文系理系アンソロ 雪がとけたらなにになる?「WATER」感想

「君の定義を教えて」佐倉愛斗さま
ドラマみているように情景が浮かぶ作品で、一気に読んでしまいました。エンディングもリアルで、いい意味で予定調和でなく、とても好きな作品でした。


「Aplysia」桜鬼さま
不思議な展開の物語に、どんどん引き込まれてました。作品のあとがきで書かれていらっしゃることが、作品に色濃く出ているように感じました。今まで触れたことの無いタイプの作品ですが、とても印象深く、作者さんの紡ぐ物語をもっと読みたくなる作品でした。


「白を纏う」浅椰実幻さま
とても専門的な事柄が出てくるのに、読みやすい作品でした。冒頭でのカルテの読み方が後半に活きてきて、しかもそれが作品の重要な部分を担っていて、専門分野の絡め方が秀逸な作品だと思いました。
主人公とおばあちゃんの関係もとてもよく表されていて、感動しました。


「氷像」花草セレさま
ファンタジー的な世界観が、素晴らしい漢字の使い方と、巧みな文章力で、リアルな研究者の物語になっていました。これぞリアル理系。違和感も躓きもなく、そういう学問なんだと思って一気に読めてしまいました。とても面白かったです。


「青空に蜂」青波零也さま
素敵な物語だな、と真っ先に感じました。
物語として綺麗に纏まっていて、読みやすく、心に残る物語でした。最後まで青波様の専門がわからなかったですが、後で知って納得しました。


「共犯者(Three Stooges Who Came from The Far East )」大日本小説委員会さま
登場人物の誰もが怪しく、誰が真実を言っているのかわからないまま、ラストへ。何度も読み返してしまう中毒性のある物語でした。


「黒の結晶」濱澤 更紗さま
主人公の中にある黒い雪の記憶が、禍々しいものと言うよりどことなく懐かしいもののように感じました。雪国育ちなので、冬の夜を音楽で表現していたのが、とても印象的でした。


「君の知らない物語」矢田和啓さま
まさにタイトル通り、「私の知らない物語」でした。会話で語られる世界観がとても面白く、わからないはずなのに楽しく読ませていただきました。


「カナタ」東堂冴さま
主人公が感じている才能を持つことや、将来のことがずっしりと心に残りました。自分が進路を決める時、同じ事を考えていながら上手く表現できなかったのが、今、東堂さんに説明された気がします。あまりにも自分のことと近かったので、思わず主人公に頑張れとエールを送っていました。


「焦げそうな夜(あるいは、熱帯の記憶)」長嵜景和さま
異国の情景がリアルで、体験した方でないと書けないなと思いました。京都と異国が入り混じる感覚がとても興味深かったです。


「さいわいのメソコスム」高坂悠壱さま
物語にちりばめられた伏線が一つ一つ丁寧に回収されていき、最後に寂しくも温かい余韻の残る作品でした。専門の内容も説明がわかりやすく、理解しやすかったです。


「色のない白鳥と踊る」冬野瞠さま
ドラマティックなラストが気になる作品でした。昴の存在が気になりながら読み進めましたが、まさかあんな結末とは!
記憶に残る作品でした。


「トランスルーセント」紫水街さま
起こっている事象に科学的理由を探しながらも受け入れる主人公が可愛いです。同時に切ない……。最後の一文でゾクッとしました。とても印象的な作品でした。

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