2024 J1 第5節「鹿島アントラーズ vs ジュビロ磐田」 超主観的振り返り
こんなにも悔しい『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』は初めてだ。
2024年3月30日。J1リーグ第5節。
ジュビロ磐田はカシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズと激突。私は鹿島遠征を決め、現地で観戦してきました。
結果は0-1で磐田敗北。
不運とも言える松原后のボックス内でのハンドによるPK献上。
唯一の失点でした。
シュート数は鹿島の10本を上回る14本を放つなど、磐田は決して引けを取らない戦いを見せてくれましたが、あと一歩、ゴールが遠かった。
しかし、磐田は、鹿島相手に間違いなく良い戦いを見せてくれました。
善戦という言葉だけでは片づけられない、悔しさが私を襲いました。
そこへ大音量で聞こえてきたのが、「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」。
言わずと知れたビートルズの名曲ですが、鹿島アントラーズは、勝利の歌として歌われます。
こんな感じで。
この日も鹿島サポーターは、夕暮れの鹿島スタジアムで高らかに「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」を歌い、踊っていました。
この日、メインスタンドで観戦していた私。
試合終了後、周囲の観客の多くは席を立って帰り支度をしていましたが、私はその大音量の歌と勝利に喜ぶアントラーズのゴール裏を見つめていました。
「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」ってこんなに悔しい歌だっけ?
私は立ち上がることができず、歓喜の歌が終わるまで席を離れることができませんでした。
こんな風に、鹿島サポーターから言われているように感じました。
悔しい、本当に悔しい。
負け惜しみでもなく、磐田は間違いなく善戦しました。
しかし、
そこには、鹿島と磐田の大きな、大きな差を感じました。
横内昭展監督が進める戦いは決して間違って無い。それは今回の鹿島戦を見てもわかります。
しかし、試合日程は待ってくれません。
5節を終えて、1勝0分4敗。
まだ5節かもしれない。
でも、前回2022年のJ1で、磐田はずるずると連敗を続け、降格した辛い経験しています。楽観的に考えることができない自分もいます。
敢えて言います。
磐田は正念場です。
スターティングメンバー
ジュビロ磐田
前節ガンバ大阪戦から2週間が空き、この間に当初は一般公開予定だった練習試合も急遽非公開にするなど、鹿島戦に出来得る限りの準備をしたと思います。
開幕から第4節までほぼ固定メンバーで戦ってきた磐田でしたが、メンバーの入れ替えがありました。
山田大記、中村駿、伊藤槙人がベンチ外。
替わりに開幕からベンチを温め続けていた鈴木海音が遂にスタメン出場。直近のU-23の強化試合で良いパフォーマンスを見せていただけに良かったと思います。これがJ1デビューとなりました。
そして、これまで後半から途中出場だったマテウスペイショットがスタメン出場。好調のジャーメイン良とのコンビがスタートから見られることに期待が膨らみます。
これにより、長く採用していた4-2-3-1のシステムから4-4-2に変更。磐田にとって、久しぶりの2トップシステム。その2トップにはもちろんジャーメイン良とマテウスペイショットが入ります。
ベンチには、森岡陸と藤原健介が復帰。
今季新加入のブルーノジョゼも初めてベンチ入りを果たしました。
鹿島アントラーズ
前回アウェイで対戦した2022年は、DAZN解説の水沼貴史さんに
と言わしめるくらい、上田綺世選手にやられてしまった磐田。
その上田綺世選手は海外に移籍しましたが、鈴木優磨選手、チャヴリッチ選手、知念慶選手、などなど、鹿島には錚々たるメンバーが揃います。
それだけに、何としても勝って、2年前のリベンジを果たしたかったのですが。
善戦したけど・・・
懸念だった前後半開始の「立ち上がりの失点」は無く、これまでに比べ安定した試合の入りができたと思います。
特に前半早々の失点が無かっただけに、まず第一段階はクリアできたと感じて試合を観ていました。
何と言っても、鈴木海音のパフォーマンスが良かった。後方から積極的にドリブルで前に運ぶシーン。自身も試合後のインタビューで振り返っています。
スタートから出場したマテウスペイショットも、持ち前の高さを活かし、ボールの競り合いでの強さを見せました。
今年鹿島に新加入し4試合で2得点のFWチャヴリッチ選手、そして、鹿島の顔とも言うべきFW鈴木優磨選手に対し、植村洋斗、リカルドグラッサが立ち塞がります。
開幕から本職のボランチから右サイドバックでスタメン出場続ける植村洋斗。柏戦でのマテウスサヴィオ選手や、今回のチャヴリッチ選手などJ1を代表するような選手とのマッチアップを続けており、その経験で更なる飛躍が期待されます。
圧巻だったのは、古川陽介。
68分、左サイドで濃野公人選手を得意のドリブルで交わし、カットインからのシュート。これが惜しくもゴールポストを外してゴールにならず。
70分には、松村優太選手をドリブルで振り切ります。
敢えて、私が言います。
それくらい鹿島のゴールを脅かす力を身につけていました。
しかし、磐田は鹿島を上回るシュートを放つものの、後一歩のところでゴールすることができませんでした。
10分のジャーメイン良のヘディングシュートは僅かにゴールポストを逸れます。
19分、上原力也のシュートはGK早川友基選手のファインセーブに防がれます。
75分、古川陽介が相手2人の間を抜いたパス、そのボールを受けた上原力也が中央にパスを出し、藤川虎太朗がシュート。これもわずかにゴールポストを逸れてしまいます。
「しょっぱい試合」でも勝つ
こうやって、磐田のナイスプレーを幾つも挙げることができる今回の鹿島戦。
しかし結果は、磐田の得点はゼロ。勝ち点もゼロ。
一方の鹿島の得点は33分のPKによる1点のみ。流れの中での得点は許さなかった磐田でしたが、鹿島はしたたかに、そして焦れずに虎の子の一点を守り切ったのです。
勝ち点3は鹿島のものに。
試合終了後、鹿島の鈴木優磨選手は「しょっぱい試合」と評しました。
鹿島としても内容的には納得いかないものだったに違いありません。
しかし、たとえ「しょっぱい試合」であっても、勝ち切ることができるチームは強い。
Jリーグ創設から一度もJ2に落ちることなく、常に強豪として君臨してきた鹿島アントラーズ。
かつては鹿島アントラーズと覇権を競い合ったものの、今ではJ1とJ2を行き来しているジュビロ磐田。
今では大きな差が生じています。
それでも、今回の鹿島vs磐田戦は、『CLÁSSICO 3』の第1戦と銘打って行われました。
川崎フロンターレとFC東京の戦いも「多摩川クラシコ」として盛り上げていますが、クラシコとは、スペイン語で伝統の一戦を意味するそうです。
またかつては、ナショナルダービーとも称さましたた。
その由来には諸説あるようですが、いわゆる天下分け目の戦いということ。
私は2019年からのジュビロ磐田サポーターなので、ナショナルダービーの時代は知識としては知ってますが、当時Jリーグを殆ど観て無かったので当時の高揚感は経験してませんし、肌感覚がありません。
ただ、かつてを知るサポーターの方には申し訳ないですが、磐田側にとってナショナルダービーと呼ばれるには厳しいものがあると感じました。
劇的なゴールや、目の覚めるようなプレーや、感動的なシーンが無くても良い。今回のようなPK1本を守り切って勝つ。そんなしょっぱい内容でも勝ち切ることができるか?
そんな試合を拾って、したたかに勝ち切ることができる力は、鹿島が上でした。
いったい、その差はどこから生じるのでしょうか?
推測でしかありませんが、J1上位で戦い続けてきた鹿島の歴史と経験。それが脈々と受け継がれ、今もってそれを成し得ているのかもしれません。
一方の現在の磐田は発展途上のチーム。
横内昭展監督は、監督経験2年目でJ1初挑戦。更に今年は半分近い15人の選手を入れ替えて、選手層も若返りました。
でも、磐田にはこれから歴史を作っていくことができる素養と伸びしろがある。そこを見届ける楽しみや物語がある。
私は、かつての黄金期と呼ばれた磐田の栄光を知りません。
でも、藤田俊哉さんや横内昭展監督がまとめる今の磐田のメンバーが新しい歴史を作り上げる過程をぜひみたい。そのために私は磐田を応援しているのです。
新しい歴史を作るために、今季はもう絶対にJ2に降格してはならないのです。
冒頭に磐田は正念場と書きました。
5試合を終えて試合内容が良くなっているからこそ、結果が欲しい。そうでなければ、選手にとっても精神的に厳しくなります。
ですから、次節からの5試合、新潟、京都、名古屋、福岡、町田との戦いは重要です。5連勝するくらいの意気込みで戦って欲しい。試合内容の向上と共に勝ち点を積み上げたという結果が欲しい。
特に同じ昇格組でありながら、昨年J2で勝てなかった町田には絶対に勝ちたい。町田は、現在4勝1分0敗でJ1の首位に立っています。その町田からホームヤマハスタジアムで勝利を奪えば大きな自信になる。
磐田の新しい歴史を作るためにも、ここからは勝ち点を積まねばなりません。奮起に期待したいです。
そのために私は精一杯応援します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファンサポーターに歓喜が訪れることを願って。
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