スクリーンショット_2018-09-26_18

綾瀬はるかと竹野内豊というベテラン俳優の中にある、新鮮な、最高級の魅力をきゅっと絞って圧縮したらこんなドラマ「義母と娘のブルース」

2018年7月〜9月クールのドラマ、最終回が出揃いました。今クールは作品数を控えめに抑えたのですが、見通した作品は粒揃い。素晴らしい作品に恵まれた夏だった!ただ、逆に見逃してしまった珠玉作があると知り、それについては悔しさに泣いています!まずは1作品。2作品並べようと思ったんですが無理でした。良すぎて!

▼火曜10:00『義母と娘のブルース』(TBS系) 主演:綾瀬はるか

何かもう超良かった。文句なし。って人、多いと思います。数字が表してます。視聴率11%から19%、ほぼ倍です。この結果、テレビに関する色々な「嘆き」を打ち壊したのではないでしょうか。視聴者側の嘆きである「いいドラマがない」。テレビ側の嘆きである「視聴者がキャストでしか見てくれない」。綾瀬はるか・竹野内豊・佐藤健、と人気もイメージも最強クラスのキャストを揃えた割には「それなりの視聴率」だった第一話。私も予告情報など確認しながらも、癖の強いキャラクターが挑戦を続けていく「パターン見えてる系」のドラマだろうと思い、期待も特になく。軽薄な予測を持って見始めました。

それが何でしょう。うっすい言葉で言えば「めっちゃ泣ける」。めっちゃ泣きました。そして「超心温まる」。めっちゃ心温まりました。ロボットみたいな亜希子(綾瀬はるか)、見てると不思議なほどに心動かされる。

何だこれは!素晴らしいじゃないか!誰の仕業だ!と改めて調べ直すと、脚本家は森下佳子氏。過去作品は「白夜行」「わたしを離さないで」「JIN -仁-」。綾瀬はるかの魅力を余すところなく引き出し切っている名脚本家ではありませんか。完全にノーチェックでした。軽薄な印象を持って見始めた私がクソ軽薄でした。ドラマファンとして認識が甘すぎる。死ぬほど反省しました。

綾瀬はるかが演じる亜希子は、ロボット的に完璧なキャリアウーマン。前半、彼女はほとんど表情を変えません。ほぼ能面。それなのに、きちんと表情が透けて見える。口元の動きを全く見せないままに、娘の可愛さに笑ったり、喜んだり、母として上手くやれないやりきれなさに悲しんだりする。それがほとんど目の表情オンリーで行われる。それがもう凄いし、凄いというより素晴らしくて、その繊細さがどうしようもなく心を動かしてきます。綾瀬はるか素晴らしい。としか言いようがない。

そしてもう一つは、竹野内豊の魅力の再発見。私の中では「ロングバケーション」でのチャラついたイケメン、慎二のイメージが強いのですが、そうでなくとも男性らしさの強い、バシッとしたカッコいい俳優という印象を持っている方が多いのでは。

それが何でしょう。ふんわりとした父、良一さんが素敵で素敵で仕方ありません。「男らしさ」とはかなり遠い、ちょっと仕事力が弱めで、大変に心優しく、どこかぼーっとした、まさに「陽だまりのような」お父さん像がびっくりするくらいはまってる。竹野内豊ってイケメンだと思ってたのに!いやイケメンだけども!でも何かちょっといつもと違って頼りなくてふわふわしていて、そして素晴らしく素敵…。こんな役もできてしまうんだ、こんなに魅力的にしてしまうんだ、という竹野内豊の強烈な魅力再発見ドラマ。そう称しても良いのでは、というぐらい良い。良いが重なりまくってますが良いものは良い。良一。竹野内豊のキャスティングなくしては、ドラマの魅力をここまで引っ張り上げることはまずなかったと思います。綾瀬はるかと竹野内豊というベテラン俳優の中にある、新鮮な、最高級の魅力がきゅっと絞られて圧縮されたらこんなドラマができました。そんな感じです。

だからこそ第6話、良一の葬式シーンがどうしようもなく泣けて泣けて仕方ありません。本当に悲しく、今も書きながら泣きそうですが、でもどこか希望に溢れた明るい回。亜希子(綾瀬はるか)が気丈に振る舞う姿も、みゆきが気丈に振る舞う様子も、亜希子が泣きじゃくって止まらないのも、手を繋ぐみゆきの後ろ姿も、全て悲しくて悲しくて仕方がない。それなのに、全てのシーンに明るく強い光を感じるような回。それが良一の光だということまで感じられる回。多分、悲しみじゃなくてその先にある強い強い希望を描いた回だったのだと思います。一番好きでした。

期待値の低さとか全く関係なく、手放しで大好きだと言える作品。誰にでもおすすめできる素晴らしいドラマだったと思います。だからこそついてきた、数字という結果。それも含めて本当に良かったー!

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

過去作品のDVD-Boxを買うための資金にいたします。レビューにしてお返しいたします!