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「仮面ライダー」滝和也に思う

「仮面ライダー」石ノ森章太郎先生原作で、令和の今も毎年新作のTVシリーズが作られている人気番組。
その第一作「仮面ライダー」の登場人物のひとり、滝和也 (演:千葉治郎) 。シン仮面ライダーでは斎藤工の役どころ。
藤岡弘が、撮影中の怪我で、アクションシーンの撮影が出来なくなった為、代わりに変身前の生身のアクションをすると言う唐突に登場したキャラクター。目出し帽を被って「キーキー」叫びながら現れる十把一絡げの戦闘員ども相手なら無敵だが、火を吹いたり、溶解液を飛ばしてくる改造人間相手では部が悪い。そこで待ってましたと仮面ライダー様の登場である。子供たちは拍手喝采で迎える。

思い起こす事、50年前、小学一年生の秋。同級生の木村くんが引越す事になった。クラスのリーダー的存在だった木村くんとのお別れを惜しんで、クラスの男子が全員集まり送別会となった。会場でケーキが出されたのだが、木村くんの思い付きで「よーし、ケーキの早食い競争だ。食べ終わったらライダーごっこをやるよ。早かった人から役を決めるから!」「今日は木村くんが最後だから、誰が何の役かは木村くんに決めてもらおう」みんな大盛り上がりだが、オレは1人浮かない顔をしていた。だってオレ、ケーキ苦手なんだ。子供には珍しいだろうけど、生クリームが大の苦手。だから早食いなんてもっての他だ。将来酒飲みになったのは既定路線だったんだけど。
「よーい!ドン‼︎」完食した順番に決めるなんて、猛反対したかったが、抗弁する間もなく始まってしまった。速いやつがドンドンゴールする中。涙目でケーキを口に頬張って取り敢えず順位は、8位。俺より遅い子が3人ほどいた。その子らは怪人確定。しかし、仮面ライダーは7人しかいないからその時点でオレはライダーにはなれない。木村くんが、一番人気の1号。それにつづき、2号、V3と人気の順にドンドン役が決まっていく。そして、オレの番。「滝や!」滝和也である。かろうじて正義のヒーロー側。
しかし、改造手術は受けていない普通の人。怪人にすら敵わない。
永遠の露払い滝和也。
つまり、この集団の中では最弱。怪人よりはマシだと自分に言い聞かせたけど、結局、序盤で、怪人にボコられ、ライダーが助けにきて、その後、出番なし。全く情けないポジ。結局オレにとっては、ひとつもいい事がなく、その日のライダーごっこは終了した。それ以来、滝和也は鬼門。俺にとっては、トラウマ。
空手をかじった今、改めて思うと、徒手空拳でショッカー相手に立ち向かう滝和也は、相当な使い手と言う事になるが、ファンタジーは所詮ファンタジー。
「鶏口となるとも牛後となるなかれ。」先人の教えが身に染みた子供時代であった。

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