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人生でほんとうに大切なものは

時として。
心で感じることは、疲れる。
言葉や見えるもの以外で感じとるには、五感を使わなくてはいけないから。

たいせつなものは目には見えない。
そうだ、そうだけれど。
自分の心にかかってるフィルターが、どんなものかも知っていないとならない。
そうしたって主観以外の何物でもなくって。

怖かったんだ。
心で感じていたことが、いつか間違いだったとまた知るのが。
その時に、開いていた心には傷が残る。
違うものを見ていた、その時間は戻らないから。

いつしか、心に鍵をかけた。
言葉や、条件や、表面的なものでふるいにかけて、間違わないように、傷つかないように。
けれど結局、また同じ傷を負ったりする。
そんなふるいは役に立たないとわかっているのに、陳腐な防具を手放せなかった。

ボサノヴァのスタンダード曲のひとつに、Meditação(瞑想)という歌がある。

愛や微笑みや花に夢を見た人は、そのうつろいやすさに傷つく
そして心を閉ざし、悲しみ、孤独の中で道を選んでしまうんだ
幸せな日々があることを、想像することもできずに……
けれど、泣いて、泣いて、涙が枯れるまで泣いた人は
また愛や微笑みや花を信じられた時、全てに出会うんだよ
愛の道を見つけることができる
そうして悲しみは、本当に終わるんだ

Meditação (words: Newton Mendonça)

ちょっと意訳だけれど、なんて深いんだろうと思いながら、歌っている。


泣きながら、痛みを背負いながら歩いた先に、光は見える。

わたしは、自分にはとても良い点数はあげられない。
知らないことも、できないコトもたくさんありすぎて、いつももがいてる。
「自己肯定感」は心のお庭で育てている途中だけれど、しょっちゅうシナシナになってくたびれちゃうし。
プレッシャーを感じるとわたしはすぐ先延ばしにする癖が出るから、何が不安なのか怖いのかを分析するようにはなった。
しかし人生を賭けて壮大に先延ばししているものも、正直ある。そろそろその恐怖感を壊さなくてはならない。

簡単に改善できたなら、わたしはとっくに、もっといろんなものを手にしてきたに違いない、きっと。

30分ギターを弾くのがやっとの26歳でデビューが決まって、20年経った。
わたしが知り得たものはなんだっただろうか。

それはもしかしたら、

人生に必要なものは結局、勇気

ということかもしれない。今のところ(2023年6月1日と書いておこう)。

手放すのも
エイっと掴むのも
許すのも
ぶつかるのも

「あっ、スイカ美味しそうだな、買おうかな、まだ甘くないかな? えーい買っちゃえ!」
とか
「この服、派手かな…でも綺麗な色だし着てみたい」
みたいな日常だって勇気を使ってる。その連続でできてる。

いいお話をいただくと、どこかで「なんでわたしなんだろう、まだ全然ダメなのに。いいのかな、申し訳ないな」と思ってきた。
自分のジャッジとは全く関係のないところで、わたしの歌が良いと言ってくれる人がいることを、どうしても受け止めることができなかった。
勇気がなかったから。
こんなにまだまだなのに。身の丈にあってない、なんて。

見えないその先が、怖くて。

大人になるにつれて、その世界の難しさを知るようになるにつれて「勇気」には大きなエネルギーが必要になっていった。

20年も経って…。
ようやく、自分で自分をジャッジしすぎない、という術を会得しつつある。自分ではまだまだダメだなって思っていても、あなたにとお話をいただいた時は喜んでいいんだ、って。
わたしが良いと思ってくれたのだから、勇気と感謝を持って受け取ろう。
なにを言われても、淡々と努力を続けるしか、ないのだから。

そんな風に、少しだけ、来た波にのれるようになってきた気がする。
それはなんだかちょっと、楽しいみたいだ。

アプリがバージョンアップしていくように、
本が改正版で修正されていくように、
わたしもバージョンアップしていけるように。
最初から全てなんてできないのだから。
きっと、ずっと勉強なのだから。
少しずつ、少しずつ。

自分はまだまだできない、いい点数はあげられないと思っていてもいい。
ただ自分の内側と、外側にあるものと分けておくと良いのかもしれない。

誰かが差し伸べてくれる手を掴むこと。
夢に向かって踏み出すこと。
居場所を変えること。
自分を信じること。
誰かを愛すること。

勇気には、エネルギーがいる。
だからできる時に。ちょっとだけ、前へ。ちょっとだけで良いから。
自分をステキな場所に連れていってくれる力は、それ以外にないのかもしれない。

もしもまた泣いても、その先にはきっと光が見える。
正解がわかるのはきっと、寿命のころかもしれないけれど。

忘れないでおきたいから、今日のnoteをつづったの。

ほんの少しの勇気。

それは、たくさんの道に繋がるドアの、いちばんの鍵だって。



Karen Tokita
~デビュー20周年&フォトエッセイ出版記念~
波を感じるボサノヴァライブ

2023年 7月 19日

場所:渋谷Jz Brat sound of Tokyo
(渋谷セルリアンタワー2F)

開場18:00 / スタート 19:00 (途中休憩あり、終演予定21:30)

料金▶︎ 予約7500円 / 当日8000円
(いずれもフォトエッセイ付き)※お食事代別途

Karen Tokita(ボーカル&ギター)
泉 あや(フルート)
とくだまゆみ(ピアノ&オルガン)
RINDA☆(パーカッション)
今給黎 久美子(ベース)
服部正美(ドラム)
一色春香(音響)

ご予約はこちらへ


ボサノヴァ・シンガーKaren Tokitaの今夏はデビュー20周年。
遅めのバースデーと、初のフォトエッセイの出版を兼ねた、トリプル・アニバーサリー、スペシャル・ライブ。

ミュージシャンたちが織りなす、花がふわりと開くような、優しく薫るボサノヴァの夜。試行錯誤しながら歩んできたその出来事を綴った、フォトエッセイ「歌って 恋して 生きてやる」(河出書房)がもれなく付きます。
ボサノヴァのリズムに包まれながら、ゆるやかに。あなたらしく、わたしらしく。

波に、風に、さあ乗って・・・。


★6月10日 沼袋オルガン・ジャズ・クラブ
ハモンドオルガンとギター2本、そしてボーカル。すっごく楽しみな組み合わせ!貴重はヴィンテージのオルガンの音色にワクワクしています(^^)お子様、学生料金もあります。15:00〜

★6月23日 阿佐ヶ谷スタッカート
がんや白血病を乗り越えてきたピアニストの旧友と、人生の旅路のようなライブを。みんなそれぞれの出来事を乗り越えて、今がある…ほんの少し前向きになれるような、優しいひとときを。19:30〜

詳細はKaren Webから!

サポートありがとうございます(^^) 機材購入費や活動費に、大切に使わせていただきます!