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10年10万kmストーリー 第62回 マツダ・ルーチェ ロータリーターボ(1988年型) 33年25万4000km

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 ありがたいことに、取材相手になるかもしれないクルマについて連絡をくれる人が僕には何人かいる。
「近所にフタ桁ナンバーのクジラ・クラウンがいます」
「いつも買い物しているスーパーの駐車場で、デルタ・インテグラーレを見掛けます」
「毎月通っている整体師が初代テラノにずっと乗っていることがわかりました。詳しく聞いてみましょうか?」
 などといった感じだ。でも、紹介ではないから、その時点では取材できるかどうかはわからないから、たていていの場合は漠然とした目撃情報だけで、コンタクトすらできなくて終わってしまう。

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 でも、今回のルーチェ ロータリーターボは違った。Kさんという、その人も「10年10万kmストーリー」で以前に取材させてもらった方からメールをもらったのが始まりだった。
「勤務先の近くの神社の駐車場に、毎週水曜日になると、ルーチェ ロータリーターボが必ず駐まっていますよ」
「今週も、駐まっていました」
「今日は水曜日なので、また駐まっていますよ。参拝者用ではなく、関係者用のブロックなので、仕事で来ているのではないでしょうか?」
 毎週メールをくれるので、実際に水曜日の朝に足を運んでみたら本当に青いルーチェが駐まっていた。ナンバーは「品川52」で、ボディのコンディションも良い。メーターを覗き込んで走行距離を確かめたかったが、日除けをフロントガラスとステアリングホイールの間にはさんで立て掛けてあるので見えない。フロントフェンダーには、赤文字の“ROTARY TURBO”のエンブレム。間違いない。確かに、関係者用スペースに駐められている。

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 しばらく待ってみることにした。喫煙スペースは覆いで囲われているのだが、その外で吸う不届き者が後を立たず、煙が流れてきて閉口する。副流煙から遠去かるためには建物の角を曲がらなければならない。でも、曲がってしまうとルーチェは視界から外れてしまう。その間にオーナーが現れて、走り去ってしまったらどうしよう!?
 喫煙者がいない時にはルーチェのそばにいて、煙ってくる時には建物の角からチョコチョコ顔を出して、ルーチェが駐まっているかどうかチェックし続けた。ストーカー一歩手間に見えたことだろう。
 昼休み時間を過ぎても現れないので、社務所に訊ねてみることにした。
「関係者用スペースに駐められている青いマツダ・ルーチェのオーナーさんに会いたいのですが?」
 オーナーは神社の関係者ではなく、神社がスペースを貸している近所の医師だということを教えてもらった。その病院を訪れて来意を告げると、診察が終わった後に医師に面会することができた。



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