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15年好きだったけど振られた相手とふたりで会った日

高校入学の日に一目惚れしてから、なんやかんやずっと好きだったけど、2年前に意を決して告白して、振られたお相手。

その後、友人と数人で集まって顔を合わせる機会は多々あったが、今回は告白の日以来の、ふたりで会うこととなった。

お盆を間近に控えた平日。

2年前の夏に急逝した高校の同級生のお墓参りに行きたくて、親族の方にお墓の場所を尋ねた。

なかなか車がないと行きづらい場所で、友人を誘ってみんなで電車とバスで行けるのか、家族に送迎をお願いしてひとりで行くべきか、悩んでいた。

その時に、まず思い浮かんだ友人が、彼だった。

「お盆は帰る?」

何気なくLINEをした。

毎回、端的に用件だけをやりとりする彼らしく、帰る日程の返信がすぐに来た。

お墓参りの相談をすると、車を出すと言ってくれたので、不謹慎かもしれないが、彼の運転姿が見れるのか…と少し心躍りながら、甘えることにした。

当然ほかの友人も誘おうとなったが、あまりに直前だったので予定が合わず、あれよあれよという間にふたりで行くことが決まった。

当日、最寄駅まで迎えにきてくれた彼は、やっぱりかっこよかった。

地方赴任時代に営業まわりで車に乗っていたので、運転にも慣れていて上手だったし、運転席からスラッと伸びる長い脚が、かっこよかった。

あと、慣れた手つきのハンドル捌きも、横顔も、たまにこっちをチラッと見てくるのも、全部かっこよかった。(黙)

最初こそふたりきりの空間に緊張してしまったけれど、そこは友だち歴16年の仲。
あっという間にいつもの感じを取り戻し、近況や車窓の景色に花を咲かせた。

途中、話の流れでお互いに付き合っている人がいるか質問する流れになったが、告白を振った・振られた関係なので、ふたりの間にぎこちない沈黙が生まれたところは、なんだか甘酸っぱく感じた。

お墓の近くのスーパーで、お花を買った。
亡くなった友人らしい、淡いパープルの花を選んだ。

お墓には、数日前に誰かがお供えした色鮮やかな乾いたお花が残っていた。
そのカラフルなお花もまた、友人らしいなと思った。

お花やお線香の灰を片付けてから、私たちもお線香をあげようと、火をつけようとしたとき。

風が強くなって、マッチの火もすぐ消えてしまうし、ろうそくにも火が全然つかなくなった。

友人がちょっかいを出してきているのかもな、なんて感じていた。

彼はそのときも、マッチを擦ることやろうそくを持つことなど、サッと自分でやってくれて、危なくない作業の方を自然とわたしに分担してくれた。

そういうことが、当たり前にできてしまうところが、人間として好きなところなんだよなあ。

お墓に眠る友人には、「実は彼のことが好きだったんだ。今まで黙っててごめんね。応援してよ。」なんて心の中で伝えてみた。

話したいことがたくさんあって、何から話していいかわからなかったけど、3つくらいに絞って伝えられたと思う。

横で手を合わせてた彼は、長い時間手を合わせているわたしにタイミングを合わせてくれてたみたいで、それも微笑ましかった。

お墓からの帰り道、せっかく遠出してきたし、どこかに寄ろうかと話して、地元の小さな歴史館に寄った。

昔みんなで旅行したときのうっすらした記憶で、彼は美術館とか水族館とか、そういう展示系に興味のない人だと思っていたけれど、展示内容をちゃんと見て感じていて、意外な一面を見れた。

一方のわたしは、彼と束の間のデートのような時間に浮かれてしまい、展示内容なんてまったく頭に入ってなかった。

夕方になったので、片道1時間弱の道のりを彼の運転で帰った。

プレイリストに流れてくる曲当てをしたり、一緒に歌ったり。(彼はめちゃくちゃ歌が上手いので、ふと歌い出す彼の声がとても心地よかった)

恋愛、結婚、子どもの話もした。
わたしにしとけばいいのに、って何度喉から出そうになったか。

なんとなく、それを伝えるのは今じゃない、と第六感が働きかけてきたので、言わなかった。

楽しい時間はあっという間に過ぎた。

最寄駅まで送ってもらい、バイバイした。

車の中で話している時間も、スーパーでお花を買った時間も、お墓参りをしている時間も、歴史館をプラプラしている時間も、全てが自然で心地よかった。

やっぱり、なんでわたしを選ばないんだろうって思った。笑

恋愛とかすっ飛ばしていいから、結婚とか家庭とか考えて、わたしにしておけばいいのに!笑

未練があるかと言われれば、もうさすがにない、というのが本心だが、人間としても好きな人とふたりで過ごしたら、やっぱり心は動いてしまう。

淡い期待はもう抱いていないが、自分の気持ちには改めて気づいてしまった、そんなお盆だった。

(先日音信不通になったアプリの人とか、もうどーーーーでもよいなあ)

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