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初めて欧州のプロクラブを率いた日本人監督・濵吉正則氏による著書『サッカープレーモデルの教科書』。はじめにを公開。

 欧州のクラブで、プレーモデルは当たり前のように取り入れられているが、日本ではプロクラブですらプレーモデルという文化が定着しているとは言えない。本書は、グラスルーツの指導者にもプレーモデルの概念を理解できるような教科書となってます。
 欧州のプロクラブを率いた初めての日本人監督・濵吉正則氏による「サッカープレーモデル」の教科書。「はじめに」を公開です。


【はじめに】

 ヨーロッパから帰国し、3年が経とうとしています。オーストリアでは、2016年4月にSVホルンの監督を務めさせていただきました。結果として3部リーグで優勝し、2部リーグに昇格を果たしたことで、当時、ヨーロッパのプロリーグで監督を務めた初めての日本人になることができました。また、このオーストリアでの監督経験を通じて「またヨーロッパは日本より10年は進んだな」「日本のサッカーとは別物」と感じ、『プレーモデル』の重要性も知ることができました。
 現在、私は九州産業大学サッカー部を指導する傍ら、ヨーロッパでの監督経験を活かし、日本で指導者講習会などを開催しています。ヨーロッパでは、当たり前のように使われるプレーモデルという言葉を、最近は日本でも多く見聞きするようになり、またプレーモデルに関する書物や資料も多く見られるようになりました。
 今になって思えば、私は本格的に指導者を志したときからプレーモデルを通して、指導者としての学びをしてきたように思います。大阪体育大学時代に指導を受けた祖母井秀隆氏からプレーモデルの基礎となる「共通理解」の重要性を学び、大学1年生頃に2軍の夏合宿で、後に私のスロベニアでの師匠となるズデンコ・ベルデニックから、当時ヨーロッパでトレンドになりつつあった「ゾーンプレス」の指導を受けました。
 また1995 - 1999年の4年間スロベニアへ留学し、ベルデニックに加え、故ブランコ・エルスナー(元オーストリア代表監督 他)というの3人目の師にも出会うことができました。エルスナーからは、プレーモデルの理論と実践、育成における一環指導やタレント発掘について学びました。SVホルン監督就任の際にはブランコ・エルスナーの弟子ということで紹介され、改めてエルスナーの偉大さを認識しました。
 日本に帰国し、改めて感じたのが日本では様々なメソッドやスタイルが乱立し、指導者がそれらをつまみ食いしているような状態になっていることです。育成年代においても、指導者や選手が混乱し、本来持っている選手の力や可能性を引き出せていないようにも感じます。
 おそらく、この本を手にとられた方は、『プレーモデル』『プレー原則』『戦術的ピリオダイゼーション』など、ここ5、6年でヨーロッパから入ってきた新しいサッカー理論への興味や疑問を抱いているのではないでしょうか。また、指導への行き詰まりや指導体系を整理したい、指導を始めたばかりで体系的にサッカーを学びたい方もいらっしゃるでしょう。私は、長年の指導活動を通して得てきた理論や経験が、読者の
みなさんの役に立つことができればとてもうれしく思います。


【目次】

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9784862555731大

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『サッカープレーモデルの教科書 個を育て、チームを強くするフレームワークの作り方』
著  濵吉正則
ページ数 224
判型 A5判
本体価格 1,900円
出版社 カンゼン
発売日 2021年1月6日


【著者プロフィール】

濵吉正則(はまよし・まさのり)
1971年7月5日生まれ 兵庫県出身 UEFA PRO COACHING DIPLOMA 九州産業大学サッカー部監督 大阪体育大学卒業後1995-99年にスロベニアへコーチ留学。リュブリアナ大学体育学部在籍中、スロベニア代表に帯同しながら、NK JEZICA、NK DOMZALE、HIT GORICAなどでU10やU18などで下部組織の監督を務める。帰国後は柏レイソルU-18監督、名古屋グランパスU15監督、名古屋グランパス、徳島ヴォルティス、ギラヴァンツ北九州などでトップチームコーチやスカウトを務める。UEFA PRO COACHING DIPLOMA(UEFAプロ コーチングライセンス)を2003年に取得。2016年にSVホルン(オーストリア)の監督に就任すると、 3部リーグ優勝、2部リーグ昇格を果たし、欧州のプロクラブを率いた初めての日本人として注目される。現在は大学サッカー部を務めながら、指導者向けのセミナーを行なっている。


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