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2018ベネルクス鉄道の旅 #3 リエージュと、マーストリヒトの鉄道

旅行記に戻りましょう。

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https://note.mu/karanda_videos/n/n01e4cf58ffab

■リエージュ・ギューマン駅の朝

波乱万丈の初日が終わり、ホテルでゆっくり回復したところで、心にも余裕が戻りましたので、翌朝、朝食前にホテルを抜けだして、(因縁の)リエージュ・ギューマン駅へ。

こ~~~~~~んな美しい駅なんですよ?私が痴漢されたのは(痴漢ではないw)
リエージュ・ギューマン駅は近年改築された、大屋根に覆われた現代美術館のような駅です。夜はライトアップされて綺麗だったんだけど、早朝の子の時間も、美しいです。

朝7時前ですが、かなり薄暗い。
この時期(9月)ヨーロッパではサマータイム実施中で、夜は8時過ぎまで明るいのですが、朝は8時頃まで薄暗かったりします。
でも、夜のような怖さはなく、歩いている人もサラリーマン風の“大丈夫そうな”人が多いので、一安心。

ちなみに宿泊したホテルは、一番左のビル。こんな近くのホテルなんです。

遠くには巨大なビルが見えますが、どこか物悲しい雰囲気が漂う風景ですね。
実際、ベルギーのこのあたり(ワロン地域)はあまり景気がよろしくないようで。かつては鉄鋼業で大いに栄えたそうなのですが、最近は沿岸のフランデレン地域に逆転されてしまったのだとか。

コンコースからホームを見る。宇宙船のようで、美しいです。
朝早すぎて、人も列車もいませんw
とはいえ、岐阜の感覚だと、朝7時というのは既に通勤ラッシュの時間で、
どこの道路も大渋滞…なはず。ヨーロッパ人の朝は遅いのですなぁ。

ホームに降りてみます。

朝の通勤・通学輸送に活躍する、通勤電車が待機しておりました。
ドイツ鉄道では、こういった「電車」は、フランクフルト空港から市内への近郊路線(Sバーン)などでしか見かけませんでしたが、
ベルギー国鉄ではこういった通勤・通学用の「電車」を多数走らせているようです。

そして、これらの電車は、皆『ツリカケ』という、素晴らしさ!!
吊り掛けというのは、日本ではかつて一般的だった方式、現在は路面電車等でしか使われていませんが、動き出すと低音で、ぐぅぉぉぉぉぉぉぉんと唸るのが特徴的です。
一昔前の日本の駅のような音や、どこか懐かしい”電車の香り”が、宇宙船の中に充満しておりました。

通勤時間帯ですが、人影はまばら
長距離のインターシティもなんとなく、手持無沙汰な感じです。

↑とはいえ、階段の向こうのほうをよく見ると、それなりに人がいますね。

オーステンデ(オステンド)行のインターシティが出発しました。
リエージュから首都ブリュッセルを抜けて、ベルギーの国際港オーステンデへと走るインターシティはこの国の大幹線です。

直後に、通勤電車も出発。
この電車は、ベルギー国鉄(SNCB)AM80型といいます。
1980年製造。
先ほど、通勤電車と書きましたが、比較的長距離のインターシティ(特急列車)でもよく見かけました。通勤から長距離輸送まで一手に引き受ける姿は、日本の鉄道でいうところの113系電車的位置づけでしょうか。

おでこの落書きが痛々しいですが、これに限らず
ベルギーの通勤電車達は、割とアーティストさん達のキャンバスとなっている姿をよく見ました(^^;

次々出発していきます。朝の通勤風景ですね。
この、重々しい音が、吊り掛け電車というやつです。

少し明るくなってきました。

しかし、すごい規模ですね。
実は駅ホームは、すべて高架上にありまして、実際の駅コンコースは正面の黒いところになります。

再びホームに戻ると、昨日国境で乗ったのと同じ
かわいらしい2両編成の通勤電車が待機していました。
4枚扉がパタパタと開く、かわいらしい電車です。

この電車は、AM66、AM70、AM73、AM74、AM78…型という
形式名がたくさんあるのは、製造年によって異なるからだそうです。
写真の747編成は、AM74型電車に分類されるようですが、あまり違わないようで、日本のwikipediaでも「ベルギー古典電車」と紹介されていますw

小さい電車ですが、重々しい音を立てて走っていきます。
警笛はきっとサービス。

動画にもあるように、車掌さんの制服、憲兵?のような帽子が、ちょっと時代を感じさせる印象です。女性の車掌さんも多く、こちらは割とスラっとした服装でしたが、お隣DBやオランダ国鉄に比べるとやや“もさっと”した印象でした、ここら辺にもお国柄が出るようです。

後ろは片目。相変わらず、落書きがひどいです…w
とくにこのリエージュ近辺の電車は、落書きが酷い印象でした。このあと訪れるブリュージュ(ブルッヘ)や、アントワープ(アントウェルペン)を走る電車は、ここまでひどくなかったように思います。

やはり経済的な格差、失業率の差などが影響しているのでしょうか。

朝のリエージュ・ギュマン(リューク・ギューマン)駅の治安はかなりよさそうですが、100%安全か、というとそういうわけではないようで、駅のコンコースやホームの一部には、所在なさげにうろついている人々もいましたので、油断は、できません。

ホテルに戻って、朝食を食べて…(写真はホテルの窓から見た、リエージュの街並みです。やっぱりどこか、物悲しい)

ホテルをチェックアウトして、再びギューマン駅へ。
チェックアウトのときに、フロントのお兄さんにフランス語でんにゃらららら~?と聞かれて、ぽかーんとしていたら、後ろを通った黒人お兄さんが
「your room number?」と教えてくれました。
怖い黒人さんもいれば、優しい黒人さんもいるんですね~

再びギューマン駅。これから乗るのは、右の電車。朝撮ったのとおなじ、AM80型電車ですが、塗装が異なります。左のゴリラ顔は、インターシティなどで運用される、AM96型電車。なんとなく、何年に製造された電車なのかがわかってしまいますね…w
黄色の部分に運転台がユニットとなっていて、連結して運用する際は、顔の周り、黒い部分がゴムなのですが、これがぶちゅっとくっつき、そのまま貫通幌となるという面白い構造ですw
こんな、ダサかわいい電車ですが、特急用なのです。

眺めていたら左端に電車が到着。国境で乗った吊り掛け電車(AM66~古典電車)をリニューアルしたもので、塗装が変わっているようです。使い倒しますねw

■オランダの古い街、マーストリヒトへ

発車時刻が近づいたので、右端の電車に入りました。本日、最初に向かうのは、オランダの、マーストリヒトという町。オランダ?と思うかもしれませんが、このマーストリヒトという町は…

↑このマップのとおり、オランダの長~く突き出た尻尾のような場所にありまして、西をベルギー、東をドイツに挟まれた、離れ小島のような場所にある街なのです。

リエージュから電車で、たった30分の距離。こんな立地であるため、歴史的にはやはり色々あってオランダに入ったと、そういう感じだそうで。

今日は、このマーストリヒトを観光したら、リエージュに戻ってきて、そこからICで一気に海辺の町、ブリュージュ(ブルッヘ)へと向かうという行程になります。

【Liège-Guillemins】9:09 →【Maastricht】9:42(R5359列車 Maastricht行)

ツリカケ通勤電車の車内、ユーレイルパス利用なので当然1等車なのですが、少し古い会社の応接室のような、使い古されたふかふかのシートと、謎の壁画で、外見以上にアンティークな雰囲気でした。

日本の電車とは根本的に設計が違うのでしょう、残念ながら1等車ではツリカケモーターの音はしませんでしたが、どしん、どしんとかなり重厚なジョイント音を立てて走りだしました。

↑窓に反射してますが、昨日の失敗から学び、車内では基本的に、サブのコンデジで写真や動画を撮ることにしました。
下手に一眼出して、また狙われるといやですから。。。

郊外に出るとマース川に沿って走り、走り出してから2つ目ぐらいの駅でオランダに入ります。山岳地帯という感じではなく、ドイツのライン川流域のような風光明媚な路線ではありません、延々牧草地帯と、寂れた工業地帯が続きます。

ところで、ベルギーの電車には必ず網棚に、荷物を固定するためのスリットが付いています。電車に乗っているときは、このようにスーツケースをワイヤーで固定。

これがあれば、列車乗車中であっても安心してトイレに行くことができます。駅のトイレは有料ですから、できるだけ車内で済ませるように。これも、この旅で学んだポイントです。

と、そんなこんなで30分のショート・トリップ。あっという間にオランダ南端の町、マーストリヒトに到着しました。

マーストリヒト到着前になると、列車の速度がガクンと低下します。これは事前に調べていたので知っていたのですが、オランダ国鉄は直流1500ボルト、ベルギー国鉄は直流3000ボルトであるものの、ベルギーからオランダへの直通電車は、特に何かをするわけでもなくそのまま直通させるため、通常の半分しかスピードが出せなくなるのだそうです。
ミニ四駆で、ベルギー国内は電池2本、オランダ国内は電池1本になったとか、そういうイメージでしょうか…
うんうん苦しそうにうなりながら、そろりそろりとホームに入っていきます。
ホームでも、上の写真のように、はじ~っこの屋根もない場所にちょこんと停車。扱いが低いのでしょうかw

隣のホームにオランダ国鉄の車両。なんか、ものすっごく眩しく見えるんですがw(落書きないしw)
たった30分で、こうも違うのかと

マーストリヒト駅、ここは完全に、NS(オランダ国鉄)の駅になります。
オランダの首都、アムステルダム方面から1時間に2本直通列車があるほか、ここからローカル線を乗り継いで、ドイツ方面に抜けることも可能なのだそうです。

街はとても美しく。
というか、入国二日目にして、はじめてヨーロッパらしい街を散策してますねw
移動ばっかりでしたから。

今回のnoteは鉄道が中心なので、観光部分は割愛し(そのうち別noteで書くかもしれません)、駅に戻りました。駅からはまた同じ電車で、リエージュへ。

【Maastricht】12:19 →【Liège-Guillemins】12:53(R5382列車 Liège-Guillemins行)

↑動画の真ん中辺で渡るのも、マース川。リエージュの街もマース川の水運によって発展したのだそうです。

リエージュ駅が近づくと、車窓の左右に車両基地が広がります。車両基地ではドアを開けておくのがベルギー流でしょうか(だから車内まで落書きされるんだw)

うっわぁ…現役の車両には見えませんな…笑

昼を過ぎたリエージュ・ギューマン駅に到着です。さすがに明るくなってきて、旅行者の姿も目立つようになってきました。

昨日この場所で痴漢に(略

次はインターシティで、ブリュージュ(ブルッヘ)を目指します!

今日も長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!
文章を書くのはすごく楽しいです。

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https://note.mu/karanda_videos/n/n01e4cf58ffab

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!