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クラピカが死より恐れるもの

漫画HUNTER×HUNTERのキャラであるクラピカは、同族を皆殺しにした犯罪組織を追うために人生を捧げることを決意している。そんな彼が口にした言葉で印象深く記憶に残っているものがある。

「死はまったく怖くない。
恐れるのはこの怒りがやがて風化してしまわないか、ということだ」

どんなに強い感情もやがては風化する。そのことに彼は本能的に気が付いている。

1、感情を生み出すのは脳の電気信号

感情を生み出すのは脳だ。大脳辺縁系と呼ばれる脳の一部、そこに結合するシナプスが神経伝達物質によって発火することで電気信号が流れ、喜怒哀楽を感じる。

なぜ感情が必要なのか。心身に心地よいものと害を及ぼすものを適切に選別するために、生き延びるために感情が必要だったからだ。

自身が属するコミュニティーに損害を与え得るものを放置するということは、自分に危害を及ぼす可能性を見過ごすことと同じだ。

だから怒る。将来危害を加えられる可能性があるものに対しては、攻撃性としての怒りが発露する。お化け屋敷に入った子供が幽霊の仕掛けを蹴飛ばそうとするように。
それは適切な防御反応だ。恐怖で固まった状態より、一時的に怒りが理性を乗っ取ることで闘争本能に火をつける方が良い場合もある。

だが、時と共に脅威は薄らいでゆく。それは同時に、持続的に怒りをため込む必要がなくなってしまうことを意味している。

2、感情にコントロールされない生き方

感情に流されて行動するとたいてい後悔する。
感情と行動は一直線の回路で結びついているが、そこには理性が入り込む余地がない。だから感情任せの行動を後から振り返ると、ひどく幼稚で稚拙なものとして認知されることが多い。

Twitterはまさに今感じている感情を吐露するのに最適なツールだ。罵詈雑言や誹謗中傷、自傷願望が多く目に付くのは理性の検問を通らずに流された感情がタイムラインに現れているからだ。

僕は一度、Twitterで失敗して居場所を一つ失ったことがある。それはまたの機会に記事にするが、原因は明白だ。理性の検問を通さず感情を文字にしたこと。これに尽きる。

進化学的に古い脳と言われる大脳辺縁系。そこで生まれる瞬間的な感情に支配されるのではなく、大脳皮質によって生み出される理性によって心身をコントロールしなければならない。
仮にも高等動物を、万物の霊長を名乗るなら、感情にまかせて行動するような下等な生き物になってはならない。

僕は自分をそう戒めている。


<空澄 遊>

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