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絵の中で旅をするのも一興だと考えます・・・。

生徒さんが作品に取りかかる前に何を描くのかを
話し合う時間を設けています。
・こんなに素敵な風景を、こんなにかわいいペットを絵にしたい。
・こんなに哀しかった思いを、絵に残しておきたい。
・こんなに嬉しい事を、みんなに伝える為に絵にしたい。
それぞれの想いや感動や想像があって、モチーフは決まって来ます。
そんな想いのこもった生徒さんの作品を、
ご紹介していきたいと思います。                若林 薫


高麗山に向って  F4号 アクリル画  YCさん


西へ延びる線路は
一直線に高麗山こまやまへ向っています。

平塚駅の西口コンコースより見える風景は
電車の行く手をはばむかの様に
線路の真向こうに現れます。

昔、東海道を旅する人々は
日没後の薄暗い中
あの山を越えて行くのは
とても難しい事だと思い
「平塚の宿」に一泊し、ふたたび
旅に出るのが習わしの様でした。

それもそもそも宿の主達が
夕暮れになると店先に出て
旅人に声を掛けたと、言われています。 

旧東海道から見た高麗山
安藤広重の描いた平塚宿

「この刻限にあの山越えは、
危のうございます。
是非、私どもの宿へ一泊して
明朝お立ちになるのがよろしいかと」
などと言い、客引きをしたとの笑い話が残っています。

実のところ
東海道は高麗山のすそ
大きく左に迂回して
海岸沿いの平地を
歩いて行けたのです・・・。

昔話はともかく
作者は上り下りする軌道きどう
心惹こころひかれたのかもしれません。

伝染病の新型コロナが蔓延まんえんする中
外出もままならぬ状況で
電車にも思う様に乗れず
旅行や遠出が出来ないでいます。

いつもは元気よく活発に
行動される作者ですが
今は「旅に病んで夢は枯野を駆け廻る」(松尾芭蕉)
そんな心境だと思います。

あの空の下
あの川のほとり
あの山のふところ
思いをせているのでしょう。

作者は、長年絵手紙を書かれていて
旅先の様子や名物など、
素早く描き止め
お友達に送っていましたが
今年も又、遠出は自粛中じしゅくちゅうです。

せめて絵の中で旅をするのも
一興だと考えます。

人は皆、旅人なのかもしれませんね・・・。

                 絵画講師 若林 薫 評



お知らせ

オクトアトリエ展開催
会期:2022年1月25日(火)~30日(日)10:30am~5:30pmまで
   (初日1:30pm~最終日4:00pmまで)
会場:元麻布ギャラリー平塚にて(東横イン1F)
 *SM~20号サイズまで50点程展示予定です。
 *様々な思いで描いた絵が展示されます。お近くにおいでの際は
  是非お立ち寄りください。  

元麻布ギャラリー平塚 地図



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