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【創作大賞感想】『怨霊が棲む屋敷 呪われた旧家に嫁いだ花嫁』島崎 紗都子 さん

みぃーん、みん、みん、みん、みん、みぃーん。
みぃーん、みん、みん、みん、みん、みぃーん。

あちこちの樹から響渡る蝉の鳴き声。

暑い、とにかく暑い。
汗が止まらない。

まるで、蒸し風呂の中にいるかのようだ。

今年も夏がやってきた。
お祭り、かき氷、スイカ、麦茶、向日葵、水着のお姉さん 

…… そして「怪談

そう、夏と言えば怪談🎐
皆さん、会談はお好きでしょうか。
身も凍るような「怖い話」を読んで、暑さを凌ごうではありませんか。

もし、あなたがホラー好きであれば『怨霊が棲む屋敷 呪われた旧家に嫁いだ花嫁』(島崎 紗都子 さん)を紹介したく思う。

※ 本記事、ネタバレはしないよう書いてますが、作者からの申し出によっては、訂正/削除する場合があります。

創作大賞2024より「ホラー小説部門」が追加された。(それに以外にも創作漫画、レシピ部門、ビジネス部門も新設される)

私は小説自体は余り読まなく、さらにホラー小説は読んだことがない。
どんなものかと思い、ホラー小説部門の一覧をざっと見て、たまたま目に留まったのが、この作品だ。

トップ画は「彼岸花」に題名というシンプルなものだ。
ちなみに、彼岸花は別名「孤花」とも言われ、舞台となる「孤月村」と結びついているのかも知れない。

【あらすじ】
いまだ余所者を受け入れない風習が根強く残る孤月村。その孤月村の名家である利蔵家に嫁いできた雪子は 利蔵家に因縁のある曽根多佳子いう女の存在に脅かされる。多佳子のことを調べていくうち雪子は 二十五年前 孤月村で起きた凄惨な事件を知る。

『怨霊が棲む屋敷 呪われた旧家に嫁いだ花嫁』あらすじ より抜粋

結婚、それは幸せの始まり👰

…… の筈だった

孤月村」そこは典型的な村社会。
村の多くの女性達が狙っていた「名家の嫁」をいきなり現れた余所者が掻っ攫っていったのです。
しかも、名家の規律は厳しく、雪子の立場は想像難くない。
孤立無援、四面楚歌の中、追い討ちを掛けるかの様に”多佳子”という人物の『』が出てくる。

そう、この作品はホラーでありミステリー、言うなればホラーミステリーでしょうか。
どちらかと言うと、個人的に前半はホラー色が強く後半はミステリー色が強い印象を受けたが、そこは読み手によって変わるのかも知れません。

前半は、時系列が螺旋状のように組み合わさっているので、パラレルワールドに来たかの様な感覚も体験出来ます。

中盤は、展開の大きな波がいくつか来ます。
また、本当は笑っちゃいけないけど、思わず笑ってしまったシーンがありました。
作者が意図したユーモアなのかは不明ではあるが。

終盤は、ミステリー好きな人も勉強になる技巧的な展開。

全48話という大作で、とにかく長いですが、これ絶対最後まで読んだ方が良いです。
文章はかなり読みやすく、展開のテンポも程よく、読むのに特に苦ではない。

終盤はとんでもない感情が湧き上がることになるが、これは最初から読まないと分からないことだ。
このクライマックス、この為にここまで読んだのだと。

組み立てるのが難しいプラモデルほど完成した時の達成感は大きいと言うが、これを書き終えた作者は今どんな気持ちなのだろうか。

這い上がれそうもない深い闇。
だからこそ、微かな光が見えるのではないのでしょうか。
それが誰にとってかは、ここには書きません。

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