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議員のなり手不足は本当か?

最近、議員のなり手不足という言葉を聞くようになりました。
先日、只見町議会運営委員会で「議員のなり手不足」をテーマに委員会の事務調査を実施しました。各委員で認識の違いがあり、また私の考えが少数派のように感じたこともあり、記事にしてみます。

只見町の投票率はどのくらい?

選挙ドットコムさんのHPによると

2024年  3月 議員選挙 無投票 
2020年11月 町長選挙 81.19%
2020年  3月 議員選挙 87.55%
2016年11月 町長選挙 無投票
2016年  3月 議員選挙 90.51%
2012年11月 町長選挙 93.09%
2012年  3月 議員選挙 91.5%
2008年11月 町長選挙 93.88%
2008年  3月 議員選挙 93.11%

選挙ドットコム

2008年の町長選挙の投票率が93.88%ってすごい数字。直近はドカッと落ちているけど全国平均よりめっちゃ高い。それだけ選挙が身近にある町なので政治参加する土壌はあるものだと思っています。

なり手不足対策検討会の設置

2024年4月8日に全国町村議会議長会が、『町村議会議員のなり手不足対策検討会』なるものを設置しました。

けど私の肌感覚では、なり手不足なんてことは全然感じていないんです。(それってあなたの感想ですよね、は一旦置いておきます)

次の議員選挙で3名は新人が出てくれるはず

まだまだ「だったらいいな」のレベルです。その時にならないとわからないのが選挙だそうで、「風を吹かすことができたなら、出ろ」と先人に教わりました。けど可能性を高くすることは続けられます。

私は一期目の途中から結構会う人会う人に「議会議員は素晴らしい仕事」と布教活動をしていました。あるあるですが「この人に議員になってほしい」と思う人ってだいたい忙しいし、出たくても出れない環境にあると思うんです。
なので(私が)この人の仕事が減らすことができれば、議会議員に出る可能性を上げられると考えました。

それからは民間の事業者さんが困ってそうなことを片っ端から勉強。税金、会計、労務、人事、マーケティング、デザイン、ICT、DX等、世間話でで出てくるワードはとりあえず勉強してこの人に戻す。あいまに議員の仕事の素晴らしさを布教する。

そんなことをしていると、コロナの給付金とか定額減税とかめちゃくちゃ詳しくなるんですよね。そういった実務に近いところにいると議会議員の本業としても良い勉強になります。

つまり何が言いたいかっていうと、新人議員候補者は、現役議員が発掘して育てることができるです。それは可能性を上げることしかできていないけど、可能性がある町にしていくのって素敵やん(懐かしい)

候補者を見つける努力をしていない、育ててもいない人が「議員のなり手不足だ」と言っちゃうのって、ちょっとかっこわるいなと思っちゃいます。(ちょっとですよ、ちょっとちょっと。)

自分の票を育てた新人に分けるのか

自分の票なんておこがましくて言えないんですが、わかりやすく例えました。
改めてですが、私は現役の只見町議会議員で二期目で最年少の43歳です。一期目は322票をいただいたのですが、自分なりに分析をすると

「期待票」+「父親の名前票」+「推してくれた友人の名前票」=9割

で「私個人の名前票」は1割もなかったと思います。二期目は残念ながら選挙にならなかったので、わかりません。つまりですね、

一期目の期待票は、次の新人にいくべき票

なので、新人に自分の票を分ける類のものではないです元々。二期目にいただけるのは自分で獲得した実績票のみだと捉えています。
新人が出なければ、自分のところにくる応援票の確率が高くなるので、新人はなるべく出ない方が現役としては嬉しい心理は働きます。

という流れなので、よほど強固な固定票を持っている方でないと、ライバルになる新人候補を探して育てようなんて発想にはならないのですたぶん。
※私は、よほど強固な固定票を持っていません

地方議会議員の報酬は低いのか

よくこの話になります。
色々思うところがあるのですが、私の考えの結論から言うと、低くないです。只見町の議会議員の報酬月額は189,900円です。ここになぜか年2回の賞与がでるので、報酬年額は約300万円になります。

本当に最低限だけ仕事をするのであれば、只見町では議員としての仕事は約90日/年。日当3万円以上です。色々思うと書いたのは、

  1. 本当に最低限の仕事しかしない議員がいるから、報酬を上げることに住民の賛同が得られないのでは

  2. 本当は仕事をしているけど、住民に伝わっていないのでは

  3. 目指すべき議会の姿(理念)がないから、報酬が高い安いの判断ができないのでは

  4. 日当3万円の仕事が見合う人なら、選挙に落ちても仕事に困らないのでは(選挙に落ちるリスクがあるから、リターンを大きくする考えの逆)

  5. そもそも今の時代に、安定した仕事を求めてるのは無意味なのでは

  6. 議員年金がなくなったけど、idecoを活用すればいいのでは(老後の保障)

  7. 地方公務員の非常勤特別職なので、個人事業主(青色申告)になって地域をよくする事業をやったらみんなハッピーなのでは

  8. 副業せずに、議員一本で勉強して仕事してほしい(毎日議員の仕事してくれよ)

な感じです。
特に8番は、本当にそのとおりだと思います。それでいくならば報酬は低いと思います。1番の最低限の仕事しかしない議員が、議員定数の多くを占めていた場合、「鶏が先か卵が先か」で議員報酬の落としどころが難しいなと思います。報酬の話は、自分がやることやってからするべきかなと個人的には思います。

個人的には、3番の目指すべき議会の姿(理念)が大切だなと思っています。そこがないと議員定数も報酬も適性値が見つけられないと思っています。

目指すべき議会の姿とは

机上の空論だけで言うと、私は議員の数を倍にして報酬を1/3にするのはありだと思っています。

現在:報酬300万円/年 定数12名
(案):報酬100万円/年 定数24名

私はですね、忙しい働き盛りの主婦の方とか、ピチピチの25歳(被選挙権)の方とか、福祉サービスを受けている方とか、議会には色んな環境の、色んな考えがある方が健全だと思っているんです。

けれども今の地方議会議員って、議員一人に求められる能力が高くて、責任も重いように感じます。万能型というのでしょうか。あれもできるこれもできるみたいな。

「法令・法律に精通している」「バキバキ数字に強い」「医療・福祉・教育・農林・建設・観光・総務など、幅広く網羅している」「時代に即した政策提言ができる」

そんな全てを兼ね揃えたようなスーパーマンには、みんながみんな、なれないんです。

それだったら、報酬と責任とリスク(落選した時の社会的)を下げて「自分はこの分野だけをやります!」のようなワンイシュー型の、多業種多人材の布陣で幅広く網羅するのも、議会の一つの姿ではあるなと思います(議会議員に出やすくする、なりやすくする、職業のイメージを変える)


議員の質を担保するためには、最低限の分母(人口)は必要だと考えるようになりました。今の只見町議会議員に求められことが「万能型に近いもの」であるならば、私は議員定数を今より減らす方が、議論の質が高くなると考える派です。

「議員定数を減らしたい」と仰る住民の方とお話して、最終的にその方は「議員の質が高かったら、議員定数は現状のままでOK」とお話されました。つまり「定数」の話をしているけれども、実際は「質」の話をされていました。3600人ぐらいの人口の町なのですが、そのうち5人のみのデータなので偏った意見ではあります。

この辺りは色んな考えがあると思いますので、対面でお話ししましょう。お声がけください。

結論:議員をあこがれの職業にしよう

あーだこーだと色々書きましたが、結局はここなんです。
野球選手やサッカー選手、芸能人やYoutuber、あこがれの職業だったら、みんななりたいんです。

そうではないってことは、現役議員である自分たちに顧みることがあるということです。ツラいですが「あんな風にはなりたくない」「あんな人と一緒に働きたくない」と思われている可能性があるってことです。

がーん。

ちょっと仕事のことを書くと、議会議員しかできないことは、

  1. 提案された議案を良いか悪いか判断する

  2. 判断したことを住民に周知する

  3. その判断した結果に責任を持ち続ける

ぐらいだと思ってます私は。
適切な判断をするために、色んなことをやってよい仕事だとも思っています。
法律を勉強したり、先進地の事例を調べたり、町民の意見を聞いたり、現場の方の情報を教えてもらったり、一緒に働いてみたり(そのために副業OKにしてあるんじゃないか)

またそのうちに、「こんなことをしたら、もっと地域が良くなるんじゃないか」みたいなアイディアが浮かんだら、自分で事業化してやっちゃった方が楽しいし早いと考えています。行政に提言してやらせる形にするのではなく。

最近は、議員の立場ではない時の方ができることが沢山あるよねと思います。町を良くするのに議員になるのは手段の一つなだけで、議員じゃなくてもできます。役割が違うだけな感じです。

議場では勉強して真剣に議案を審議する。議場の外では、なんかいっつも誰かと楽しそうに忙しそうにしている。どこ行ってもあいつ現場におるなー。みたいな人がいたら、かっこいいなと私は思っています。

自分なりの地方議会議員の理想像に近づけるように頑張っている姿を、次世代がかっこいいなあと思ってくれたら、議員のなり手不足なんて考え自体が無くなると思っています。
ちょっと夢見がちな43歳のおじさんの考えを書いてみました。えいえいおー。