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【本のあるところ ajiro】連続トークイベント「ベルクソン思想の現在 21世紀に炸裂する20世紀の生の思考」全4夜のご案内


 2022年、哲学者ベルクソンに関する重要な研究書が相次いで刊行されています。
 3月に平賀裕貴『アンリ・ベルクソンの神秘主義、5月に檜垣立哉『ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定(文庫化)、6月に藤田尚志『ベルクソン  反時代的哲学米田翼『生ける物質 アンリ・ベルクソンと生命個体化の思想、7月に平井靖史『世界は時間でできている ベルクソン時間哲学入門

 これらの刊行を記念して、全4夜の連続トーク企画「ベルクソン思想の現在 21世紀に炸裂する20世紀の生の思考」を開催します。
 各回では出演者それぞれのご著書に端を発しつつ、ベルクソンの主要4著作『創造的進化』『時間と自由』『物質と記憶』『道徳と宗教の二源泉』を読み解いていきます。
 開催場所は福岡・天神の「本のあるところ ajiro」。オンライン配信も行います。ぜひご参加ください!

【第1夜】

6月19日(日)13~15時​ 
藤田尚志さん×米田翼さん(司会:平井靖史さん)
「生きるとは?――『創造的進化』の未来」

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ベルクソンの名を世界に知らしめた『創造的進化』。そのなかで蠢く繊細なイメージ群を丹念に解きほぐしながら、この著作を「方向/彷徨」概念の脱構築の書と読み解く藤田尚志の『ベルクソン 反時代的哲学』(勁草書房)。ベルクソンと同時代の生物学を徹底的に突き合わせながら、既存の生命観に対するオルタナティブを模索する米田翼の『生ける物質 アンリ・ベルクソンと生命個体化の思想』(青土社)。奇しくもまったく同じ日に初の単著を刊行することになった師弟が、ベルクソン的な生の行方をめぐって語り尽くします。

【第2夜】

7月17日(日)14~16時​ 
檜垣立哉さん×藤田尚志さん(司会:平井靖史さん)
「持続のリズム——『時間と自由』をめぐって」

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もう一つの、ありえたかもしれない近代世界を描こうとした思想家たちはまたリズムの思想家たちでもあった。檜垣立哉は、哲学の理性的秩序に抗するかのように不合理な力や情念を解放し、非調和的な世界を描こうとした思想家たちの光芒から思考の西洋を超えていく可能性を探る(『バロックの哲学』)。藤田尚志は、ベルクソン『時間と自由』の中核をなす持続概念の正確な理解に「リズム」のイメージ把握が欠かせないと説く(『ベルクソン
反時代的哲学』)。二つの思考の脈動はどのようなポリリズムを形成するのだろうか。

【第3夜】

7月22日(金)19~21時​
檜垣立哉さん×平井靖史さん(司会:藤田尚志さん)
「純粋記憶——『物質と記憶』という怪物」

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いかなる細部も取り逃がさない記憶が、あらゆる脳の障害をも超えて保存される——。そんな「法外な」主張を、他ならぬ「科学との対話」のなかから引き出してくるのがベルクソンである。彼の哲学の心臓に深く刺さったこの純粋記憶理論という「棘」にいち早く注目し、その存在論的射程を開陳した『ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定』の著者・檜垣立哉と、マルチ時間スケールの観点から純粋記憶にあらたな解釈を打ち出す『世界は時間でできている ベルクソン時間哲学入門』の著者・平井靖史。二人の研究者は、記憶の逆説の向こう側に何を見たか。

【第4夜】

8月3日(水)19~21時
平賀裕貴さん×藤田尚志さん(司会:平井靖史さん)
「暗夜をこえて――『道徳と宗教の二源泉』をめぐって」

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ベルクソン晩年の書『道徳と宗教の二源泉』には、享楽的社会への懸念や戦争への危機感が刻み込まれている。平賀裕貴は『アンリ・ベルクソンの神秘主義』(論創社)で、ベルクソンが彫琢する神秘家像に注目し、神秘主義からベルクソンの哲学を照射する。藤田尚志は『ベルクソン 反時代的哲学』(勁草書房)で、テクストの細部にまで入念に耳を傾け、人を誘い行動へと駆り立てるものを探求するベルクソンと伴走する。両者がさまざまな角度から『道徳と宗教の二源泉』を読み解き、その魅力に迫る。


場所:本のあるところ ajiro(福岡市中央区天神3-6-8-1B)

参加方法:会場参加 or ライブ配信(2週間のアーカイブあり)

料金:各回1000円

4夜連続参加チケット3500円 
会場参加 オンライン参加



お問い合わせ:ajirobooks@gmail.com(担当:坂脇)


【出演者プロフィール】 ※50音順

檜垣立哉(ひがき・たつや)
1964年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。博士(文学)。主な著書に『ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定』『バロックの哲学 反-理性の星座たち』『西田幾多郎の生命哲学』『子供の哲学』ほか。主な訳書に『ベルクソニズム』(共訳)ほか。

平井靖史(ひらい・やすし)
武蔵野美術大学油絵科卒、東京都立大学哲学科・同大学院博士課程満期退学、福岡大学人文学部教授。近現代哲学、時間と心の哲学、記憶の形而上学。PBJ(Project Bergson in Japan)代表。著書に『世界は時間でできている ベルクソン時間哲学入門』(青土社、2022年)。共編著に『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する 拡張ベルクソン主義の諸展望』(書肆心水、2018年)。

平賀裕貴(ひらが・ひろたか)
1983年生まれ。専門はフランス文学・哲学。エラスムス・ムンドゥス・プログラム(ユーロフィロソフィー)によりトゥールーズ第二大学大学院に留学。同大学大学院修士課程修了。立教大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学兼任講師。著書に『アンリ・ベルクソンの神秘主義』(論創社、2022年)、共訳書にアンリ・ベルクソン『笑い』(ちくま学芸文庫、2016年)がある。

藤田尚志(ふじた・ひさし)
1973年生まれ。九州産業大学教授。Ph.D(哲学)。専門は哲学、フランス近現代思想。著書に『ベルクソン  反時代的哲学』(勁草書房、2022年)、共編著に『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する』(2016年)、『ベルクソン『物質と記憶』を診断する』(2017年)、『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する』(2018年)(いずれも書肆心水)、共著にMécanique et mystique(Olms, 2018)ほか。訳書にアンリ・ベルクソン『時間観念の歴史』(共訳、書肆心水、2019年)、マルセル・ゴーシェ『民主主義と宗教』(共訳、トランスビュー、2010年)ほか。

米田翼(よねだ・つばさ)
1988年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科にて博士号を取得(人間科学)。現在、大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター助教。専門はベルクソンを中心とするフランス哲学、19-20世紀の英・独・仏の生物学の歴史・哲学。著書に『生ける物質 アンリ・ベルクソンと生命個体化の思想』(青土社、2022年)。主な論文に「個体化の哲学における生殖の問題——ヴァイスマン、ベルクソン、シモンドン」『思想』第1141号(2019年)、「適応と再認——ベルクソンの行動の進化論」『年報人間科学』第42号(2021年)、共訳書にジルベール・シモンドン『個体化の哲学——形相と情報の概念を手がかりに』などがある。

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