涼雨零音さんの新作です。noteや青空文庫や電子書籍は素晴らしいけど、紙の本のようにパラパラめくって好きな箇所と出会うような立ち読みはしにくいですよね。だから、それを行いやすくすることを願うnoteです。
夢と野望と現実、友情と努力など色々あるのですけれど『間違った場所にはまってしまったパズルのピースみたい』という一行が、好きです。
バンドを組むには仲間と出会う必要があります。努力や才能も意識したばかりだけど、仲間を見つける過程で先入観にも気づいていきます。
切磋琢磨して才能が花開くの、美しいです。
というか、涼雨さんのバンドの言語化凄くないですか? 時代劇作るのに時代考証しますが、音楽の造詣が深い涼雨さんは「時代考証」に相当することをご自身でできるのが強い。
「お陀仏!」。脇役の「おじさん」達もキャラと語彙が異なる。いいですね。お話は進み主人公は成長しているからこそ見える不安も自覚します。
バンドの仲間が協力して成長することを、見守って協力してくれる頼りになる「おじさん」等。教えてくれるというより、妨げないように上手いこと支援してくれるのは、ポップミュージックの文化かもしれません。
バンドを初めて関係性が育ち出している象徴的な一行に思えました。
バンドだけでなく、高校生の人間関係の複雑さも丁寧に描かれます。青春の理想や思い出や憧れ以外も、重要。
超高校級の描写です。
三箇所引用しました。仕事の場面もあるし、バンドとしての成長と、成長したから見える次の課題など、音楽と青春が相補的に描かれています。
演奏と芸術の境界線の話だと読みました。自転車で移動など、ティーンエイジャーの情熱とリアリティを描けるのも良い。第九話はこの作品の本質の一つだと思います。
個人ではなくバンド組んでるから、自己発見も成長もチームワークもセットです。自分たちが好きなアーティストの演奏を聴いて、『普通じゃない』ことを共有できることの豊かさ。
一人、心臓の強いメンバーがいます。進路の話。バンドで切磋琢磨して、その後どうしたいのかを考える時に、プロになることを信じて疑わない友達がいるのだから、迷いも深まります。
作品は完成しましたが、登場人物の物語は続きます。慣性の法則に似ています。例えばドラえもんでもナウシカでもいいのですけれど、フィクションで出会った存在は心の中にいて、遠くで暮らしていてなかなか会えない友達が元気にしてるかなと思い巡らす距離感で、ドラえもんやナウシカなど、フィクションのキャラクターのことを思うことがあります。フィクションなのに、もしかしたら友達よりも近い存在かもしれません。
涼雨さんをねぎらって欲しい。執筆して完成させたの凄い。
作品が合うなら、ピンと来た方は読んで勧めることをオススメします。
涼雨ユニバースは広大なので、思いがけない形で続きを読めるかもしれませんよ。
読み終えておかわりという続編を希望するとは、とんだ大食漢です😋
作品の読み方
第一話に全件リンク、記事ごとに続きへのリンクが用意されています。記事が公開されると反映される仕組み。
著者さんより
いくつかの他の作品の感想
更新履歴
2024/07/02 12:05 公開
2024/07/03 10:59 更新
2024/07/04 10:23 更新
2024/07/05 10:15 更新
2024/07/06 10:59 更新
2024/07/07 09:56 更新
2024/07/08 12:15 更新
2024/07/09 13:03 更新
2024/07/10 10:15 更新
2024/07/11 11:57 更新
2024/07/12 09:51更新