていただきました。本稿が貴方の乳揺れライフの一助になれば幸いでございます。