互いを想い合うゆえに、娘の恋を壊してしまう千明と吾郎の子供っぽさに味わい(『みかづき』第三話レビュー)

切ない展開がぎゅっと詰まった第三回だった。典型的な夫婦のすれ違いの描写はまさに朝ドラ風、なのだけど、まあ展開の早いこと。現在放送中の朝ドラは夫婦のやりとりの無限ループにより「既にして再放送のようだ」と評されていますが、その五倍速くらいで進んでいくのが『みかづき』です。

速度ゆえか、前回に続いて「結構大事だよなこれ」って台詞やシーンがさらっと流されること多し。今回は壇蜜とのささやかな触れ合い?とバンドで言う「音楽性の違い」がメインテーマとなっているけれど、間に挟まれた蕗子(黒川芽以)と恋人の泉さん(須賀健太)との「ロミジュリ恋愛の結末」が実はかなり重要なのではと思う。

千明も吾郎(高橋一生)も「泉の親が塾を見下している」事実が告げられた瞬間は何も言わない。キレたりしないし、真っ直ぐに反対を突きつけたりもしない。でも二人ともそんなのよりずっとタチが悪い。言われて、テレビを見て、千明の演説は華麗にカットされ、みんなでお寿司を食べて、泉さんをお見送りする。それなりの時間が経っているだろうに、経っているからこそ、胃の中からふつふつと湧き上がってしまうものがあったのでしょう。帰り際、娘の恋人に「あたしはいいけど夫のことを悪く言う奴には黙ってられないわ」「俺はいいけど妻のことは悪く言う奴には一言申す」と夫婦でお相手自慢を始めてしまう。千明も吾郎も、互いのことになるとあまりにも子供っぽい。子供すぎるよね。だって文句を言うべき相手は泉自身じゃなく、その親なのに。

この玄関の場面、さりげなく過ぎ去っていくけれど、千明と吾郎が互いに相当惚れ込んでいることが顕になる瞬間だと思う。そして、それによって娘の恋は壊される。親同士の思いが、娘とその恋人の思いを壊してしまう、なかなか残酷でほろ苦い場面だった。親同士は劇場型だけど、娘はそれを受け継がず「遊園地、行こうね」を実現できずに負けてしまうのも、ただただ困惑して塾のフォローを繰り返す泉も、ざらっとしたリアリティがあって凄く良かった。

惚れ合う二人が正反対の方向を向いて終わってしまった第三回。たった二回前なのに、吾郎さんが用務員室で子供たちに囲まれてくちゃくちゃになっていたあの頃に郷愁を覚える。あの頃は楽しかったな、未来輝いてたな、とすっかり心が寂しさに染まっているけれど、もう一度あの頃語った「みかづき」な世界に八千代進塾は戻るのだろうか。壊されたものの再構築こそがドラマ!次回もきっと心動かされる場面が矢継ぎ早に繰り出されるのでしょう。

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92年生まれ。 常夏の女になりたい テレビドラマを真剣に見ると楽しいということを伝えたいです

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