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大嫌いだけど親友だ

人間関係は相性だけで決まらない
彼と話すとつくづくそう思う。

田代は、僕の親友だ。
新しい小学校に転校して最初に

いちばん最初に嫌いになった奴だ。


僕は算数大好き、運動は苦手。
頭でっかちで理屈っぽい子どもだった。
人に迷惑をかけるなと育てられた僕が、自由奔放・自己中心的で勉強嫌いの田代を見下すのは(当時の僕の価値観からすれば)当然のことだった。

彼もいわゆる『優等生』な僕を気に入らなかったらしい。何度大喧嘩したか回数は忘れたが、小4のとある放課後、泣きながら田代に(届く訳ないのに)机を投げつけたことは覚えている。
 ※ モノは大切に扱いましょう

転校から中学卒業まで4度もチャンス(クラス替え)があったのに、田代はいつも同じクラスだった。なんてクジ運だ。

正直、なぜ仲良くなったのか覚えてない。
誰にも共感されなかった家庭の悩みが一致したり、自分に無いものを持っていると気づいたりと、思い当たるフシはあるけれど、要するに『腐れ縁』なんだろうな。


そこから30年。
お互い、何年ぶりに会っても
「久しぶり」という言葉が出ない。
姿、職業、名前までも変わったが
何も変わった気がしないのだ。

何の進歩もない話の中身。
何の進歩もない互いの性格。
当然のように意見が合わない。

会うと毎回
「あぁ、やっぱり嫌いだな」
と思う。

そして毎回
「あぁ、やっぱり嫌いだわ」
と伝える。

2人で笑う。


これが、ある意味『相性が良い』ということなのか、僕には分からない。分からないが、その言葉には猛烈な違和感がある。生まれ変わったら彼を友人にするとは思えないからだ。


でも、お互いに確信している。

大嫌いだけど、親友だ。



そういえば、元気かなぁ

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