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9.将来の姿をイメージしよう

 英語多読を一途に続けていると、ときどき読むのが嫌いになりそうなときがきます。こういうとき、『モチベーションが回復するまで休む』という選択肢もでてくるのですが、それ以外の方法はないのでしょうか?

 英語多読を支える重要なモチベーションの根源は『英語多読を続けていれば、将来かならず素晴らしいことが起こる』という事だと考えています。①内発的動機づけ、②外発的動機づけという言葉を聞いたことがあるでしょうか?①内発的動機とは『ただ洋書が読めるようになりたい』『本を読むのが好き』といった、報酬によらないモチベーションです。一方、②外発的動機は、『TOEICで高得点が取れたら昇進や昇給が狙える』『英語ができるようになれば条件のいい仕事に転職できる』といった、報酬によるモチベーションです。自身の経験からするとどちらの動機付けもモチベーションを上げるのに効果的です。

 ①内発的動機づけを使ってモチベーションを上げる方法ですが、自分が将来自由に洋書を読みこなしている姿を思い描くのが効果的なようです。すでに洋書を読める人に聞くと、『人前で洋書を読みこなす、カッコイイ自分』を想像してモチベーションを上げてきた人が非常に多い印象です。実際に喫茶店や図書館、電車の中など、人前で洋書を読むのも効果的だと思います。人目を意識すると、嫌でも集中力が出ることでしょう。また、自身の経験では、読むことに慢性的に疲れたら、散歩しながら『洋書を楽しく、スラスラ読んでいる自分』を想像するようにしていました。イヤイヤ読み続けていると、洋書を読む行為を思い浮かべただけでどんよりした気分になってしまいます。そうなるのを防ぐために、『洋書はスラスラ楽しく読めるもの』というイメージを思い浮かべて上書きしてしまうのです。将来の自分を思い浮かべていると、『そういえば、あの本も読みたい!』『この調子だと、一年後には高校生向けの洋書を読んでいそう!』『専門書や啓発書や医学書が読めたら、もっと楽しくなりそう!』と想像(妄想?)が広がっていって、楽しい時間を過ごすことができました。

 ②の外発的動機を使ってモチベーションを上げる方法についてですが、これも効果的です。自身の経験では、副業で英→日翻訳の仕事をした場合にひと月にいくら稼げるかを調べたり、次に買う車はなにがいいか考えてみたり、貿易事務などの英語を使う仕事の年収を調べたりしていました。また製造業などだと、いくら現場で頑張っても、昇給の幅は限られてしまうという現実から、英語の力があれば抜け出すことも可能だろうと想像していました。こういった想像は、とても楽しいものです。

 しかし、外発的動機には注意が必要です。Daniel PinkのDRiVEという本では、『サルに知恵の輪を与えると、ご褒美がもらえなくても解き始める』これは『達成したらご褒美がもらえる飴と鞭の構造とは違い、生物が本来持っているモチベーションの形である』という所からモチベーションの話が展開していきます。『飴と鞭の構図で成果が上がるのは、単純作業による仕事に限定される』とも書かれています。英語を身に着けるには無給ですごす膨大な(3千時間とも1万時間ともいわれている)時間が必要なので、外発的動機だけでは意欲が続かないことでしょう。この長い期間の間に、いつの間にか、飴と鞭で自分を追い込んでしまわないように注意しましょう。そして、本来の読書の楽しさは決して忘れないようにしましょう。読書の楽しさを忘れなければ、英語多読は継続できると考えています。こうしてみると『人前で洋書を読みこなす、カッコイイ自分』ってすごく合理的な動機だと思いますよ!

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