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橋本嘉代「映画&ドラマで家族を考える」

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家族社会学、メディア社会学を専門とする研究者のコラムです。 家族を描く映画やドラマのレビューを中心にアップしていきます。
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第5回 家族に関するゴロゴロ、モヤモヤ、ありますか?(橋本嘉代)

第5回 家族に関するゴロゴロ、モヤモヤ、ありますか?(橋本嘉代)

だいぶ間が空いてしまい、すみません! 今回ご紹介する映画は、6月下旬にDVD、Blu-rayが発売された「ひとよ」です。

「壊れた家族は、つながれますか。」というコピーが印象的な「ひとよ」は、不器用で不完全な母と子どもたちのストーリーで、壊れた家族を演じるのは、長男・鈴木亮平、次男・佐藤健、長女・松岡茉優の3人兄妹と母・田中裕子という豪華な顔ぶれです。

「ひとよ」
2019年公開 監督/白石和

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第4回 改めて、「逃げ恥」で家族について考える (橋本嘉代)

第4回 改めて、「逃げ恥」で家族について考える (橋本嘉代)

春ドラマの休止や延期が相次ぎ、過去のドラマを再編集した「特別編」で、懐かしの名場面を味わえる機会が増えています。恋ダンスやムズキュンな展開が人気を集めたTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の特別編も放送されることになりました。今回は「家族って何?」と真正面から問い直す「逃げ恥」を家族社会学的に分析してみます。
このコラムも、2017年に大学のオープンキャンパスで高校生向けに行ったミニ講義を再編集

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第3回 「家族の絆」って言うな! (橋本嘉代)

第3回 「家族の絆」って言うな! (橋本嘉代)

少し前までは休まず出勤することが美徳とされていて、働き方改革もなかなか進まなかった日本。今は、家にいることが命を守るための最優先事項となりました。これまでの常識や価値観が根底から覆され、守ってきたものが崩れると、もうコロナ以前の時代には後戻りできない気がします。

この4月から「授業は遠隔で」と急に言われ、大学で働く私はあたふたしているのですが、授業開始が遅れて暇を持て余している学生には「プライム

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第2回 金持ち❝なのに❞ではなく、金持ち❝だから❞優しい。
「パラサイト 半地下の家族」 (橋本嘉代)

第2回 金持ち❝なのに❞ではなく、金持ち❝だから❞優しい。 「パラサイト 半地下の家族」 (橋本嘉代)



新型コロナウイルス対策で「家から出ないこと」が推奨され、家族と過ごす時間が増えた方も多いかと思います。命にかかわる事態とはいえ、国や自治体の方針が家庭に与える影響の大きさを実感せずにはいられない今日この頃です。
今回は、家庭を舞台とし、主な登場人物は家族でありながら、そこに社会的な問題が映し出されている映画やドラマを紹介します。

いま公開中なので、ぜひ映画館で! ・・・・・・とお勧めできない

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第1回 なぜいま「家族」の映画、ドラマが熱い?(橋本嘉代)

第1回 なぜいま「家族」の映画、ドラマが熱い?(橋本嘉代)

『万引き家族』『パラサイト 半地下の家族』や朝ドラなど、家庭を舞台に家族のありようを描く映画やドラマが注目されています。その理由を考察してみました。

このコラムは、『なぜいま家族のストーリーが求められるのか』(書肆侃侃房)の刊行に先立ち、始めることになりました。メディア分析を中心に、現代の社会のなかで「家族」にどのような意味づけが行われているかを考察していく予定です。本の内容については、この場を

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