このまちで過ごす人たちがクセになるカフェバールを作りたかった。【加藤麻衣】

2019年2月13日 20:42

10年ほど働いた都内の会社を辞め、熱海でカフェバールをやるために移住した 加藤麻衣さん（以下、カトマイ）。学生の頃から「いつかは自分のお店を持ちたい」と夢描いていたそうです。

そして今、熱海銀座通りの人気店カフェバール「QUARTO（クァルト）」を経営。2017年8月のオープン以来、地元の人と熱海を訪れる人に愛されながら営業しているカフェバール店主の カトマイさん にお話をうかがいました。

【プロフィール】
加藤麻衣（Mai Kato）
移住：東京都杉並区 → 静岡県熱海市
caffè bar QUARTO (カフェバールクァルト) 店主
1984年生まれ、神奈川県青葉区出身

学生時代バイトしたカフェバールに惹かれて、20歳のころから将来的に自分もカフェバールをやりたいと思っていました。その店は、自分が休みの日にも遊びに行ってしまう程クセになる感じがあって。お客さまにホッと一息つくひとときを提供しながら、そこで過ごす人の生活の一部になるような店舗を持ちたかったんです。

でも、熱海になんの縁もなかったカトマイさんは、なぜ熱海で出店しようと考えたのでしょうか。熱海で自分の店舗を持つことを考え始めたきっかけを聞くと、真っ先に「この街で活動する人たちとの出会い」を挙げられました。

25歳の頃に地域への興味が強くなり、ひょんなことから熱海でまちづくりの活動をしていた市来広一郎さん（㈱machimori代表）に出会ったんです。2010年に初めて熱海に来てみると、市来さんだけでなく、熱海銀座商店街の小倉一朗さんや老舗干物屋釜鶴の二見一輝瑠さんなどが中心となって『オンたま（熱海温泉玉手箱）』という活動をやっていて。その人たちと出会う中で「協力してくれる人たちがいる街」というイメージを抱くようになり、熱海でお店をやれたら面白そうだと印象を深めていきました。

それから月日の経った2015年夏。麻衣さんは会社に「1年後に退社します」と伝え、月に1回のペースで熱海に通う生活をはじめます。お店を持ちたいと話をすると「やるなら応援するよ」と親身になってくれる人が熱海に何人かいて、歓迎されている雰囲気を感じたと言います。

しばらく熱海に足を伸ばせない時期があったんですが、『ゲストハウスMARUYA』をつくる際のクラウドファンディングに支援をしたことを機に、2年ぶりに熱海に来てみると最初に訪れたときより若い人が多く関わり始めていてビックリしたんです。移住者も増えていて、これから益々動きが加速しそうな気配があったので、このうねりに加わってみたいと思った。そこで熱海に来る回数を増やし始め、熱海の人たちとの繋がりがより強くなっていきました。

その強くなった熱海の人たちとの繋がりを活かす形で、2016年11月には熱海に移住。そして、翌年8月に「QUARTO（クァルト）を開業されました。

熱海に移り住んで2年、お店を開いて1年半。きっと人知れぬ苦労もたくさんあったはずです。そんなカトマイさんに「熱海でのお気に入りの過ごし方は？」と聞いてみると、思わず耳を疑うような意外な答えが返ってきました。

『営業中の今この瞬間』です。コーヒーを淹れたり、お馴染みさんと過ごす時間が何より好きだなって。あとは『QUARTOをさらに進化させるための構想をしている時間』ですかね。好きなことを仕事にして走り続けていることは心地良いし、支えてくれる人たちがいることが精神的な安定剤にもなってる。大好きな仲間も日常的に足を運んでくれるし。本当にこれがお気に入りの過ごし方だなと感じます。