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レシピのバリエーションを増やす考え方

Twitterでちょっとしたアンケートを取らせていただきました。

集計結果と読み取りについてはまた別noteでお話するとして、今日はお悩みトップのきょう何食べるか問題に切り込みましょう。「バリエーションを作るときの考え方」です。

寄せられた声でとても多かったのは「いつも同じ味付け、仕上がりになってしまう、飽きる」という悩みでした。仕方ありません、だって作る人が同じなんだから。(正直なところ、私だってもう自分の作ったものに飽き飽きしています!)でもその中でなんとか違いを出す方法を、自分のやっていることを振り返りつつ、整理してみます。

1 切り方を変える

私はレシピ本が大好きで、いろいろな方の本を読むんですね。同じ料理をいろいろなレシピで読むと、一番違いを感じるのは「切り方」です。

たとえば豆腐の味噌汁。いつも、賽の目に切っているとしましょう。

次は豆腐を平たく切ってみます。海苔をのせました。

手で崩す、っていうのもいいです。トッピングはかつおぶしと柚子。

写真の例はトッピングも変わっていて単純比較はできませんが、切り方だけでもかなり雰囲気が変わります。豆腐を7~8㎜の小さな角切りにするのも新鮮です。
他にも、サラダのきゅうりを斜め切りでなく、乱切りでコロコロに切ってみる、野菜炒めの茄子を輪切りじゃなくて縦に切ってみる、肉じゃがのじゃがいもを縦半分に切ってみるなどすると、新鮮です。

また、野菜は「大きく食べる」と「小さく食べる」を意識したいですね。
じゃがいもは、丸ごと蒸したりポトフに入れるのと、4つに切ってカレーやシチューに入れるのと、千切り器で細ーく切ってフライパンでカリっと焼いてハッシュポテトにするのとでは、まったく違う野菜に感じられます。

切り方を変える、これが第1のポイント。

2 香りを変える

見た目や味以上に料理の印象を変えるのは「香り」です。まったく同じ見た目でも「あれ、これいつもと違う香りがする」となると、ものすごく違う感じがします。

そういう意味で「薬味」や「トッピング」は重要。ふだん通りにつくった料理でも、薬味を変えると全体の雰囲気が変わります。

まずは、フレッシュな香味野菜。しょうが、にんにく、ねぎ、大葉(青じそ)、三つ葉、みょうが、パクチー、パセリ、レモン、ゆずなどですね。
それから乾燥スパイスやハーブ。こしょう、七味などを筆頭に、クミンや八角、山椒などはがらっと料理が変わるので、使ってみてもいいかもしれません。

スパイスと言えば「カレー」最強ですね。カレー粉は買っておきたいスパイスのひとつ。いつもの野菜炒め、ポテサラ、スープなどにほんのちょっとカレー粉混ぜる。カレー粉は要するにミックススパイスですので、香りづけにほんのちょっとだけ振るのも面白いのです。カレーの味はしないんだけど、なんか違う!ってなる。

ただ、香りを添えるものは、私は嗜好品に近いと考えています。私のレシピでどの家庭にもある前提で使うのは胡椒、唐辛子、しょうが、にんにく、ねぎぐらい。買いすぎると消費にまた困ったりしますよね。

何かを新たに買わなくても、出る香りというのもあります。それは「焦がした香り」です。肉でも野菜でも、香ばしく焼き目をつけることで独特の香りが出ます。焦がすといっても真っ黒にしてはダメですよ。

オイルや調味料によっても香りって変わります。バターの焦げた香りしょうゆの焦げた香りなんて、たまらないですよね。バター醤油チャーハンなんて、どうでしょうか。

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私のレシピでも、ブロッコリーやキャベツ、ねぎやまいたけなど、いろいろな焦がし野菜のスープを作っています。

香りを変える、これが第2のポイントです。

3 組み合わせをシンプルにする

さて、3つ目、これは意外に思われるかもしれませんが「シンプルにする」ということです。

味を複雑にしようと思うと、人はいろいろなものを使おうとします。うまみを足すためにコンソメキューブや創味シャンタンなどのだしを入れたり、ねぎやにんにくやしょうがなどの香味野菜をどっさり入れたり、スパイスを使ったり。食材もなるべくいろいろなものを入れたほうが味わい深くなると考えるのです。

間違いとは言いません、でもふつうの人が無計画にそれをやると、すべてが均一な、同じ味になります
それは食べる側も同じで、複雑な味のほうが差はわかりにくくなります。『スープ・レッスン』の連載初回で、いろいろな野菜が入っているミネストローネを食べたあとに、さっき何の野菜食べたかな?と思いだせる人は少ないのではないかと書きました。単体で食べるほうが「ああ、今日はキャベツをたっぷり食べた」「今日はトマト三昧だった」と、はっきりします。7種類の野菜を少しずつ毎日食べるより、1種類の野菜を日ごとに7日間食べたほうが、違いを感じられるのです。

ということで「シンプルに食べる」これが3つ目のポイントです。

「これがないからできない」と思わないで

さて、バリエーションをふくらませる3つのポイント、おさらいすると

1 切り方を変える
2 香りを変える
3 シンプルに食べる

なるべく、すぐ試せることを書いたつもりです。いかがでしょうか。当たり前のことを偉そうに話しているように見えるかもしれませんが、家で毎日ごはんを作る人は、無意識に同じ切り方、同じスパイス、同じ素材の組み合わせをやっていることが多いと思います。チェックしてみてください。

さて、今日はcakesの連載『スープ・レッスン』で、サバ缶を使った「キャベツどっさり味噌汁」というレシピをご紹介しました。応用のめちゃくちゃ効くレシピです。

このレシピは

  葉野菜 × 魚の缶詰 × 調味料

という構造でできています。すると、キャベツがなかったら白菜だとか、小松菜でかえられる。サバ缶はイワシ缶やツナ缶、もしかしてあさりの缶詰もいけるかも…と思えます。似たものに変えて、ということでレシピに近づけることができるのです。

「ナスとサバ缶の味噌汁」とか「キャベツとスパムの味噌汁」となると、これはちょっと別の料理になります。でも、それはそれできっとおいしいですよね。
〇〇がないからできない……とすぐあきらめず、ちょっと知恵を絞ってみると思いがけないレシピができることがあります。楽しみながらやってみましょう!





読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。