救急医学 胸腹部外傷
胸郭損傷
肋骨骨折:胸部外傷で最多
多発肋骨骨折:片側4本以上の骨折
フレイルチェスト:連続する3本以上の肋骨の1本につき2ヶ所以上の骨折
間の部分が動揺区画となり奇異性運動呈する
肺損傷
肺裂傷・肺刺創:損傷で肺が強く虚脱すると緊張性気胸生じる
(緊張性気胸は閉塞性ショック伴う気胸で、胸腔ドレナージを必要とする)
肺挫傷:鈍的外傷による
気管・気管支損傷
頻度は低いが重篤化しやすい
主気管支が損傷しやすく、縦隔気腫生じる
大血管損傷
死亡率高い
胸部大動脈損傷:峡部に多く、縦隔血腫や心タンポ生じる
肺動脈損傷:頻度低い
上下大動脈損傷:心タンポ生じる
心損傷
心筋挫傷:不整脈誘発する
心臓振盪:打撲による心室細動 スポーツ中の突然死につながりやすい
胸部の診断
視診:チアノーゼ、頚静脈怒張などの確認
触診:圧痛、握雪感などの確認
聴診:心音減弱から心タンポナーデを確認できる
打診:鼓音なら気胸、濁音なら血胸
心電図:骨折、気胸、気腫などの確認
CT:造影剤の漏出→血管損傷による出血
胸部の治療
気管挿管とドレナージ、心膜開窓で9割方処置できる
胸腔ドレナージで出血が止まらない場合は緊急開胸を行う
上腹部実質臓器損傷
肝損傷:最も頻度高い
8割は安静で治癒
Ⅰ~Ⅲ型に分類
脾損傷:腹腔内出血することが多い
膵損傷:頻度は低いが治療困難
消化管損傷
小腸損傷が最も多く、腹膜炎などを生じる
腎尿路損傷
腎損傷:スポーツ外傷で多い
肉眼的血尿ほぼ必発
腹腔内には出血しにくい
尿管損傷:極めてまれ
膀胱損傷:尿の漏出が起きる
腹部の治療
大半が緊急手術適応
特に出血例では3時間以内の治療が必要
近年、経動脈的塞栓術(TAE)が多用されている
循環動態が保たれている場合は有効
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