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かつて好きだったものたちへ
出会いがあれば別れもあるって、言葉では聞いたことがあっても、なかなかその時が来るまで実感をともなわない。
出会うこと。
好きになること。
これは本当に簡単だ。
そしてずっと同じ熱で好きでい続けること。
これは少し難しい。
でも。
しかし。
同じ熱ではないものの。
少し熱が冷めただけで、静かな遠火のとろ火のように、ずっと好きでい続けることはある。
よくある。
かつて愛した絵本やお
【ブロマンス風】焼きそばにマヨネーズ
ここはとある大学の学生食堂。家から持ってきたカップ麺に学食でお湯を入れて食べようとするA太と、学食の親子丼を食べるC之介が向かい合って座っている。
C之介「あれ? マヨネーズかけた後混ぜないの?」
A太「いや混ぜない。一様になってしまったら1つの味しか楽しめなくなるからな」
C「なるほど。え? じゃあ卵かけご飯は?」
A「いやほんのり混ぜる。でもやはり一様には混ぜない。白いご飯のとこ
雪童子(ゆきわらし)
台風もいくつか過ぎ、辺りはすっかり秋らしい装いになった十月の半ば過ぎ、あの人からのメールが七ヶ月半ぶりに来た。仕事の依頼だ。季節労働者のような働き方をしている私の所には、秋口に仕事が舞い込むことが多い。すぐに返信をする。
「お久しぶりです。メール読みました。すぐにその子の詳しいプロフィールを添付して送って下さい。私の方はいつでも動けます」
その晩遅く、少女のプロフィールは送られてきた。
〈
わたしのAI(中編)
翌朝、いつもより早く目が覚めた才蔵は、もてあました時間で部屋の片付けと料理の下ごしらえをしていた。午前11時、やっとレンタルAIが届くと、部屋の真ん中で才蔵は静かに箱を開けた。
中から現れたAIはふんわりとした黒髪ショートボブで、東洋人の肌色をしており、箱の中で体育座りをしていた。服装は普通の女子高生の私服のようなパーカーと膝上のデニムのスカートだ。バーチャルショップで見た以上に精巧に作られ