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整形外科学 軟部組織・骨・関節感染症

壊死性軟部組織感染症

①壊死性筋膜炎

皮下脂肪組織と固有筋膜の間に存在する浅層筋膜に細菌感染生じ、筋膜に沿って急速拡大
広範壊死と毒素性ショックで重篤な全身症状引き起こす
通常筋組織は侵されない

外傷部位から直接感染しやすく、糖尿病や薬物中毒者に多い
四肢、特に下肢好発
(糖尿病では痛覚低下しており早期発見しにくい)

起因菌
嫌気性溶血性連鎖球菌
黄色ブドウ球菌など
劇症型A群β溶血性連鎖球菌の場合は七日以内に届け出

②ガス壊疽

皮下組織や筋肉に壊死を引き起こす
皮下・筋層内のガスにより圧迫すると捻髪音・握雪感

起因菌
クロストリジウム
レンサ球菌
大腸菌
クレブシエラ

クロストリジウム性と非クロストリジウム性があるが混合感染が大半

治療
早期外科処置・戦場・デブリドマン
基礎疾患の治療と抗菌薬点滴
高気圧酸素療法

骨髄炎

先行する感染病巣からの血行性感染
血中に比べ骨組織の抗菌薬濃度は低いため難治性

小児では骨幹端部に好発・・・類洞があり血流が停滞しやすい
成人では脊椎が最多

骨幹端が関節包外にある場合
骨髄内圧の急上昇から強い疼痛
膿瘍形成→フォルクマン管やハバース管通り骨膜下へ→骨膜下潰瘍が形成
遷延すると骨壊死、腐骨

骨幹端が関節包内にある場合
股関節や肩関節では骨幹端が関節包内にあり、骨膜がないので膿がすぐ関節内に侵入、化膿性関節炎→虚血性壊死
直ちに関節包切開、排膿が必要

起因菌
ブドウ球菌が多い

症状
疼痛、発熱
局所発赤、熱感、腫脹

検査
赤沈・CRP,WBC亢進
MRI有用:骨膜反応、骨吸収、骨破壊、腐骨

治療
教書安静
抗菌薬:骨では濃度低いので難治性→慢性化しやすい

慢性化膿性骨髄炎

腐骨形成
腐骨では血流なく、血行乏しいので抗菌薬が届きにくい
また破骨細胞で吸収されなくなるので菌が残存し続ける

特殊型
①Brodie骨膿瘍
急性期がなく長期間無症状経過
辺縁の骨硬化伴う円形・楕円形の骨透亮像

②感染性偽関節
長管骨の開放骨折後感染における骨切除に生じた骨欠損

感染性関節炎

起因菌:ブドウ球菌が多い

原因
直接侵入
血行性
感染の波及

症状
局所熱感・発赤・腫脹
発熱・疼痛

病態
関節破壊:増生した滑膜細胞・好中球が分泌するタンパク分解酵素による軟骨融解

検査
関節液の性状
外観黄濁
白血球50000以上
糖値低下

治療
外科治療

結核性骨関節炎

好発部位
脊椎、股関節、膝関節など

症状
特異症状はない
鈍痛、運動痛、運動制限など

検査
関節液の性状
米のとぎ汁様白濁

結核性脊椎炎

上位腰椎、下位胸椎に好発

症状
Pottの三徴・・・亀背、冷膿瘍、脊髄麻痺

検査
初期:椎間板の狭小化、骨萎縮・骨吸収
進行:椎体圧潰→亀背

人工関節後感染

手術部位感染(SSI):術後30日以内の術部感染
         埋入物ある場合は1年

感染経路
細菌の創部への侵入、血行性など考えられているが不明な点多い

感染予防策
手術環境整備、術中洗浄
適正な抗菌薬
禁煙、血糖コントロールなど

整形外科手術ではインプラントをよく用いる
インプラント表面に菌が付着するとバイオフィルムを形成し抗菌薬が効きにくくなる

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