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比べてきわだつ、熊本のマーケティング力

パラグライダー旅行(という名の温泉グルメ旅)で鹿児島(鹿児島市、湧水町)・宮崎(えびの、小林市)・熊本(人吉、球磨町)に行ってきた。

南九州旅行で印象的だったこと

パラが楽しい・ごはんが美味しい・温泉が気持ちいい、などなど、よき思い出はたくさんありつつ、印象的だったのは、くまモン……もとい、熊本のマーケティング力。

旅の拠点は鹿児島・宮崎・熊本の3県が接する地点だったので、3つの県をあれこれ巡った。パラグライダーができるような場所はもれなく郊外だ、そのおかげで、九州の山を眺め放題、夜は星空が綺麗、そしてコンビニの数より温泉のほうが多いのでは…という状態。美しい自然に囲まれ、美味しいものを食べ、温泉に浸かる…という極楽旅だった。

それとともに、田舎はどこも同じように見える……九州よいとこ、でも各県の違いはよくわからないなぁ…という気分だった。鹿児島と宮崎をうろうろしている間は、そう思っていた。

しかし、熊本は違った。

熊本県内の人吉・球磨エリアに入ったとたんに、鍾乳洞で遊んでも、温泉に入っても、道の駅で買い物しても、そこにはくまモンがいた。そして、なぜだか購入したくなってしまうお土産の数々が陳列されていた。くまモングッズだけではない。食品類も購買欲をそそられる工夫がされている。例えば「栗まん」。美味しそうだけど、冷凍食品は持ち帰りが大変だから見送ろうかな…と思ったら、その場でふかした熱々の栗まんをお持ち帰り提供してる。思わず買って、道の駅の駐車場でいただいた。美味しかった。果物・野菜類も生鮮食品だけでなく、缶詰や加工食品が充実していて、お土産にしやすい。別に特別な思い入れはないのに「熊本に入ってから、ついついお財布の紐が緩んでしまう」現象が発動。気がつくと私は、道の駅で大きな袋を抱えていた(N=1)。

お食事どころでも、人吉で評判のうなぎ屋にいくと、「かりっ、さくっ、ふわっ」のうなぎの蒲焼を食べて多幸感。会計を済ましたら、レジの横には、くまモンのミニのぼり。思わず撮影したのが、Twitterでアップした写真。

鹿児島・宮崎では鳥刺しやチキン南蛮を「これは鹿児島の名産? 宮崎の名産? よくわからないけど、九州の食べ物は美味しいな!」といただいていた。でも、うなぎは、くまモンパワーで「熊本・人吉で食べたうなぎが美味しかった。また行きたいな!」という思い出になっている。両者を比べると、熊本のブランディングの上手さを感じる。

せっかくなので、もうちょっと掘り下げてみよう。

くまモンマーケティング

くまモンすごいなーと思い、マーケティングトレースしようと調べてみたら、5年前の電通報でもこんな記事があった。

↑を見ながら、超簡易的にまとめたマーケティングトレース内容を、ここにも書き残しておく。

Product: 人を驚かせることを基本に様々なPR企画
Price: キャラクター費は「熊本県のPRに関する使用なら無料で使用可能」
Place: 九州新幹線開業に合わせて、まず関西圏でPR開始
Promotion:「くまもとサプライズ」のキャッチフレーズに付随する「おまけ」として登場→人気に火がついた
Segment: 年齢層、萌えキャラ度、二次元orリアル
Targeting: あえて絞らない
Positioning:様々なイベントとコラボできるシンプルさ・柔軟性、着ぐるみというオフライン中心展開で幅広い年齢層に訴求

「あえてターゲティングを絞らない」というのが、行政ならではの仕事で面白いところであり、だからこそ難しそう・・・。数多ある「ご当地キャラ」の中で「くまモン」がこれだけ普及しているのは、初期の段階で「キャラクター費の無料使用可能」を確保した効果が大きかったのでしょう。

もし自分がCMOだったら・・・熊本で何かをしたら、そこにはもれなく「くまモンがいる!」という状態をさらに拡充。買い物をしたらくまモン、ごはんを食べたらくまモン、お参りしたらくまモン。(あちこちにいるくまモンの裏に、現場の方々の多大なる努力があるだろうことに思いを馳せつつ…)

熊本城の復旧もかなり進んできたみたいだし。いずれまた行きたいなぁ。


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