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巫蠱(ふこ)第十九巻【小説】



草笠くがさクシロと後巫雨陣ごふうじんえつ

「ありがとう、いただくよ」

 クシロは説(えつ)のゆびのあいだからっぱをる。かるあじる。

「あまいしる。からさもある。食感しょっかん心地ここちいい」

 さらにかみちぎる。

すじのすっぱさが絶妙ぜつみょうきがない。おいしい」

 そんなかれ感想かんそうえつ何度なんどもうなずいていた。

茶々利ささりシズカと後巫雨陣ごふうじんえつ

 それから説(えつ)はクシロのとなりうつす。

「あなたもどうぞ」

 クシロとえつはなしているときも棒立ぼうだちでいたかれ、シズカにっぱをはさんだゆびかう。

 が、シズカはくびる。
一方的いっぽうてきにもらうのもがひける」

「それならわりにわたしのはな相手あいてになってください」

茶々利ささりシズカと後巫雨陣ごふうじんえつ

 ともあれシズカとクシロはふたたび街道かいどうひがしすすむ。ややまえあるえつにシズカがう。

おれたちと接触せっしょくしたのは独断どくだんか」

 彼女かのじょくびだけでかえって「うん」とこたえる。
 たいして質問しつもんかさねるシズカ。

「そもそもおれたちのことをっていたのか」
「そういう可能性かのうせいおもっただけです」

茶々利ささりシズカと後巫雨陣ごふうじんえつ

「『かみ』ってってます? しめすへんに日読ひよみのさるく『かみ』です」

世界せかい多大ただい影響えいきょうおよぼすとされる未確認みかくにん存在そんざい。または特定とくていのものにたいする最上さいじょう畏敬いけいめた
昔話むかしばなしにはるが、もう使つか人間にんげんもいない。古語こごだな」

死語しごとはわないんですね」

後巫雨陣ごふうじんえつ

「ふじょ……いえ、『みこ』はもともとかみおもい、かみこえものでした。

未確認みかくにんともされる存在そんざい最上さいじょう畏敬いけいめておつかえしていました。

「しかしかみ言葉ことば変容へんようした今日こんにちにおいてはこえくにも工夫くふうする必要ひつようがあります。わたしはその方法ほうほうを『可能性かのうせい』にもとめました」

後巫雨陣ごふうじんえつ

世界せかいはあらゆる可能性かのうせいちています。可能性かのうせいすべっている存在そんざいかみびます。

「すなわち、可能性かのうせいおもうことはかみおもうことにひとしいのです。

無数むすう可能性かのうせいのなかには『ぜん』の可能性かのうせい網羅もうらされています。それが、わたしという巫女(ふじょ)のかみこえなのです」

後巫雨陣ごふうじんえつ

「あなたがたのしんじる現実げんじつも『可能性かのうせい』です。いまかんじている現実げんじつが、世界せかい自分じぶんすべてとおもいますか。ここにある世界せかい自分じぶんが、無数むすう存在そんざいする『可能性かのうせい』のひとつにすぎないとしたら」

 説(えつ)はくびまわしつつ、後方こうほうあるくふたりをる。

「なぜ、わらっているんです」

草笠くがさクシロと後巫雨陣ごふうじんえつ

 ふたりのうちの片方かたほう無表情むひょうじょうだった。
 だが、もう一方いっぽうかおがほころんでいたのだ。

かみについてはよくからないけど説(えつ)がいたいのはいろんな世界せかいひと想像そうぞうするということだよね。それって小説しょうせつみたいだなって」

「うん……あなた、名前なまえは」
「クシロでいいよ」

▼そとの世界せかい

うしろをて。となりのかたも」

 クシロとシズカは説(えつ)にわれたとおりにかえる。そこには夕暮ゆうぐれがあった。東西とうざいびる街道かいどうからたためか西日にしびおおめにはいる。

「わたしとはなしてくれてうれしかった」

 ふたりがふたたびひがしたとき、彼女かのじょはすでにえていた。

茶々利ささりシズカと草笠くがさクシロ⑩

 なおしてシズカたちは、あいかわらず街道かいどうひがしにたどる。

 だがそろそろ、みちのかたちに変化へんかはじめた。
 木々きぎ街道かいどう境目さかいめすこしずつきた湾曲わんきょくしているようなのだ。

 そのままみちなりにゆけば、じきにあしきたかうことになる。

「シズカさん、もうすぐきますね」

茶々利ささりシズカと草笠くがさクシロ⑪

「宙宇(ちゅうう)によると之墓(のはか)と宍中(ししなか)の境目さかいめのそとに葛湯香(くずゆか)がいるんだったな」

彼女かのじょ特徴とくちょうからないのにどうやってつけます」

天幕てんまくさがせばいい」
天幕てんまくうとぬのでおおわれた住居じゅうきょですか」

「そうだよ。彼女かのじょ移動いどうしてるんだ」

茶々利ささりシズカと草笠くがさクシロ⑫

 ある程度ていど北上ほくじょうしたところでその天幕てんまくつかった。街道かいどう右手みぎてに、だいだいいろ天幕てんまくられていたのだ。

目立めだちますね」
おれ情報網じょうほうもうにも以前いぜんからひっかかっていた」

 天幕てんまくのそばには、看板かんばんがあった。
「あなたの一番いちばんらないものをください」といてあった。

茶々利ささりシズカと刃域じんいき葛湯香くずゆか

★分岐点⇒[ありえると思う選択]

「すみません」

 天幕てんまくまえでシズカがこえをあげる。
 すると、なかからだれた。

きゃくですか」
「あなたにようがあります、葛湯香(くずゆか)さん」

用件ようけんくが、いきなり初対面しょたいめん人間にんげん名前なまえぶな、こわいだろ」
「すみません」

 シズカはあやまって、れい紹介状しょうかいじょうせた。

刃域じんいき葛湯香くずゆか

 葛湯香くずゆか紹介状しょうかいじょう文面ぶんめん確認かくにんする。

「宙宇(ちゅうう)の筆跡ひっせきか。

茶々利ささりシズカとその部下ぶかひとりを我々われわれ案内あんないするように。彼等かれらぐん関係者かんけいしゃで、安全保障あんぜんほしょう観点かんてんから巫蠱ふこ動向どうこうさぐりたいらしい』

「……なんだ、てっきり『始末しまつしろ』とかかれているかとおもった」

刃域じんいき葛湯香くずゆか

 紹介状しょうかいじょうをシズカにかえし、葛湯香くずゆか天幕てんまくからややはなれた場所ばしょ移動いどうした。
 そこも街道かいどう沿いのである。

 どこからしたのか、火打ひういし火打ひうがねわせ、っぱにちいさなをつける。

 くゆりながら、けむりたかくのぼる。

「のろしだよ。まずはアレの意思いしう」

茶々利ささりシズカと刃域じんいき葛湯香くずゆか

葛湯香くずゆかくが――」
「こんなほそけむりもりこうにつたわるのかとおもっているな」

「……ああ」
かるとおもうしかないさ」

「やはり『おもう』ことが巫女(ふじょ)のちから」
「どうだろうね」

「それと、アレとはなんだ」
「アレはアレだろう。ソレでもコレでもドレでもない」

▼そとの世界せかい

彼女かのじょをつけたっぱ」

 クシロがシズカに小声こごえはなしかける。

「説(えつ)が自分じぶんたちにくれたものとおなじじゃありませんか」
たしかに。食用しょくよう以外いがいにも使つかえるらしいな」

 シズカはこえひくめずこたえた。
 それに葛湯香くずゆか反応はんのうする。

「卯祓木(うばらき)というへん植物しょくぶつさ」

宍中ししなか十我とが

 ところで、葛湯香くずゆかのあげたのろしはもりこうにとどいたのか。
 事実じじつべれば、すぐに気付きづいたものがあった。

 宍中(ししなか)のむ蠱女(こじょ)、十我(とが)が上空じょうくうけむりをみとめたのだ。

うすいし、ほそい。でもかる。たぞ。予想よそうたったな。蓍(めどぎ)」

赤泉院せきせんいんめどぎ

 十我(とが)のうしろの足下あしもとだれかがていた。
 その人物じんぶつがる。

 彼女かのじょこそが筆頭巫女(ひっとうふじょ)の赤泉院蓍(せきせんいんめどぎ)である。

 くさむらをふとんわりにしていたため、上体じょうたいこすときにむしたちがった。

けむりはひとすじ。おおくてもふたりか」

宍中ししなか十我とが赤泉院せきせんいんめどぎ

 ふくいたむしをつぶさないようはたきながら、めどぎがった。

十我とが客人きゃくじんまねれる。うちの屋敷やしきってるから、こうがわたしにいたくないとわないかぎれてて」

「いいよ。ただしあぶないとおもわれたらかえす」

やさしいな。じゃ、おたが穏便おんびんにいこうか」

宍中ししなか十我とが

 それから十我とが自分じぶんいえ屋根やねにのぼった。
 そこにころがっていたひらほどのたまひろう。

 たまからていたひもにをつけ、天高てんたかほうげる。

 ゆるやかな放物線ほうぶつせんをたどる途中とちゅうおともなくたま爆発ばくはつし、ひかりけむりをあたりにらした。

 するとほどなくして、もりこうのけむりえた。

宍中ししなか十我とが刃域じんいき葛湯香くずゆか

むかえるか」

 屋根やねからおり、地面じめんくさり、もりまえまですす十我とが
 まり、しばらくつ。

 木々きぎのあいだから葛湯香くずゆかあらわれたのは日没後にちぼつご
 客人きゃくじんふたりをれている。

「ここ、むしおおいからけろ。……あれ、十我とががいる」
「おつかれ葛湯香くずゆか。あとはぐよ」

刃域じんいき葛湯香くずゆか

 葛湯香くずゆかかげおおきくみえた。それなりのたんすを背負せおっていたから。

 れい天幕てんまくもたたまれ、収納しゅうのうされている。

 そして一見いっけんどもしかとおれないほど密集みっしゅうする木々きぎのあいだを、彼女かのじょはつかえることなくけた。みちえらび、をひねりながら。

(あとで配置はいちえておこう)

巫蠱ふこ

 みぎれ、姿すがた葛湯香くずゆか
 彼女かのじょかって案内あんないれいべる客人きゃくじんふたり。
 こぶしで自分じぶんのほおを小突こづきながら、客人きゃくじんたちを観察かんさつする十我とが

 彼等かれら視線しせん葛湯香くずゆかからはずれたとき、十我とがくち使つかわず鼻孔びこうだけでためいきをついた。

歓迎かんげいします。敵地てきちにのこのこ度胸どきょうを」

茶々利ささりシズカと宍中ししなか十我とが

「ではわたしのいえに。葛湯香くずゆかったとおりむしおお土地とちですが、彼等かれら無害むがいです」

 十我とが客人きゃくじんふたりを誘導ゆうどうする。
 三人さんにん移動中いどうちゅう自己紹介じこしょうかいませた。

 客人きゃくじんのひとり、シズカはおもう。

宍中ししなか三姉妹さんしまいくるうはまあ有名ゆうめいで、御天みあめわずもがな。だが十我とが情報じょうほうはないにひとしい)

(つづく)

▽次の話(第二十巻)を読む

▽前の話(第十八巻)を読む

▽小説「巫蠱」まとめ(随時更新)

★IF[ありえるとおも選択せんたく

茶々利ささりシズカと刃域じんいき葛湯香くずゆか①」より分岐ぶんき可能性かのうせいろくわり

「すみません」

 だいだいいろ天幕てんまくかってシズカがこえげる。

 すると、天幕てんまくのなかからだれた。

きゃくですか」

「はい」

 シズカはあえて本当ほんとう用件ようけんかくした。なるだけ彼女かのじょたち巫蠱ふこ情報じょうほうれるためである。

「そこの看板かんばんに『あなたの一番いちばんらないものをください』とありますが、ここはいったいなんのおみせでしょう」

 天幕てんまくからもの名前なまえをシズカはすでにっている。

 巫女ふじょ刃域じんいき葛湯香くずゆかだ。

 彼女かのじょ天幕てんまくで、とある商売しょうばいをしていることも、それがどういうみせかも事前じぜん調しらべてある。

 だが、いまはきゃくとして反応はんのうる。
 葛湯香くずゆか初対面しょたいめんのクシロにとっては、巫女ふじょのひとりをじかに理解りかいする機会きかいにもなるだろう。

 とう葛湯香くずゆか値踏ねぶみするときの視線しせんでシズカたちを観察かんさつしたあと、看板かんばんをこんこんたたいた。

「ここにいてある代価だいかって、もの提供ていきょうするんです」

ものとは、おちゃでしょうか」

 そんなクシロの疑問ぎもん葛湯香くずゆかかずこたえる。

代価だいか次第しだいわります。ただ、おさけどくしません。どうです、ためしに利用りようしてみては」

「しかし一番いちばんらないものが代価だいかなのでしょう」

 クシロはすこしうつむいて、かんがえる姿勢しせいをとる。

一番いちばん必要ひつようなものとわれたら、『いのち』とか『時間じかん』とか『おかね』とか『自由じゆう』とか、いくらでもおもきますが」

「これまでのきゃくには大金たいきんをわたしにくれたひともいました」

ひとによって大切たいせつなものがちがうように、大切たいせつでないものもまたちがうというわけですね」

「いいや」

 ててある看板かんばん葛湯香くずゆかりかかる。

大切たいせつなものと、必要ひつようなものは、なるものです」

 看板かんばん彼女かのじょおもみをけてかたむいたが、たおれることはなかった。

「となると、ぼくは『欲望よくぼう』をあげたいとおもいます。きる原動力げんどうりょくとしては大切たいせつだけれど必要ひつようかとわれればそうでもありません」

「いいでしょう。その欲望よくぼうをもらいましょう。どんなものです」

絵本えほんきたいんです。それで世界中せかいじゅうのみんなにまれたいんです」

「それはゆめでは」

 冷静れいせいかえ葛湯香くずゆか

 一方いっぽうのクシロはちいさくわらう。

「いや、そんな立派りっぱなものではないのです。あけすけにえば、『いい地位ちいれてちやほやされたい』だけで」

「そうですか、あなたの一番いちばんらないもの、たしかにりました。少々しょうしょうちを」

 看板かんばんからはなし、葛湯香くずゆか天幕てんまくのなかにもどった。

 それからほんのすこって彼女かのじょはふたたび姿すがたせる。

 ものはいった湯飲ゆのみをっている。

あついのでけてください」

 湯飲ゆのみをわたされたクシロはゆっくりとそれをくちはこんだ。

 なかの液体えきたいいろみどり
 はなちかづけた瞬間しゅんかん湯気ゆげにがみがのぼってきた。

 湯飲ゆのみをとおして液体えきたい温度おんどつたわり、ひらがややれたような心持こころもちがする。

 そろりと口内こうないあつさがたす。ぐきから口蓋こうがいした根元ねもといたるまで、じんわりとねつがしみこむ。

 いったん湯飲ゆのみからくちはなし、ける。

 ねつがひいていくごとに、にがみがしたにおりてくる。

 そのにがみをそうと、もう一度いちどくちふくむ。

 しかしあついためにそれもながくはつづかない。

 こうしてあつさとにがさをかえす。

 だが湯飲ゆのみのそこがみえたとき、クシロはそのふたつが体内たいない調和ちょうわしていることに気付きづいた。

 食道しょくどうにも温度おんどひろげ、ちたそれは、最終的さいしゅうてきちょうたっする。

 ちょうどその頃合ころあいにはあつさがほどよくけ、ぬくもりだけがのこっている。

 ひられもいつのまにかやわらげられている。湯飲ゆのみとのあいだに出来でき隙間すきまに、やさしく外気がいきがすべりこむ。

 あるしゅ不均衡ふきんこうおもわせる感触かんしょく再度さいどちょうおもさせる。

 のこったぬくもりのなかにふるえがかくれている。その微動びどうは、にがみの名残なごりちがいない。

 ふるえがぬくもりをたもち、ぬくもりがふるえをつつみこんでいる。

 腸内ちょうない運動うんどうひら再現さいげんされるのみならず、クシロの全身ぜんしんへとおよぶ。

 というより、すでにかれからだ調和ちょうわのなかにあった。
 かれ自身じしんがそれにあとから気付きづいたとうほうがただしいだろう。

 その作用さようのうひいてはこころにもばしていた。

 かれあま欲望よくぼうにがみによってうばわれた。

 ただしうばわれたのは欲望よくぼうだけだった。

 同時どうじに、ねつがあったからだ。

 ねつは、あまさのせた、純度じゅんどたか感情かんじょうはたらきかけた。

 そこにあるのはひとつだけ。

絵本えほんき、みんなにんでもらいたい」という、ただのゆめがそこにあった。

「そこ」とは、こころだけをすのではない。なぜならねつかれすべてをふるわせていた。

 よってかれ草笠くがさクシロは、全身全霊ぜんしんぜんれいで、そのひとつを総体そうたいとして「ゆめ」をかんじていた。

 代価だいかに「欲望よくぼう」をすことによって。

「どうしました、あつすぎましたか」

 葛湯香くずゆかがそううたのも無理むりはない。

 クシロが湯飲ゆのみを両手りょうてでつつみこんだまま、なみだとしてしまったのだから。

 自身じしんのほおをすべるそのなみだにさえ、あたたかさをおもったクシロであった。

もうわけないです。こんなに……こんなにいいものをもらっておいて、ぼくはただ自分じぶんのつまらないはなしかせただけで」

「いえ、代価だいかとして充分じゅうぶんだとおもいます。もうあなたの欲望よくぼうかえしません」

「ありがとう」

「おれいなんてりませんよ。一文いちもんにもならない。それとも追加ついか注文ちゅうもんで?」

「いや、この感謝かんしゃらないものではありませんので代価だいかにはならないでしょう」

「ま、そうでしょうね。さて」

 からになった湯飲ゆのみを回収かいしゅうした葛湯香くずゆかは、クシロのそばにっていたシズカのほうに視線しせんうつす。

「あなたのほうは、一番いちばんらないものをくれるんですか」

 看板かんばん片手かたてでなでながら葛湯香くずゆか質問しつもんする。

 シズカはまよいなくった。

「『』だ」

「それはれません」

理由りゆうは」

譲渡じょうと不可能ふかのうだからです。あなたは手放てばなせない。わたすこともできない。わたしのにしても一度いちどきり。

二回にかい以上いじょうぬことも、だれかにけることも、できないんですよ。たりまえのことですけどね。

「あなたもわたしの反応はんのうるためにわざとったとおもいますが」

よわりましたね。代価だいかべつ機会きかいにお支払しはらいすることにしましょう」

「そうしたいならそうしてください。で、本題ほんだいは?」

 葛湯香くずゆかはシズカと、クシロを交互こうごれる。

「なんかおまえたち、たまごのからくさいんだよ。宙宇ちゅううってから、ここにたな。

「だったら接待せったいのような態度たいどは、もういいな。そっちも口調くちょうくずせ」

 彼女かのじょはそのまま看板かんばんっこいた。

「わたしは刃域じんいき葛湯香くずゆか宙宇ちゅうういもうと巫女ふじょだ。いや、最初さいしょからってたか?

「おまえたちの名前は」

草笠くがさクシロです。じつ仕事しごとたんですが、もうそれとは関係かんけいなくきゃくとして葛湯香くずゆかには感謝かんしゃしています」

茶々利ささりシズカだ。とあるよう宙宇ちゅううから紹介状しょうかいじょういてもらって、おまえのもとにいくようわれた」

「ご苦労くろうなこったな」

 そうして葛湯香くずゆか紹介状しょうかいじょうとおした。

……………………

 あとは実際じっさいこったことと似通にかよっているだろう。
 よって今回こんかい分岐ぶんき可能性かのうせいかたるのはここまでにしておく。

(おわり)

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