書いて考える習慣を身につけよう

 書くという行為には様々な役割がありますが、わたしは次の四つの機能に注目しています。


①記録する
②自分と会話する
③考える
④伝える


 この四つのうち、①と④はなじみがありますよね。自分だけが読む日記やスケジュール帳や実験ノートなどは「①記録する」ために書きます。この文章やブログや記事などの多くは「④伝える」ための文章です。日常のひとりごとをつぶやくSNSは①と④の中間かもしれません。


 では、「②自分と会話する」や「③考える」はどうでしょうか。これは①や④と違って整った文章の形を想定していません。いろいろなやり方があると思いますが、わたしの場合は、メモ書きのような落書きのようなものです。罫線に沿って書かれたものではなく、白紙のいろいろな場所に書いたり、図を入れたり、丸で囲ったり線で結び付けたりします。ビジネス分野で行うブレインストーミングと呼ばれるものと似ていると思います。


 そんなことをしたことがないという人は、思い出してください。筆算しましたよね。計算の途中を紙に書き出して考えたことがあるはずです。そうすると暗算ではできない三桁×三桁の掛け算の答えも出すことができます。それを暗算でやろうとすると、わたしの場合は、せいぜい二桁×一桁くらいの掛け算しかできません。覚えていられないからです。


 文章を書くときも同じです。頭の中で考えたことだけを書いた文章は、二桁×一桁くらいの軽さしかありません。ですが、もっと複雑で深い気づきにたどり着くためには、頭で考えたことを一度紙の上に書き出して、それを足場にしてさらに深いところまで降りていくという作業が必要です。


 エッセイを書くときはまずは書きたいことを一度白紙に書き出してみることをおすすめします。文章で書くのではなく、箇条書きやメモ書きがおすすめです。要素ごとに塊で書いておくのです。そうすると読者に何を伝えなくてはいけないのかが見えてきます。どの順番で並べればわかりやすいかも考えることができます。それぞれのボリュームバランスも見ることができます。エッセイ全体として伝えたいことが見えてきたら、不必要なエピソードを削ることもあるかもしれません。大きめの付箋に書き出して並べ替えてもいいかもしれませんね。自分の気持ちも複数書き出してみましょう。書き出すうちに見えてくるものがあると思います。


 思いつくままだらだらと書いて終わり、では、人の心を動かす伝わる作品にはならないのです。口から出る言葉がすべて名言みたいな偉人・有名人レベルになればそれでもいいのですが、一般人のわたしたちは汗をかいてせっせと文章を高める努力をするしかないのです。 


 小説の書き方でも紹介していますが、三倍のボリュームを書いて三分の一に削るくらいのイメージでちょうどよい密度になると思います。何が必要で何が不必要かを真剣に悩むためにも、多めに書いてから文字数に合うように削るという方法はぜひエッセイでもやってみてください。

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京都在住の小説家です。医学(博士)です。理系ライターもやっています。

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