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0円の記〜果てしなくなる

仕事が休みだったので加古川線に乗って西脇の岡之山美術館いうとこに行きました。

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加古川線に乗るのも久しぶりなので窓から景色見るのとかちょっと楽しみにしてたけど暖房の効いた座席に座ると眠気がきて、西脇市駅までずっと寝てしまった。

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岡之山美術館は加古川線の日本へそ公園駅にあり、加古川からだと西脇市駅まで来て、そこから先の谷川行きと言う電車に乗り継がなきゃ辿りつけないのだが、乗り継ぎの待ち時間が一時間以上もあり、それを待ってると美術館の受付時間を過ぎてしまうので、しかたなく西脇市駅から美術館まで5キロ歩くことにした。あまり時間をちゃんと調べてこなかった自分が悪い。

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歩き出していきなり果てしない風景。心が折れかけるけど、何も用事済まさずに自宅に戻る勇気もないので、無理してでも美術館にはたどり着かねばならない。でないと家族に合わせる顔がない。しかし家族の誰も、私が美術館に行くことなど興味もないし知る由もないのだ。

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長距離歩いた後って何かしら情緒不安定になるパターン多いから出来るだけそーゆうの避けるようにしたいねんけど、やっぱ歩いてまうのが運命(さだめ)。途中ええ感じの中華料理屋がカーブに建ってたので少し嬉しくなる。ていうか本当は中華屋錆びてたって全然嬉しくない。けど5キロも歩くにあたって何か少しでも得したみたいな出来事を血眼で探し求めてて、あたかも昔から寂れた中華料理屋愛好家だったみたいな、自分の中に別人格を作りあげようとしてるんだろう、私は。心理学でいうところの解離だこれは。

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グーグルの地図に沿って歩く。西脇は染色業が昔から盛んなので大きな染色工場があった。加古川の上流にはゴルフ場も沢山あるので、ゴルフ場の農薬と西脇の染色工場の排水で加古川は汚染されまくってると、子供のころ村のおっさんから聞いた気がするが、おっさんの情報源はそのまた別のおっさんで、どんどん元をたどれば立ち飲み屋のおっさん同士の会話とかに辿りつく場合がほとんどなので、古事記などと同じ類。

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果てしない光景のあちら側から30分ほど歩いて果てしない光景のこちら側に来ただけ。

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厄除け祭の旗がバタバタしている。避けたって避けたってどんどん厄が来る。生きるということがそもそも厄みたいなもんだから、死ぬ以外に厄から逃れる方法がない。俺が心の底から「俺は変態なんだ」と俺を認めることができたら、少しは気持ちも楽になれるかもしれない。最近そうゆうこと改めてよく考えます。

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はうぅ、富岡製糸場みたいな屋根ぇ、、富国強兵ぇ、、

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女工さんが血反吐はいて命削りながら作り出した富を根こそぎむしり取って出来た大きな屋敷。絶対呪われてる。もしまだ呪われてないのなら俺が今この場で呪ってやる。

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そういえば実家の親が詐欺師から買わされてた立派な表札、もらったけど捨てちゃったな。気持ち悪くて。

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ハアハア言いながら歩いてると、ゴム長履いた農家のおじさんが「お疲れさま」と挨拶してくれた。そんなに私は疲れた顔してたんだろうか。広末世代のアヒル口キープしてたつもりなのに。向こうの山の麓に美術館らしきものが見えてきた。

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加古川の上流。橋の上から川をのぞくと水もまあまあ綺麗。先には闘竜灘みたいな岩ゴツゴツゾーンも見える。

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橋の上から見る日本へそ公園駅。キヨスクとかなさげ。

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橋から降りると日本のへそ茶屋跡があった。へそで茶を沸かして客に飲ませるスタイル発祥の地も現在は廃墟。いや何も残ってないから廃墟にすらなってない。こういう場所のこと、なんて呼んだら良いのかわからないが、言葉が足りないよ、本を読まなくちゃ。

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美術館に入る前に帰りの電車をチェック。17時間で片道9本。なかなかの地獄表。

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無人駅の壁に貼られてた池田慎展のポスター。B2サイズのポスターを貼ったり剥がしたりしてできた壁の模様がなんとなく良い。

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岡之山美術館に到着。横断幕に「不思議がいっぱい!!」って書いてあるが、どうゆう不思議をどうゆう層に向けて訴えてるのかが気になる。

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入場。撮影OKの貼り紙があったので写真撮らせてもらいました。キャプションはそれっぽく、しかしコトブキ浣腸40gとか書いてある段階で笑ってしまう。

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いきなりヤバい感じ。イチジク浣腸の箱が観音開きになってイチジク浣腸10gが奉られてある。御神体としてのイチジク浣腸が思いの他それっぽいのにも驚く。多分イチジク浣腸自身が一番驚いてると思う。

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仕事も細かやかで浄土寺の阿弥陀如来像を彷彿させる光背が施されている。イチジク浣腸もまんざらじゃない表情をたたえている。国宝にしてもおかしくない。

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そして笑った。だいたい私はゴミが飾られてあると笑ってしまう質なのだけど、そのゴミである発砲スチロールの弁当容器にめっちゃええ感じのさりげない刺繍が施されてたら笑いも25倍。ひとけも少ないので大声で笑わせてもらう。こんな一人で笑うの三軒茶屋の風呂なしアパートでごっつええ感じ見てるとき以来。

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彩のある生活。ビューティフル・オブ・ライフ。

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生活を彩るための根気と手間ひまがすごい。

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これはかなり感動しました。どんべいのカラフルな蓋の柄に糸の色全部合わせて何かゴージャスに刺繍してある。すごいめでたい感じして、年越し蕎麦をどん兵衛にしたいなって思った。

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神棚と紙棚をかけてある感じだけど

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伊勢神宮みたい。太陽にほえろの石原裕次郎がブラインドずらして外の様子伺う感じで、ソフビの天照大神が外の様子をちらちら見ている。

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実家の蔵からたまたまこんなん出てきてお宝鑑定団持ってって鑑定結果5億いただきたい。

刺繍のコーナー他にもすごいのが沢山ありましたが現地でお確かめください。

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おお!これがふわふわガバメント!拳銃詳しくないけど、花輪和一の刑務所の前を何回も読んでるので、コルトガバメントをバラすとこんなパーツがあるいうのはなんとなく知ってる。

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もろズッポぬけかな?と思って覗いたら、もろズッポぬけでした。

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銃口の中に螺旋の溝が彫られてあり仕事の細やかさに驚き、笑う。

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なんかこれも漫画の中で花輪和一がハンダとヤスリかけてたパーツやな。

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ピストルやライフルのパーツがこんなにカラフルで可愛かったらフルメタルジャケットのいじめられっ子も病まずに済んだかもな。そういえば工場とか戦争とかって色合いが悪いし、私の持ってる服も冷たい色のものばかりだわ。りゅーちぇるみたいにならんとだわ。

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他にもエフェクターを真っ二つに割って、その両方をつなぐ配線を豪華なレース編みにしたのとかいろいろありました。面白いアイデアだけじゃなくて、刺繍や編物や縫製の技術みたいなのも驚くし、とにかく見てて楽しくなる。一見くだらなさげなアイデアでも実際に形にしてみるとめちゃくちゃ感動的なものになる、こともあるんだなと思った。きっと眉間にしわ寄せながらの細かい作業だろうけど、その分だけ出来上がったものが面白くなるのかもしれない。米粒に般若心経書いてみよって最初に思った人がすごい。

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美術館出たけど電車がくるまで1時間くらいあるので、へそ公園をぶらぶらする。看板にあるような果てしな系の市の決議ってどこに生かされてるんでしょう。

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西脇が日本のへそであることは昔から知ってるけど、どこがどうへそなのかはよく知らないし、知りたい意欲もそんなにない。

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おお、ここがへそですっていう目印なんかな。ていうか、君らそんなにへそを泥靴で踏んだら日本がお腹こわすじゃないか、やめたまえ。

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日本のへそモニュメント(平成のへそ)って書いてある。平成のへそってどうゆう意味だ。元号によってへその位置がずれるのか。

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ここが流星の道。スターダストレビューの歌の題名みたいな道。

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宇宙っ子ってどんな子?目玉が8つに足100本?

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そんな子はいませんでした。人間の子供らが元気に走り回っていました。それを見守る、というか無になって見ている親たち。こんな時期が私にもあったのが懐かしい。全てが懐かしく変わってしまうのが悲しい。

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なんかズルズル滑り降りたり駆け上がったりするだけの場所。すり鉢状の底には口を大きく開けた巨大デヴィスカルノが待ち構えていて、その口の中に子供たちがどんどん吸い込まれていた。無惨。

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歩いてるうちにだんだん体が冷えてきてテンションも下がってくる。ノイローゼ克服できたのかなと思ってたけどそんなもんじゃない。克服とかない。浮いたり沈んだりしながらやがて終わりを迎える。浮くことも沈むことも始まることも終わることも自分でどうすることもできない。俺は児童公園で何を無理やりに悟り開こうとしとんじゃ?いろんなことに納得できないままですよ、自分のことも、ほんと毎日。どこでこんな考え方のクセがついちゃったんだろうか。アイロンで伸ばせるもんならキレイに伸ばしたい。

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駅のホームのベンチに座り、西の山の向こうに夕日が沈むのをぼんやり眺めながら、欲求不満の女子みたいに自分の靴撮ったりして、インスタグラムに上げよかな思たけどやめた。寂しい。あまりに寂しすぎる。でもこの寂しさは何やったって消えるもんじゃない感じはわかる。カウンセリングのセンコウ、嘘ばっか言いやがって。でもほんとはそんなに言うほど寂しくないのも知ってる。じゃあなんなんすか。知るか。考えたって無駄じゃ。じゃあ考えるなやとか、誰に命令しとんねんお前、お前って誰やねん?お前しかおらんやんけ、この駅のホームに40分前からずっと、太陽以外のもんなんも動いとらんやんけ、否、太陽が動いとるんやないで、お前が動いとんや、俺が?そうお前や、またお前って言う、名前で読んでくれへんか、ちゃんと親につけてもろた名前があるんや、ほななんで表札ほかすねん?それはキショイからや、何がキショイねん?、なんやろ、、何がキショイんやろ、、キショイに理由なんかあるかい!感情に理由なんか要らんのじゃい!何がアンダーコントロールじゃ、横文字使いやがって!

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て一人ブツブツ言うてると、遠くからレールがゴトゴト揺れる音が聞こえて、やっと電車がやって来ました。

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播州スラッジフォークと銘打って自分探しのグレイトジャーニー https://www.kanikoosen.com/

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