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空腹は怖くない(と自分に言い聞かせる)

話題になっている本『LIFE SPAN 老いなき世界』を読んだ。わたしたちは老化すると、ドミノ倒しのように次々といろいろな病気になる。そのドミノ倒しの出発点である「老化」を進める遺伝子とそのメカニズムがわかったから、これからは老化は自然現象ではなく、治療可能な病気だと考えようぜ!…という衝撃的な内容。

老化を治療するなんて自然に反したことを…!と一瞬思ったけど、何をいまさら。増え続ける細胞殺すために正常細胞までダメージ与えて癌を治療するとか、体の一部を切り取るとか、臓器を移植するとか、これまでの医療だって相当不自然なことをして寿命を伸ばしてきたわけで。

老化を治療できる未来はありえる、明るい未来が見えた…なんて、わたしが思えるようになったのは、分厚い1冊を読み通したからだと思う。わたしのnote読んでほんまか??って思った人は、ぜひ読んでほしい。ドラマチックな語り口でするする読めました。本、ちょっと高いけど。でもわたしは読んでよかった。一生ものの考えの変化を起こしてくれた。

ノウハウ本ではないのだけど、老化を防ぐ方法のヒントも書かれている。そのなかのひとつがNMNという高いサプリ。調べてみると今は1ヶ月分で6万くらいする。うーん、これはまだ手が出せない。将来的に安くなるかもしれない。

気軽にできる方法も書いてあって、それが断食や運動だった。

やはりそうか。観念した。とりあえず運動はしよう。運動が体にいいというのはあちこちに書いてあるし、納得できる。逆に運動を全くしない生活が体にいいわけがない。加齢とともに筋肉も体力も落ちるままにしていたら、体力をつけるための体力もなくなってしまう。心を入れ替え、アップルウォッチのアクティビティリングを毎日完成させることから始めよう。

そして断食か…! 断食が体にいいってことも、あちこちの本に書いてある(ただし「やせ」の状態は死亡率が高まるし、トータルで栄養不足になってはダメ)。しかし、わたしには無理だ。できる気がしない。朝を抜いて、夕食から16時間食べないプチ断食でも効果はあるらしいけど、それも無理。頭回らない。午前仕事できない。じゃあ、せめてお腹が空いてからご飯を食べるのはどうか。おやつとか食べずに…って思った途端、無理無理無理…って激しく抵抗する自分が現れて、いや、むしろ何で無理? って、あきれてしまった。

ご飯の前におやつ食べちゃダメって、子どもでもできるのに。そんなに食べるのが好きなら、だらだらと、しょうもないものを食べたりせずに、お腹すかせてご飯食べた方が、より美味しく楽しめるじゃないか。

空腹になっても死なない(脂肪の蓄えはたんとある)。いざとなったら食料はすぐ手に入る(コンビニあるし)。空腹自体の苦痛は、そんなに大したことはない。酒酔いの頭痛よりも、満腹で吐き気がするよりも、気圧でどんよりした気分になるよりも、ずっと軽い。運動して心臓がバクバクして息が切れるよりもずっと楽だ。あと、体重計に乗った時や、腹回りの脂肪を眺めて絶望するときのしんどさよりもつらくない。

なのに、なぜ、そんなに恐れるのか。もしかしてこの怖さは、狩猟採集生活をしていたときの本能の名残りなのではないだろうか。明日の食料が手に入る保証のない世界で、空腹で本当に動けなくなったら死んでしまう。だから早め早めに警告して、怖がらせて、なんとか食物を手に入れさせようとしているのではないか。現代生活に適応しきっていない、脳が。

そうとわかれば、騙されないぞ、と思う。現代社会では空腹は怖くない。いつでも食糧は手に入れられるんだし!

願いごとを思いついたときに日付とともに書いて、かなったら花丸してかなった日付を書くことをしていて(「お願いごとノート」と呼んでいる。願い事はうまく言語化できたら、半分は叶ったようなものだと思う)、そこに「空腹状態を楽しめるようになる」と書いてみた。なかなかうまい具合に書けたと思う。我慢して耐えるのではなく、次のごはんや食べたいおやつを楽しみにすることができるし、体の状態に耳を澄ませることもできる。いつも何か食べなければという強迫観念に振り回されていたけど、それからも自由になる。蓄え(脂肪の)もうまく使えるようになる。

わたしの周りにはプチ断食の実践者が結構いる。彼らのことをわたしは憧れと尊敬の念をこめて解脱者と心の中で呼んでいる。彼らはみんな楽しそうなんだよな。

たぶん、わたしは食べることを愛しすぎてそこまでにはなれないけど、人生最大値を更新した体重が健康な値に戻るまでは、空腹を怖がらない練習をしてみようかなと思う。

イラスト:あまのこ様

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