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「Unfinished Business 仕事と家庭は両立できない?」を読んでる感想

3500字のポエムです。この本を読んだ(読んでる)感想です。あまりに衝撃を受けたため、ノリと勢いで書きました。

kindleで読んでいるんですが、ほぼ全ページがマーカーだらけになり、夜な夜な、唸ったり泣いたりしながら読むという怪現象がおきています。まとめ記事を書くと本書と同じ文字数かそれ以上になりそうなので、もはやこの記事は読まなくてもいいのでとにかくこの本をポチって、まずは全人類に読んでほしいです。

「競争(キャリア)」と「ケア(人の世話)」の綱引き

感想だけ書くつもりですがさすがに本書の「ケア」という用語の位置づけだけ確認しておかないと何の話?となるので、3行でまとめると。

仕事と家庭が両立できない?のは「女性が働く」ときだけの問題ではない。これは、競争(仕事・キャリア)とケア(育児・教育・看護・介護)の綱引きの問題である。現代では競争を選ぶと褒められ、ケアを選ぶと無視される(透明人間になる)。競争の価値を下げる必要はなく、ケアの価値も当たり前に認められる世の中にならないといけない。

というようなことが本書のメッセージです。まだ半分しか読んでないけどそうだと思う。もっといい感じのまとめがアマゾンレビューにあるからぜひ読んで。。

私は、ワーママとして"ケアの軽視"に傷ついてきた

今年は本当に色々ありましたね。仕事をしながら育児をして7年目ですが、仕事も育児も本当にキツイことが色々起こったなあ。会社は理解があるし同僚も上司も優しい。それでも育児をしていることを社会に無視されている感覚が、ずっとあった。特に、政府の対応にモヤモヤしたことがたくさんあったのですが、何にモヤついていたのかこの本を読んで、スッと腹落ちした。

例えば「全国一斉休校」。これ誰が子供のケア(世話)するねんということ誰も議論しないままバーンと発表されましたよね。国からは、私のようなワンオペワーママは見えてないんだ、と衝撃を受けました。

例えば「児童手当の減額」。高所得だから足りてるとかそういうことじゃないんだよ。社会としてそこにお金を配分しないっていう選択が、ケアを軽視しているメッセージとして受け取られるんだよ。

例えば数年前の「保育園落ちた日本死ね」。待機児童問題って、これより前は日陰の問題でしたよね。"ケアの担い手だから働けない"存在がいることに、社会に気づいてすら貰えなかった。

ここまで当事者としての話。以下は私は当事者ではないけど、

例えば「医療従事者への感謝はあるけど手当がない」。大変な大変な状況だと思うんです。替えがきかないプロの仕事です。感謝は当然として、国として保証金とか出ないんですかね。。クラファンも頼りになるけど、国としてさ。。

例えば「保育・介護に関わる人の低賃金」。看護とかと同じで、人の命を扱う仕事ですよね?専門職ですよ。「幼児教育の無償化」のときに、当の子育て世代が「無償化しなくていいから、全入化して」「無償化しなくていいから、保育士の給料上げて」って言ってたの、どうなったんですかね。保育士の仕事としての価値が上がらないと、自分の命より大事なこども、安心して預けられないよ。

男女関係なく、ケア(人の世話)を重視する時代が来る、来ないといけない

ちょっと話はそれるのですが、今年一番勇気をもらったのは、アメリカ副大統領に選ばれたカマラ・ハリスさんのスピーチです。

「私が最初の女性ですが、最後ではありません」しびれました。勇気をもらいました。私はlittle girlではないけど海を超えてこんなに励まされることってあるんだ!と感動しました。まさにリーンインしたのが彼女です。尊敬します。(リーンインはフェイスブックのシェリル・サンドバーグさんの本ですね、Unfinished Buisinessの本にも何度も出てきます。)

一方、彼女の成功の裏で、夫のエムホフさんは、弁護士を辞めるそうですね。家族のケアの責任を負うためです。(ニュースになってたのでぐぐってください〜)副大統領という大役を担って活躍するためには、家のことに責任を持ってくれる人が必要です。そこにも注目しないといけません。輝かしいキャリアの裏で、家族のケアに責任を持つ人も、同じように尊敬されるべきです。どちらが偉いとかすごいとかない。競争もケアもどちらも大変で、尊い仕事だからです。

例えば消防士と救急救命士、どっちが大変か?って話に結論出ないですよね。競争とケアを比べるのもそれと同じと感じていて、競争(キャリア)もケア(例えば育児)も、どっちも大変さはあり、尊い仕事なのかなと思います。本来は。でもなんでかケアだけ社会的に抹殺されているよね。今の日本で特に女性が働くのが辛いのは、このケアにかかる労力を(社会から見て)ゼロとみなされているからなんじゃないのかなあ。

つまり女性を働きやすくするだけでは足りない

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女性の活躍、女性の働き方改革、エンパワー、大事です。リーンインできる人はどんどんして欲しいです。かっこいい!尊敬する!私もできるところまでは行きたいと思っているよ。でも結局「女性を(ケアの負担がある人間を)働きやすくする」って、競争の世界の価値観に縛られているよね。それだけではダメだというのが本書の立場だ(と思う)。

1、女性が競争の世界で働きやすくなる。2、男性もケアの担い手として偏見なく貢献できるようになる。3、ケアを軽視せず適切に評価される世の中になる。これがすべてできて初めて、仕事と家庭の両立の会話の土台が整うんじゃないかな。

少し話がまたそれますが、この時代の変化で、オンラインで色々できるようになり便利になったけど、一方で「人と直接会うこと」の価値って相対的に上がりましたよね。ケアは人に対して物理的になにかする側面が強いと感じるので、つまりケアの価値も上がってくると思うんですよね。なので、これからは「ケアが重要視される時代」って全然来ると思う。(突然のポジティブ)

すべてを得るために、苦しみを抱えながら頑張ってはいけない、終わりがないから

正直「仕事と家庭を両立する方法」を求めて本書を手にとった。けど、得られたのは「両立は無理」という事実だった。(とはいえできることもあるのでぜひ本読んで、、!)筆者自身も、国務長官秘書・大学教員という超エリートつよつよキャリアを持ちながら、育児と仕事の間で苦悩していた。エンジニアの端くれの私は「そこまでいってもこの苦悩は消えないのか〜」という絶望を抱いた。だが同時に安心もした。私個人の頑張りが足りないから両立できないっていう話じゃない、とわかってホッとしたんだ。

なんか「私、仕事も育児も頑張ってます」とか「育児があるのでサポートが必要です」とかを強めに主張するのって、自分の権利ばかり求めているようで少し嫌だったんです。実際は超超超頑張っているしサポートは必要なんだけど。

でも違うわ。今私が、何も言わずに人知れず踏ん張って、苦しんで頑張って、成し遂げてしまうと、あとに続く人も同じ苦しみと苦労を背負うことになるね!?とハッとなった。それは激しく嫌だな。

明日からできることはなんだろう

今年も、競争とケアの綱引きで、競争(キャリア)の側にひっぱりすぎてズッコケて、今度はケア(育児)の側にひっぱりすぎてズッコケた1年だったなあ、と振り返ると思います。たぶん来年もそうだろう。いきなり変われる魔法はない。それでも、私は来年もこの仕事を続けます。エンジニアとして競争(キャリア)と、2人の可愛い子どもたちのケアを、行き来し、綱引きし、どちらに居る自分も好きでいたい。

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堂々と競争し、堂々とケアするぞ。どっちも尊い仕事なのだから。本書に書いてある「言葉を変える」とか小さい行動も良いよね。(全ページ本当にいいこと書いてあるから本を読んで。。。)男女関係なく、ケアとキャリアの間で悩む人と一人でも多く会話して、先人にアドバイスと勇気をもらい、後に続く人たちの背中を押していきたい。おこがましいかもしれないけど、お節介していくんだ。

でも本当にさ、キャリアを選べば褒められて、ケアを選べば無視される(透明人間になる)、そんなのアホらしいよ、もう辞めよう。本書でも繰り返し言っているけど「キャリアよりケアが大事!」ではないんだ。キャリアの価値を落とす必要はない。ただ、ケアの価値も認められれば良い。

どちらをどういうバランスで選んでも「それは素晴らしいね!」と、言えるといいよね。みんな心のままに生きよう。

仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント

とにかくこれを読んでほしい。全ビジネスパーソンに。競争社会で生きてきたすべての人に。ケアの世界で生きてきたすべての人に。

p.s.同志へ

育休中で小遣いなくてこんな高い本買えない?今すぐwishlistにつっこんでURLを @kaori_cho にDMください。本当にまじでそのくらいの勢いで読んでほしい本です。

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