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沖縄がコワーケーションを始める日

去る11月7〜8日に(もう2週間以上も経ってしまった!)、沖縄の那覇市と宜野湾市でコワーキングとコワーケーション(コワーキング+バケーション)をテーマに講演してきたので、その概要をざっと記録しておきたい。

※なお、今回の講演では、当日、会場に来られた方だけにしかお伝えしていない情報がありますが、それはもちろんここでは書きません。「ざっと」というのは、そういう理由だからです。なので、なにやら回りくどい部分もありますがどうかご容赦ください。お知りになりたい方(コワーキング関係者、宿泊業関係者、地元自治体、行政の方)は、ぜひ勉強会に呼んでください。

「運営者のため」のコワーキングツアーに衣替え

初日、7日(木)は4月以降しばらくお休みしていたコワーキングツアーに新しいルールを設けて再開したもので、那覇市のOKINAWA Dialog さんに会場提供でお世話になった。

告知はこちら。実は2年半前にも沖縄にはツアーで来ているが、今回は17回目だった。

ちょっと注釈しておくと、これまでのコワーキングツアーは、以下のような手順で開催していたのだけれども、

・まずツアーする地方を決めて
・その地方にあるコワーキングを順に訪ねて回るスケジュールを告知し
・コワーカーの方々に「現地集合・現地解散」「途中参加・途中離脱OK」で参加してもらって
・行った先のコワーキングでイベントしたり交流会したりする

これを、今回から参加者を「コワーキング運営者」に限ることにしてみた。

そもそも、3年前にツアーを始めたその目的は、参加したコワーカー、というかリモートワーカーが各地のコワーキングを体験することで、地元に帰った時や他の街のコワーキングに行った時に「あそこのコワーキングではこんな人が」とか、「あっちではこんなことが」とか、いわばカタリストとなって伝えていくことで、「ほんじゃ、俺たちも行ってみるか」というきっかけを作り、つまりリモートワーカーがリモートワーカーをけしかけるというプロセスを経て、結果、その人たちがローカルのコワーキングをつなげてくれて、いずれ日本中であっち行ったりこっち行ったりするリモートワーカーがウジャウジャ現れて各地のコワーキングをいわば日本中に存在する自分のコミュニティにしつつ、行った先々で仲間を作り、コラボして仕事したりするうちにローカル・エコノミーにも貢献する、以ってローカルを賑やかにする、ということをイメージしていた。

ただ、実際にはなかなかそういう動きにはならなかった。で、よく考えたらむしろコワーキング運営者を直接つないだほうが早いなと、今更ながらに気づいたわけで(遅い)、今回からコワーキング運営者、あるいはコミュニティマネージャーの方に限定して参加者を募るスタイルに衣替えした。

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今回は告知期間も短かったし、場所も沖縄だったせいもあってか沖縄以外からの参加者は長野からのお一人だけだったけれど(江原さん、有難うございました)、しかし、地方のコワーキング運営者がつながることで、そのネットワークを活用して相互に補完し合えるいろんな取り組み、それも地方ならではの強みを活かした企画が実行できると考えているので、当面はこのスタイルで各地におじゃまして運営者どうしの交流を図っていくつもりだ。

ライトニングトークとバージョンアップしたプレゼンテーション

で、OKINAWA Dialog さんでは、圧倒的に女性が多いコワーキングを運営されている方、目の前が海という絶好のロケーションでコワーキングされている方、地域の商業活性化をされている企業の方、あるいは民泊を経営されている方、さらには全国各地をリモートワークされている方の飛び入りもあり、遠くタイからのオンライン参加(もえさん、有難うございました)も含めて6人の方にライトニングトークいただき、それぞれが取り組んでいることをスピーチいただいた。

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で、ぼくはと言えば、毎回、お話している以下の3つのテーマについて、新しい事例を盛り込み、従来にも増してバージョンアップしたスライド130枚余を使ってプレゼンさせていただいた。

(1)ローカルコミュニティ
 ・コワーキングとはローカル経済を駆動するコミュニティ
 ・コワーキング曼荼羅に学ぶこれからのコワーキング
 ・地域のコワーキングが連携することの意義 …他
(2)リモートワーク
 ・時間と場所を有効に使う働き方
 ・「移住」ではなく「移働」する人たちの拠点
 ・滞在型コワーキングのあり方 …他
(3)コワーケーション
 ・ワーケーションではなくコワーケーション
 ・コワーケーションする人たちの本当の目的
 ・次に来るのはコリビング …他

一見、脈絡がないように見えるかもしれないが、実は最後のコワーケーションにちゃんと収斂されてくる建付けになっていて、言ってみれば(1)と(2)は(3)のための前提、序章だ。つまり、いま、ぼくが地方のコワーキングに勧めたいのは、コワーケーションしましょう、ということだ。

あらためて書いておくと、コワーケーションとは「コワーキング+バケーション=コワーケーション」という造語で、コワーキングで仕事もするし休暇も楽しむというワークスタイルのことを言う。これを可能にするのが言うまでもなくリモートワークで、なので(2)がある。

最近、日本でも「ワーケーション」という言葉をよく聞くが、それはどちらかというと企業が制度として設けているもので、福利厚生の意味もありつつも仕事の延長線上にあるのが実情だ。コワーケーションはむしろ、個人が自分の意志で当然の権利として休暇を取り、かつ自律的に仕事もするというライフスタイルを意味する。つまり似ているようで全然違う。それを日本で普及させたい、というのがぼくのプレゼンだった。

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その内容は、先に書いたようにここでは公開しない(すみません)が、さまざまな立場の人がお互いの情報や知見をリアルな場で共有することは、コワーキング本来の目的でもある。それはコワーキングの5大価値として掲げられている以下の内容にも適っている。

<コワーキングの5大価値>
・Accessibility(つながり)

・Openness (シェア)
・Collaboration (コラボ)
・Community (コミュニティ)
・Sustainability (継続性)

で、ぼくもその一員として、そのことを再認識したイベントだった。

コワーケーションのポテンシャルが極めて高い沖縄

さて、あくる8日(金)は宜野湾市で、内閣府沖縄振興推進調査事業であるテレワーク環境整備セミナーのプログラムとしてお話させていただいた。

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前日はどちらかというと若い方が多かったが、この日はコワーキング関係者以外にホテルやコンドミニアム、リゾート施設など宿泊業関係の役員クラスの方が多く、さらに内閣府、沖縄県、うるま市などの行政の要職にある方にも多く参加いただいた。

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実は、両日ともほぼ同じスライドを使っていてお伝えすべき主旨は同じなのだが、この日は宿泊関係の方が多いこともあり、とりわけコワーケーションの部分に時間を割いた。

特に今回は海外事例をアップデートしたので、コワーキングが果たしてビジネスになるのかというこれまでの疑念に対しても、希望を抱いてもらえる内容になっている。

例えば、VCから億単位の資金を調達し事業拡張に勤しんでいるバリのコワーケーションや、フランスのホテルチェーンが2022年までにヨーロッパ中の1,200のホテルにコワーキングスペースを設営するという計画、さらにはコロンビア発祥で今や世界中13カ国で22,000床を持つブティックホテルチェーンがコワーキングも開設していて、今年4月に1億ドル(約105億4,000万円)を調達した事例などはかなり説得力があったと思う。ちなみに、そのコロンビアの会社の4月時点での時価評価額は8億5,000万ドル(約895億9,425万円)だった。

ここまで聞けば察しがつくと思うが、海外ではコワーキングがただの作業場で一席1日数千円を稼ぐ場所貸しビジネスとしてではなく、そのスキームとステージを使って違う次元のビジネスモデルを載せて回していく、次のフェーズに入っている。

そのへん、さすがビジネスパースンの皆さん、結構インパクトがあったらしく、セミナー終了後に主催者が取っていただいたアンケート結果を見たら、「ローカルコミュニティがあり、人が人を呼ぶ仕組みが判った」「コワーキングの概念が変わった」とあるのに続いて「コワーケーションの日本と海外の違いが知れてよかった」、さらに「コワーケーションの取り組みを始めたい」「世界中から沖縄にコワーカーが来てほしい」と来て、ついには「新しい世界観に感動しました」とまでお褒めいただき、恐悦至極に存じた次第だ。

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沖縄はコワーケーションのポテンシャルが極めて高い。でも、誰も気づいていない。だから、この仕事をお引き受けしたわけで、このままスタバ代わりの発想で終わってしまうのは事業者にとっても、また地元にとってもあまりにもったいない、むしろ沖縄の持つリソースをふんだんに盛り込んだコワーケーションを実行する局面に来ている、と具体的な策も交えてお話しした。

そしてそれは、今回、内閣府がセミナーの講義内容に要求した沖縄の課題解決の大きな緒にもなっている。(それはここでは書けません。すみません)

実はぼくにはそのアイデアと準備がすでにあり(これもすみません、ここでは書きません)、セミナー後に早くも何社かから再度の講習を打診され、早速ご相談のアポイントもいただいており、これを起点に、以後、沖縄におけるコワーケーションの実現に向けて継続的にお手伝いしていく予定だ。

全国に拡げたいコワーケーション勉強会

ぼくとしては来年以降、こうしたコワーケーションのセミナーを全国各地、特に地方都市で開催し、前向きに取り組んでいきたい事業者の皆さんにお集まりいただいて定例的な勉強会を開いていく。

なので、冒頭にも書いたが、ローカルでビジネスとして成立させるコワーケーションの何たるかをお知りになりたい方(コワーキング関係者、宿泊業関係者、地元自治体、行政の方)は、ぜひ呼んでください。お問い合わせはこちらまで➔ ito@cahootz.jp 。

なお、このセミナー中に、バリ島でのコワーケーション体験ツアーも企画中だと話したら、それにも参加したいという方がやっぱりおられて、俄然、実現性を帯びてきている。

できれば、このバリツアーにスポンサードしていただける企業さんがおられたら有難いのだが、例えば、これからのリモートワークが当たり前になる社会において新しいビジネス領域を拡げられると考えておられる企業の方、一度、ご検討願えないだろうか。ご興味ありましたら、企画書を持って説明にあがります。お問い合わせはこちらまで➔ ito@cahootz.jp 。

それと蛇足だが、しばらく休刊状態になっているnoteのマガジン『ちょっと先行く海外コワーキング&コリビング最新情報』も、少し編集方針を変えて再開することにした。ちょっと他にはない、コワーキング+コワーケーション+コリビング専門誌なので、気になる方はフォローしておいてください。


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