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自然体の謙虚さを身に着けたくて考えた結果

わたしが尊敬する人は、みんな謙虚だ。すごい人たちなのに自然体で、無理してる感じとか、嫌な感じが少しもしない。ちょこんと、きょとんと、ただそこにいる感じ。殺気を消している感。

そんなふうになりたいのに、最近のわたしは何だか傲慢で不遜で偉そうな嫌な感じだ。漫画とかで、主人公にやられる役で出てくる、ちょっと腕っぷしに自信がある下っ端のチンピラみたいに、オラオラしている。歳をとって経験が増えて、いろんなことができるようになって、そんなふうになってきた。これじゃダメだ、という本能的な危機感を覚えて、どうしたら自然体な謙虚になれるのか、ずっと考えている最近でしたが、ちょっと答えが見えたかも。

というのも、いま、SF小説の短編のコンクールに作品を応募していて、作品が公開されているのだけど(こちら)、いろんな人に読んでもらえて感想もらって、まあまあ好評で、嬉しくて、いい気になっていて(オラオラ)、だけど、締切3日前になって、読んでくれた人に指摘されてたくさん欠点が見つかった。応急処置で直せるようなものでもないので、このままいくことにしたのだけど、もし受賞しても自分の中では作品の欠点がわかっているから、調子に乗れるわけはないし、謙虚な気持ちでいられるのではないかと思った。「もし受賞したら」という想像がそもそも謙虚じゃないけれど、この思考実験によって、わたしは自然体の謙虚のヒントをつかんだのです…!

自分が足りていないところを理解していれば、誰になんと言われようと、傲慢になったり驕ったりしようがない。そして、さらに、その足りてないところを、自分へのダメ出しとしてではなくて、可能性であり伸びしろであるって考えるのも大事。ほら、よくいるじゃないですか。すごい人なのに、自分はまだまだって主張しすぎて、もっとまだまだなこっちはどうすればいいんだよ!って聞いててつらくなる方。あんなふうになっちゃうのは、たぶん、自分へのダメ出しになっているからじゃないかな。

足りてないところがあるのは当たり前だから落ち込む必要はない(これ、毎日100回くらい唱えたい)。伸びるかもしれないポイントを見つけるのは楽しいことだと思う。楽しいことだと思いたい。わたしはわたしを伸ばす自分育成ゲームを楽しんで、他人の目なんて関係なくなりたい。伸びるかもしれないポイントをどんどん見つけて、それにわくわくしていたら、オラオラしている暇もないし、そもそも他人が気にならなくなるからオラオラしたいと思わないし、自然体の達人の謙虚に近づけるような気がする。

まあ、理論上はそうなのだけど、誰かと比較しないってのが難しい。そこで思いついた。猫を愛するように、自分や他人を愛すればいいのではないか。猫は可愛い。美人な猫も、変な模様の猫も、太った猫も、子猫も、老いた猫も、飼い猫も、野良猫も、血統書つきもミックスも、すべて可愛い。それぞれにそれぞれの可愛さがあって、全部可愛い。だが自分が飼っている猫が一番可愛い。圧倒的に、世界一、可愛い。猫を飼ったことのある人なら、異論はあるまい。

自分の飼い猫をほかの猫と比べて、ここが駄目だなあとか、もっとこうだったらなあ…って思ったりしないし、よもやそれで落ち込んだりはしない。もちろん病気になってしんどそうだったら、治ってほしいけど、健康な別の猫と交換してあげようと言われても絶対断る。

なんかそういう精神でさ、誰かと比べる必要のない自分育成ゲームを楽しんでいけたらいいなと思う。傲慢になっているときは、「伸びるかもしれないポイント」を見つけられていないときだ。RPGゲームのダンジョンで宝箱を探すように、新しい場所へ冒険に出て探しにいけば、きっと人生という名前のゲームはもっと楽しくなるのだと思う。

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