好きはすべてを癒す

昨晩、ある会社の経営陣の方々とご飯を食べた。そこで話題になったのが、「お金とコミュニティのバランス」についてだ。

コミュニティというと、人によって理解の解像度がバラバラになりやすいので、ここでは「そのサービスが好きで集まっているユーザーたち」と定義したい。

それで簡単に説明すると、居心地のよいコミュニティが出来ているときに、お金を追求するとユーザーは離れていってしまう。一方でユーザーの居心地を追求すると今度はお金を稼げなくなってしまう、という様な内容だった。

これは本当に難しい問題で、僕も自分で会社を経営しているときに悩んだ。特にインターネットの領域においては、ユーザーは無料で消費することに慣れているため、お金を払うことに対する心理的ハードルは高い。

それで、そのときに生まれたのが「先に好きを取る」という考え方だった。それは、まず時間をかけてユーザーにサービスや会社のことを好きになってもらうことが先で、あとからお金について考えよう、という思考だ。

人は自分と親密度が高いものに対して、お金を払う心理的ハードルは低い。恋人へのプレゼントや親しい友人のイベントなどが、まさにその例だろう。だからまず好きになってもらうようになることが、重要だと考えたのだ。

たとえば、ディズニーがよい例だ。僕らは小さい頃から、ディズニーのものに無料で触れている。親はお金を払っているが、僕ら自身はそれを意識することなく、ディズニーのキャラクターのことをどんどん好きになっていく。

そして中学生くらいから自分のお金でディズニーランドに行くようになり、新作映画が出れば劇場に足を運び、お店でグッズを購入する。それから自分が親になると、今度は子どもをディズニーに触れさせる。そしてその子どもが親になるとまた……の繰り返しである。

こうしてディズニーは長い時間をかけて、多くのユーザーから愛されるようになった。僕らはディズニーのキャラクターはもちろん、ディズニーという会社にも、よいイメージを持っているはずだ。

さらに言うと、僕は人は決してお金を払うことにネガティブではないと考えている。むしろ好きな人やものに対してならば、喜んで払いたいのだ。それによって自分も幸福を感じられるのが、人間という生き物だからである。

つまり先に好きになってもらえればユーザーを二回幸せにできるのだ。またそれによって自分たちも会社とサービスを継続することができるなら、それ以上に幸福なことはないだろう。

「好き」をまず何よりも先に大切にする。それが僕の考える「お金とコミュニティのバランス」の取り方である。

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