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国家百年の計、教育に求められるもの

 大学入試共通テストに民間英語試験を導入する案は、2019年末に文科省から中止の発表があった。
 ところが中止するのは令和3年度、2021年度であって、令和6年度、2024年度には導入する予定だ。「読む・聞く・話す・書く」の4技能は必要で、それを調べるのは民間試験だ、ということだ。
 となれば、民間の英語検定試験はGOTO試験で、受検者が増加するのは目に見えており、試験産業はGOTO景気にわくわけだ。一部の企業が潤ったGOTOイートやトラベルと同じようなものだ。しかも英語は、学習関連企業への永続的なGOTOとなる。受験生は毎年いるからだ。

 2020年度より実施された小学校の新学習指導要領では、英語が成績もつける教科化された。
 英語と限定されているのではなく、「外国語」となっているので、中国語でも韓国語でもいいわけだが、日本では外国語といえば英語になる。英語産業がますます潤う仕組みとなっている。 中国語、韓国語、ポルトガル語(ブラジル)も、日本に住んで使う人が多くいるのに、その言葉は学ばない。コミュニケーションのためには言葉を学ぶのが一つの方法だろうが、それよりも「英語の授業」の方が優先される。

 小学校英語にはいまだに反対意見もある。小学校から学べば話せるようになるものではないだろう。
 幕末や明治の日本人は、大人になってから英語やドイツ語、その他の言語を学び、外国の文化を日本に翻訳、輸入した。今の日本人が、そんな努力をしているのか。中国や韓国に比べても学習時間の少ない日本の学生が、小学生から英語を学んだとしても、どれだけの効果があるのか。

 学校の教師にとっては、「やれ」と与えられたものはやらねばならない。

 プログラミング教育というものもある。
 本来は、プログラミングの考え方(プログラミング的思考)を学ぶものなのだが、プログラミング技術の習得が中心になって、これまた企業と連携し、民間の技術者に依頼が行く。商売になってしまう。

 プログラミングを学ぶのは、コンピュータを使うためだ。コンピュータはGIGAスクールで、1人1台となる。
 コンピュータを作っている企業も儲かる。日本の企業だけでなく、外国資本の企業も儲かる。その利益の一部がどこかに流れていてもわからない。さらに、コンピュータは何年か経てば古くなる。これまた継続して購入してもらえる。GOTO-GIGAとなる。なにからなにまで金儲けになる。

 アクティブ・ラーニングというものも出てきている。
 今まで、話し合い学習や総合的な学習をやってきたが、それを組織的にやるようにとのお上からの通達だ。今までの教育を続ければいいのだが、忖度をする教育委員会、教員は、また0から新しいものを作ろうとする。

 コロナ禍で消毒やら雑用も増え、今までにも増してモンスターペアレント対策も必要だ。
 いったいいくつ教師の体があればいいのだろうか。


 コロナで学校が休校になっても、リモート授業なんてできるわけがない。今まで対策を何一つしてこなかった。
 この1年間で、どれだけの準備をしたのか。GIGAスクールでコンピュータ購入に予算を使っただけだ。いくらコンピュータがあっても使えなければ宝の持ち腐れ。

 熊本市は2016年の熊本地震の被害の後、リモート授業ができるようにした
 他の自治体のどこが同じようなことをしたのか。去年の夏に何をしたのか。
 自治体だけではない。国民の代表が集う国会で、どれだけ具体的な法律が作られたのか。いつまでも揚げ足取りばかりしている。リモート会議どころか、重症化しやすい老人が集まり、密のかたまりが国会だ。

 コロナ全体のことを考えるだけではない。今こそ教育を考えよ。
 教育は国家百年の計。百年後の教育が考えられなければ国は滅びる。

 日本は、江戸時代の寺子屋教育で庶民が読み書きそろばんができた。寺子屋は私立に当たる。公立に当たる藩校で武士が学んだ。大多数を占める農民に文字は教えられなかったが、日本の国を引っ張っていく人材は育成された。
 明治維新を引っ張った人たちも、それぞれの私塾などで学んできた。吉田松陰や、立派な教師も多かった。

 今はどうだ。将来を考える政治家はいるか。
 国家の将来を考えれば、教育にお金をかけねばならない。役に立つ教師をそろえたければ、給料を上げなければならない。勤務状態がブラックで、世間からボロクソ言われて給料も安ければ、誰も教師になろうとは思わない。吉田松陰は出てこない。

 教育について考えよう。意見を言おう。
 目先の利益ではなく、百年後の日本を考えた方針を立てていかねばならない。

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