私のテーマソング

その昔、まだ新人教員だった頃の話。

担任業務やその他の雑務に追われ、教材研究にやっと手がつくのは日付けが変わる頃……なんて事はザラだった。

そんな中、色々と準備がギリギリで回していた時に、よく脳内再生されていた曲がこれである。

教育実習の終わりに、担当教員だった元担任の先生に言われた

「あなたは『風姿花伝』を読みましたか？　卒業までに必ず読むといい。教師というのは役者なのです」

という言葉の影響か、事あるごとにこの梅沢富美男さんの『夢芝居』が何故か頭の中に流れるようになってしまったのだ。

この曲は小学生の頃に流行った曲で、別に好きだったとかいうわけでもなく、梅沢さんのファンというわけでも全くなかったのに（あまり子供向けの曲ではなく、当時小学生だった私の興味がなかっただけで、名曲です）あの特徴的な前奏が突然頭の中に流れ、

けいこ不足を幕は待たない

のところでいつも

ガーン！！

と頭をハンマーで殴られたような気持ちになるのだ。

この曲が脳内再生されたらやばいのだ。かなり切羽詰っている。だからこの曲が流れないように日々準備を怠らないようにしなくちゃ、みたいな……私にとって叱咤激励ソングというか……いやなんだか違うな、なんと呼べばいいのか分からないけれども、お仕事の時のテーマソングとなって、いまだにずっと君臨しているのだ。

ちなみに、この歌は恋愛ソングだが、恋愛のシーンでは一度も脳内再生された事はない。私にとっては永遠にお仕事ソングである。

了