絵の中で旅をするのも一興だと考えます・・・。
西へ延びる線路は
一直線に高麗山へ向っています。
平塚駅の西口コンコースより見える風景は
電車の行く手を阻むかの様に
線路の真向こうに現れます。
昔、東海道を旅する人々は
日没後の薄暗い中
あの山を越えて行くのは
とても難しい事だと思い
「平塚の宿」に一泊し、ふたたび
旅に出るのが習わしの様でした。
それもそもそも宿の主達が
夕暮れになると店先に出て
旅人に声を掛けたと、言われています。
「この刻限にあの山越えは、
危のうございます。
是非、私どもの宿へ一泊して
明朝お立ちになるのがよろしいかと」
などと言い、客引きをしたとの笑い話が残っています。
実のところ
東海道は高麗山の裾を
大きく左に迂回して
海岸沿いの平地を
歩いて行けたのです・・・。
昔話はともかく
作者は上り下りする軌道に
心惹かれたのかもしれません。
伝染病の新型コロナが蔓延する中
外出もままならぬ状況で
電車にも思う様に乗れず
旅行や遠出が出来ないでいます。
いつもは元気よく活発に
行動される作者ですが
今は「旅に病んで夢は枯野を駆け廻る」(松尾芭蕉)
そんな心境だと思います。
あの空の下
あの川のほとり
あの山の懐と
思いを馳せているのでしょう。
作者は、長年絵手紙を書かれていて
旅先の様子や名物など、
素早く描き止め
お友達に送っていましたが
今年も又、遠出は自粛中です。
せめて絵の中で旅をするのも
一興だと考えます。
人は皆、旅人なのかもしれませんね・・・。
絵画講師 若林 薫 評
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