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猫を飼うように自分を飼いたい

おととし大往生で亡くなってしまったけれど、15年くらい猫を飼っていた。子どものときはペット禁止の団地暮らしだったので、動物が家にいる生活は初めてのことだらけだった。しかも、おばあちゃんちで飼っていた柴犬は外の犬小屋に入っていたし、従兄が飼っていたリスはカゴの中に入っていた。家の中を自由自在に歩き回る猫は、本当に「一緒に暮らす」という感じでペットという概念を大きく変えた。

飼い始めてすぐ、猫をしつけるなんて無理だとわかった。だって可愛すぎて、怒ったらかわいそうなんだもの。だから、猫の性質を観察し、猫のしたいようにさせつつ、人間が困らない方法を考えた。猫は排泄物を砂の中に埋める性質があって、しかもきれい好きで、自分の匂いが残るのが嫌だから、砂のトイレを用意したら自らすすんでそこでトイレをするようになる。爪をとぐ性質があるけど、壁よりは段ボールで作られた爪とぎのほうが気持ちいいみたいで、爪とぎを買っておけば壁ではとがなくなった。いろんなところに飛び乗って、物を落とすのが好きだから、飛び乗れる場所に小物は置かないようにした。植物もすぐ食べようとするので、家の中では育てないようにした。白い毛が服につくので、濃い色の服を買うのは避けた。冬は布団の中に入ってきて居場所を主張して人間がはみ出す羽目になって風邪ひくので掛布団のサイズをダブルにした。

などなど、挙げればきりがないけど、そんなふうに猫に合わせた生活を送ってきたという実績があるわたしは、猫を飼うように自分を飼えばいいんじゃないか、と、今朝ひらめいた。

ひらめいたのは、親指トラックボールマウスを使っていたときだった。3000円くらいで売っている、マウスにしては高いアイテムだけど、これはボール部分を親指でくるくるすればカーソルが動くので、マウスを持ってデスクの上をごしごし動かす必要がない。つまり、デスクの上が散らかっていても何ら問題がない。わたしにはとても快適だ。使うたびに幸せな気持ちになる。

あと今の家に引っ越した時に、デスクを普通より1.5倍広いものを買ったら、快適になった。資料も広げっぱなしでいける。机の4分の1を占めている箱にはとりあえずのものをぽんぽん放り込んでいるし、モニターも2つ置ける。快適だ。幸せだ。

そうだ、ほかにもわたしはこの部屋を快適にしてきた!と思い出した。パソコンのキーボードは小型なものに変えた。さっとよけたら、紙に書きこみ作業ができるから。本を積み上げておける棚と出窓がある。クローゼットはしわになる服やいっちょうらはつるしたりたたんだりしてしまっているけど、何しても大丈夫な普段着や部屋着は大きなスペースにまるめてつっこんでいる。

しつけるのをあきらめたら、別の対策が出てくる。もうここまで生きてきた性質は変えることができない。散らかしている自分にいらいらして、そのことを後ろめたく感じながら生き続けるよりも、どうしたら散らかす自分が快適に暮らせるかを考えて実行していったほうがいい。猫を飼うみたいに自分の性質を理解してそれに合わせて生活をカスタマイズしていけば、わたしはどんどん生きやすくなる。

あきれることもたくさんあるけれど、まあ、もう一生付き合うしかないので、自分の飼い方をマスターしていきたいなあと思います。

というわけで今は服がほしいです。面倒くさがりでもしわにならず、ダイエットがんばらなくてもそれなりにかっこよくちゃんとして見える服。わたしが合わせるんじゃない。服がわたしに合わせるのだ…!(※なかなか見つからない)

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京都在住の小説家です。医学博士(京都大学)です。理系ライターもやっています。 お仕事や活動履歴などはHPにあります。 https://kanchikuizumi.amebaownd.com/