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大学生のキャリア支援で必要な3つのこと

最初に必要なこと


大学生のキャリア(就職)支援で感じた、必要な3つのことを書いてみたいと思います。自分の観点なので、すでに知ってるし、いまさらと思う人もいるかもしれないですが、あくまでも私の感じたことです。

まずはじめに

そもそも” キゃリア ” とは何か
文部科学省では以下のように定義しています。

「人が,生涯の中で様々な役割を果たす過程で,自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」の総体を「キャリア」ととらえるのである。

文部科学省

今では ” キゃリア ” とは、仕事だけの狭い範囲を示すものではなく、人生を生きていくなかにおける役割の積み重ねとして考えています。

さらに、キャリア教育の考えとしては、以下のようにとらえています。

一人一人の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成 23 年1月 31 日))

文部科学省

そのキャリア支援者として大学生にかかわる中で、多くの必要なことがありますが、今回はまず最初に必要なことをお伝えしていきます。


  1. 大学生の状況や背景を理解する

  2. 大学生の価値観を理解する

  3. 自己認識する機会をもつ

  4. まとめ


1.大学生の状況や背景を理解する

ひとりひとりその学生の状況を把握することが大事

1つ目に奨学金
なぜなら、大人もそうですが、大学生もさまざまなことを抱えています。
日本学生支援機構の令和2年度学生生活調査によると、
昼学部に通う学生に関して、奨学金の利用率は49.6%

奨学金には貸与型と給付型があり、最近制度の内容が変わってきていますが、奨学金利用者における平均の借入総額は324万3,000円です。

そして、労働者福祉中央協議会によると毎月の返済額は平均1万6,880円で、返済期間は平均14.7年。また、借入総額500万円以上という人も12.4%と1割以上を占めています。

この大学生が社会人になったときのことを想像すると、本当にぞっとしますよね。高額かつ長い返済期間、奨学金返済に「不安を感じる」人は正規5割非正規7割です。

2つ目にアルバイトの収入減
さらに、コロナ禍前よりアルバイト収入も大幅にダウンしました。
飲食店やスーパー、コンビニエンスストアでアルバイトをする学生が多いですが、アルバイトなしでは生活できないという学生も約3割います。

コロナ前にもいましたが、就職が内定していない学生に、なぜ活動をしないか聞いてみると、その返事の内容は
「活動したいけれども、アルバイトしないと大学生活ができない」
でした。

この学生も、時間の使い方や就職活動に対する意識等、他にも要因はあるかもしれませんが、このような事情があることを知る必要がもあるのです。

さらに、今はパソコンやスマートフォンなしでは生活できません。
そのデジタル機器の経費もあるかと思うと、昔に比べてお金がかかる生活。
だから一概に、勉学や就職活動を優先にとは言えないのです。

今まで就職活動経費は、スーツや靴、鞄等含めると、交通費以外で約10万円はかかると言われてきました。

ただ、リクルートの2022年6月時点での情報によると、活動経費は平均して72,034円。これは、2021年卒の88,923円と比べて約1万6千円減少、コロナ禍前の2020年卒の128,890円に比べて約4割減少となっています。

採用活動のオンライン化は、企業、学生にとっても、その点ではメリットがあることなのです。

3つ目に人間関係の希薄さ
その中でも「彼らが」飢えているのは人間同士の関わりです。
地方からきた一人暮らしの人はなおさらで、
今まで精神的に厳しい状況で過ごしてきています。

極端な例だと、友人は地元の人だけ、本音で話す人は高校までの人
そんなふうに割り切った発言を多く聞いてきました。
中には、”友人をどのように作っていたか、今はわからない”
という発言も聞きます。

実際に、コロナ禍によりオンデマンドや対話の少ないオンライン授業が多く行われてきました。今でもオンライン授業がゼロではありません。
入学してやりたいことができない状況では、大学ってそもそも何だろうか? どのような意味があるのか? という思いがでても、しかたがないことなのでしょう。

特に今の3年生は、オンライン入学式で入学した学年です。
何かしら、コミュニティにはいっていないと、
顔見知り以上、友達未満”では、なかなか本音で話すことができません。

自ら積極的につながりをもつ学生と、出会ってつながるであろうタイミングをのがしたままの学生との二極化も多くみられます。
そのため、私は授業を依頼された場合は、なるべく雑談の時間を大事にしますが、それでもまだまだ十分ではないと感じています。

いずれにしても、キャリアという就職支援において必ず知らないといけないわけではないかもしれませんが、向き合う学生がどのような状況なのか、
理解しようとする気持ちが特に大切です。

  

2.大学生の価値観を理解する

背中をみて察しなさいは古い
大学生の価値観は、昔?昭和的な?価値観とはかなり異なります。

東日本大震災やリストラ、好景気ではない時代に育ち、ソーシャルネイティブ世代と言われて、生まれたときからインターネット、スマートフォンとともに育ってきた世代です。

これは多方面に影響をしていて、何か調べる時や疑問がある時も、指一本で瞬時に答えがわかることが当たり前なのです。
数字で進学が決まり、ひとつの答えをもとめてきたこともあるでしょう。

また、ダイバーシティを知り、多様な考えや価値観の違いがあること、SDGsや3R(リデュースReduce・リユースReuse・リサイクルRecycle)を学んで
きている世代です。

さらには、大学入学以前に職場体験等、キャリアというものを知る機会があるので成長意欲があります。大事にしている判断基準は、自分にとって役立つかどうかです。

就職先を決める場合にしても、
”新入社員が関わる仕事は~です。”
というような、一律的な説明を聞きたいのではなく、
”あなたは○○の仕事に関わり、そして、将来のキャリアステップとしては~となります。というような具体的な ”私の成長”を知りたいと思っています。

また、入社後の理想の上司には、決して厳しい人を求めているわけではありません。最初は、”しっかり話を聴いてくれる人””やさしく関わってくれる人”が理想なのです。

それゆえに、社会人になったら、
”黙って、先輩社員をみながらまねして覚えていくことがよい”
と思っている方は、この価値観を理解したうえで接していくことが求められています。

  


3.自己認識をする機会をもつ

経験は価値あること
多くの大学生は、就職活動ではじめてこのような問いに直面します。

”自分とはどのような人なのか?”
”自分の強みや弱みとは?”
”今までにがんばってきたことは?”

今までの経験を振り返ることが少なく
自分のアイデンティはなんなのか、自分とは?に関して
今までに考えたことがないことを言語化しなくてはなりません。

過去にさまざまな失敗や、がんばったことなどの経験が多いと
想像もできてそれほど苦戦することは少ないかもしれません。
それでも自分の経験が、自分にとってどのようなものであったのか
意味づけをしたことがないのです。

例えば、幼少のころから何かしらスポーツ(ここでは野球を例とする)を
続けてきた学生は、最初に高確率でこういいます。

「野球しかやってこなかったから、他には何もしていません」

え……(内心、またかと思いつつも)。
野球というチームを、企業に見立てて話をしていきます。

  

野球部の学生を一例としてかみ砕いていきます。

日々の練習  →目標までの努力、積み重ね、個人の課題に対峙
チームの練習 →チーム意識の熟成、チームとしてどう機能していくか           
        それぞれの役割を考える視点、俯瞰力
チームで勝つ →何が課題になっているか分析、戦略を立てる
対戦相手   →分析力、作戦、計画
監督やコーチ、OBとの関係 →上下関係の経験、挨拶や礼儀

まぁきりがないですが、企業にはいって学ぶことを
その野球というチームスポーツで学んでいるわけです。
もちろん、その視点は最初は本人の中にはないことが多いので、
だからこそ、意味づけを一緒にしていく必要があるのです。

キャリア(就職)支援に含まることですが、
どのような経験でも、その経験にどのような価値があるかを
具体的に気づかせていくことが大事になってきます。

4.まとめ

3つの必要なことをお伝えしましたが、
今回お話ししたことは本当にごく一部です。

大学生を支援というか、道筋を一緒に考えていく場合
私は特に同じ目線にたつことが大事だと思っています。

私たち大人は、ただ先をいくものとして、寄り添い、ことばにならない非言語を感じながら関係性を育てて本音をひきだし、相談にのっていくこと。

ただし、就職活動においては、特に親としての助言はときに
弊害になります。

”自分の時代はこうだった”
”そのやり方でいいの?”
”そんな聞いたことがない企業でいいの?”

このような発言は、かえって本人を苦しめてしまいます。

育ってきた背景を考えながら時代の状況を読み解き、関わっていく
それがまずは最初にあると思っています。

他にも課題はたくさんありますが、次世代の応援者としてできることを
立場はちがったとしても、大人は応援していきたいものです。

ここまで長々読んでいただいて
ありがとうございました。





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