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葉真中顕が書く、太平洋戦争をめぐる「フェイクニュース」と「分断」(No. 931)

考える人 メールマガジン
2021年9月30日号(No. 931)

『灼熱』刊行記念短期集中連載!
葉真中顕「封印された分断 ブラジル勝ち負け抗争」

フェイクニュースと、それによる人々の分断――。それは今に始まった問題ではありません。

戦後ブラジルの日本移民の間で起きた、「勝ち負け抗争」もそのひとつ。「日本が戦争に勝った」と信じる人が多数を占め、敗戦を認識した少数との間で抗争が勃発、多くの死傷者が出ました。

この抗争をもとに、小説『灼熱』を著した葉真中顕さんは、調べを進めるうち、事件の様々な側面や要因を知ることに。現代にも繋がる問題として、そして小説の副読本としてもお読みいただける「勝ち負け抗争」について解き明かす短期連載です。

以降、毎週金曜日に順次掲載予定です。お楽しみに!

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「考える人」と私(31) 金寿煥


「考える人」2004年春号掲載の対談「失われた『駅そば』を求めて」は、政治思想史の研究者にして、『鉄道ひとつばなし』や『歴史のダイヤグラム』など鉄道についての著作も多い原武史さんの「憤り」がきっかけとなって実現しました。
 その「憤り」とは、2003年10月1日の品川駅新幹線開通を機に、昔から同駅で駅弁・駅そばを提供していた「常磐軒」が遠くに追いやられ、新幹線口近くはJR系列の店で固められていた――そのことに対するものです。曰く、「このままでは『駅そば』が危ない」。

 お相手は、2020年1月に急逝した評論家の坪内祐三さん。私が原さんの「憤り」を坪内さんに伝えたところ、「私も立ち食いそばにはうるさいですよ。小さい頃から愛用してきたし、今でも散歩の途中によく立ち寄ります」と、対談相手を買って出ていただきました。
 そのふたりの対談は2004年2月に行われました。当日は、まず在来線のホーム(東海道本線)にある「常盤軒」で駅そばを実食(ふたりともこの店にしかない「お好みそば」を注文。ネギとわかめと油揚げを「お好み」の量だけトッピングできる)、それから対談場所である京品ホテルに移動して、対談がスタートしました。
 なぜ京品ホテルにしたかというと、坪内さんの推薦があったためです。坪内さんが以前対談場所として使った際、その居心地の良さに驚き、以降贔屓にしていたのです。Wikipediaによると、京品ホテルの母体である小林旅館は1871(明治4)年に創業。当時の建物は1930(昭和5)年に建築されたそうです。つまり、現在のランドマークであるプリンスホテルよりもずっと歴史が古い。いかにもシブいもの好きの坪内さんのお眼鏡にかなったホテルで、高輪口の真正面という一等地にあって独特のオーラを放っており、国道1号線を一望できる会議室の雰囲気も強く印象に残るものでした。残念ながら、2008(平成20)年には廃業してしまいましたが。
 対談のリード文を引用します。

 駅のホームに漂うダシの香りに意表をつかれ、思わず暖簾をくぐる――。
 そんな経験、誰しも一度はありますよね。駅の雑音をBGMに、丼を抱えて啜る「駅そば」の味は格別だったり、そうでなかったり。それでも「駅そば」が語られる機会が少ないのはなぜでしょう。少年時代から「駅そば」あるいは「駅弁」に親しんできた二人が、思い入れたっぷりに、ときには哀しみや怒りをこめて語ります。

 初対面のふたりは、先ほど食べたばかりの品川「常盤軒」の感想から始まり、それぞれ思い出に残る駅そば、豊かな地域性が失われつつある現状への危惧などについて語り合います。そして、話は駅弁にまで広がり、あらためて鉄道文化において、駅弁と駅そばが重要なものであること、しかしその本質は「駅弁ブーム」と呼ばれるものからはほど遠いものであることなどを確認するに至りました。
 坪内さんとの交流については前述しましたが、原さんにも、この後「考える人」で「レッドアローとスターハウス」という連載をお願いすることに。そのきっかけにもなった「駅そば」対談だったのです。

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