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「科学技術政策」と「アントレプレナーシップ」を融合させる!

私は現在政策研究大学院大学において、「科学技術とアントレプレナーシップ」という授業を担当しています。この授業は、「科学技術政策」と呼ばれる公共政策の一分野と、新しい産業を生み出していく「アントレプレナーシップ」という経営学の一分野を融合させたものです。この二つの研究分野は全く別のディシプリン(体系)を持っている分野ですので、実はこの二つの両方を研究している人というのはあまり多くはないのです。しかしながら、この二つを融合することで、初めて競争力の高い産業を生み出すことが可能になるので、とても重要な研究分野であると考えています。

大学を中心とした研究機関から創出される科学技術は、新事業創造のための「知」の源泉です。この授業では、(1) 研究機関において科学技術に関する「知」がいかにして産み出され、(2) またその産み出された「知」からいかにして、ベンチャー企業を含めた産業が創出されるのかについて、様々な角度から議論します。

この授業では以下のようなテーマを扱う予定です。

- イントロダクション
- なぜ「アントレプレナーシップ」は重要なのか?
- なぜ「イノベーション政策」の設計は難しいのか?
- 起業家はどこから生まれるのか?
- スターサイエンティストはなぜ重要なのか?
- なぜ「科学技術の知」は特定の地域に集積するのか?
- なぜベンチャー企業は特定の地域に集積するのか?
- なぜ大学はアントレプレナーシップにおいて重要なのか?
- 大学発ベンチャーはイノベーションを促進するのか?
- 大学の技術移転組織は有効か?
- なぜベンチャーキャピタルは重要なのか?
- インセンティブは発明と商業化になぜ重要なのか?
- SBIR補助金は有効か?
- なぜシリコンバレーは成功し続けるのか?
- まとめ

なお、学生の興味に応じて、その他以下のようなトピックも必要に応じて扱っていく予定です。

- ベンチャー企業の成長にはどのようなマイルストーンが存在するのか?
- クラスターはアントレプレナーシップにどのような役割を果たすのか?
- サンディエゴはなぜ地域イノベーションの成功事例となったのか?
- シリコンバレーは世界の他の地域クラスターとどのように連携するのか?
- 有効なビジネスプランコンテストの設計方法とは?
- 移民はイノベーションの促進にどのように有効か?
- 発展途上国におけるアントレプレナーシップの課題とは何か?
- 「イノベーション・トーナメント」は、イノベーション促進のために有効か?
- 「イノベーション」を促進する「アーキテクチャ」とはどのようなものか?
- 「科学」と「技術」はどのように違うのか?
- サイエンティストのキャリアとはどのようなものか?

筆者は、慶應義塾大学において、2002年から2008年から助手・助教として、大学発ベンチャーの育成に関する研究・実践に関わっておりました。特に"SFC Incubation Village"のファウンダー兼事務局長として、慶應義塾大学の大学発ベンチャー育成のためのエコシステムの創生に従事しました。その後、米国に渡りカリフォルニア大学サンディエゴ校において、「科学技術とアントレプレナーシップ」の研究に携わり、経営学の博士を取得しました。博士取得後はスタンフォード大学に移り、"Silicon Valley New Japan Project"のコアメンバーとして、シリコンバレーの研究、日本との連携のプラットフォームの実践活動に携わってきました。現在は、政策研究大学院大学助教授を務める傍、カリフォルニア大学サンディエゴ校の客員助教授として、夏学期には学部生を対象とした"Innovation to Market A"というアントレプレナーシップ、新事業創造に関する科目を教えています。

そんなバックグラウンドを持っておりますので、この「科学技術とアントレプレナーシップ」という分野は、少なくとも日本において研究・実務の両面から最も詳しい者の一人ではないかと自負しております。この授業、いわゆる教科書もないし、同じような授業を教えている人が世界でもそんなに多い訳ではないので、シラバスもゼロベースで作りました。つまり、15回の構成から、それぞれの回のトピック選びまで、ゼロベースで作っています。もちろん参考にした他の授業のシラバスはいくつかあるのですが。いずれこの内容で教科書が書けないかとも思っています。

博士課程の学生や政策立案者はもちろんなのですが、大学発ベンチャーの実務家、ベンチャーキャピタリスト、ベンチャー支援者、ビジネスプランコンテスト運営者などの実務家にも参考になる内容がふんだんに入っていると思います。そしてもちろん、企業の新事業開発担当者にとってのヒントも沢山あると思います。社内ベンチャーの創出方法、産学連携の活用方法など。

今回この新しい授業を日本で教えるにあたって、その内容を皆さまにもお伝えできればと思い、この連載をスタートしてみようと思っております。どうか、ぜひお楽しみいただければと思います。

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