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心理学・脳科学の実験や知見をご紹介

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使える心理学・脳科学の知識を集めました。
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#組織

目標設定が倫理に反する行動を生み出す

一言でいうと「目標設定」は人の焦点を狭め、副作用もある 活用シーン組織マネジメント 内容ハーバード・ビジネススクール、ノースウェスタン大学ケロッグ・スクール、アリゾナのエラー大学マネジメント学部、ペンシルヴァニア大学ウォートン・スクールの研究者からなるグループによる研究。 「相当数にのぼる証拠から、目標設定が建設的な努力を促すだけではなく、倫理に反する行為を助長する恐れがある事が明らかになっている」と、このビジネススクールの教授たちは指摘している。 【例】 シアーズ

「信じたこと」は実現するのか?

一言でいうと人間の行動に依存することであれば、起きると信じるだけで起こせる場合もある 活用シーン成功哲学・社会の常識に関する理解 内容1982年社会学者W・I・トマスはこう主張した。 「人がある状況を現実と定義すれば、その結果としてその状況は現実になる」 つまり、信じれば、信じたことが実現するというわけだ。 それより前の1968年には、社会学者ロバート・K・マートンが「自己成就予言」という言葉を作った。 それは、 第一段階:今起こっている状況の誤った解釈 第二段階:その

150人限定。

一言でいうと人は150人以上との付き合いは難しくなる 活用シーン組織の設計 内容霊長類において、グルーミング(毛づくろい)において、社会的関係は維持される。 人間はさすがにグルーミング行動は行わないものの、一定頻度の連絡を取り合うことである程度の社会的な関係性を保とうとする。 しかし、人類学者のロビン・ダンパーは人間がその関係を保てる限界は、150人~230人と指摘している。 また、マルコム・グラッドウェルは会社の規模が150人を超えると生産性は急激に低下し、組織を小

手本を示そう!

一言でいうと人は集団になると無責任 活用シーンマネジメント・リーダーシップ・傍観効果 内容1970年、心理学者ビブ・ラテインとジョン・ダーリイは、人前で鉛筆や効果を落とすという実験をした。 この実験を六千回繰り返したところ、拾うのを手伝ってもらえたのは、複数の人がその場にいるときは20%、一人しかいないときは40%だった。 彼らはさらに切迫した状況で実験を行った。 被験者にアンケート用紙の記入を依頼する。その際に、壁の通気口から煙が噴き出し、部屋中に充満し始める。 被

組織の雰囲気がスペースシャトル「コロンビア号」を爆発させた!?

一言でいうとエンジニアが問題を発見していたのに、その危惧が上層部に伝わらなかった原因は組織の「雰囲気」にあった 活用シーン組織マネジメント、心理的安全性、学習する組織 内容 2003年スペースシャトル「コロンビア号」は大気圏に再突入する際に燃え上がり、7人の宇宙飛行士全員が命を落とした。 実は、16日前のシャトル打ち上げ当初、その兆候をエンジニアは察知していた。打ち上げ時のビデオ映像には、シャトルの外部燃料タンクから剥がれ落ちて左翼を直撃したと思われる断熱材の破片の大き

新プロジェクトの成否をわけた3つの要素

一言でいうと新しいことをチームで学ぶ際には、 ・メンバーが尊重され ・プロジェクトのポジティブな意義が明確 であることが重要。 活用シーン組織マネジメント、心理的安全性、学習する組織 内容エイミー・C・エドモンドソンの研究 低侵襲心臓手術(MICS)という新しい手術の導入というチャレンジについて16の病院の心臓外科部門をリサーチした。内4病院の内容を以下に記す。 4つの病院の内2つはMICSを上手く導入できたが、2つは最終的に断念した。 成功と失敗を分けたのは、経営サイ

職場では重大なことほど隠される!?

一言でいうと率直な人でも、ある不安があると社内で意見を言わなくなる 活用シーン組織マネジメント、心理的安全性 内容コーネル大学ジム・デタートとともに行った職場における発言と沈黙についての研究。 職場で率直に意見を言うことは大半の人が思うより少ない。 取材によると、およそすべての幹部やマネジャーが 「仕事関連の大きな問題になりそうなことはハッキリ言わない」 と答えた。 その理由は、ピラミッド型組織において自分の上にいる人を怒らせてしまう不安が広がっている。 『チームが

デミングの14のポイント

一言でいうとどうやるか?というより、人の能力を発揮させる環境が重要 活用シーン組織マネジメント、仕組化、組織内システムの構築 内容「PDCA」の考え方を日本で広めた人と言えるW・エドワード・デミングがビジネス効率を向上させる14のポイント。心理学にも精通しており、その要素が随所にちりばめられている。 1.製品とサービスの品質改善に対する目標の一貫性を確立する。 2.新しい哲学を採用する。新しい物の考え方を採用する。 3.品質向上実現のためには、検査に依存することをやめる

世の中の役に立っていると感じるとき、人は進んで働く

一言でいうと 自分の今の努力が人の役に立つと感じると、前向きな行動が増える 活用シーン組織マネジメント、会社経営(ミッション)、社員教育、モチベーションアップ 内容デイヴィッド・イェーガーとデイヴ・パウネスクの実験 高校生に2つの質問をします。 質問1 「どうしたら世の中はもっと良くなると思うか?」 質問2 「今学校で習っている事の中で、そのために役立ちそうなことはあるか? この質問を受けた生徒は、そうじゃない生徒と比べて 試験勉強の時間が2倍に増えた。 またこれ

帰属のシグナルの効果

一言でいうと思いやりの言葉があると、その人を信用しやすい。 活用シーンセールス、組織マネジメント、頼みごと、友人関係、恋愛 内容ハーバード・ビジネス・スクール、アリソン・ウッド・ブルックスによる実験。 「自分の携帯電話を知らない他人に渡すか?」という実験。 これは2つのシナリオと一つの質問で構成されている。 シナリオ1 あなたは雨の日に駅のホームに立っている。そこに知らない人が近づいてきて、「あなたの携帯をお借りしてもいいですか」と礼儀正しく尋ねる。 シナリオ2 あな

ミルグラム実験(アイヒマン実験)

一言でいうと 人は権威者に従う(そして、権威者の責任において残虐になる可能性が高い) 活用シーン 上司部下の関係、親子関係など権威者との関係性の解明、不祥事や犯罪の動機 内容 イェール大学、スタンレイ・ミルグラムによる実験。 (1963年にアメリカの社会心理学会誌『Journal of Abnormal and Social Psychology』にて発表) ざっくりいうと、以下の通り。 権威(者)による命令が個人を従属させ,殺人のような重大な結果をもたらしかね

組織の変化における現象

一言でいうと 組織を変革するためには、一定の混乱が避けられない。 活用シーン 会社、チーム、クラブ活動、その他組織全般 内容 新しいグループやチームを結成する際には、「形成(フォーム)」「混乱(ストーム)」「規律(ノーム)」「実践(パフォーム)」というサイクルを経る 『こうすれば!組織は変えられる』ピーター・クライン、バーナード・サンダース 組織が実践段階に至るまでには、個々の価値観がぶつかり合う「混乱」の過程を通り過ぎたのち、その組織における規律が出来上がる。