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「役に立つ」を極めたら、人の心を動かすこともできるんじゃないだろうか

連休はフリーランスの働き時である。会社員のクライアントさんから連絡がこない。ウサギとカメの競争のように、今こそせっせと追いつかなくてはいけないのだ。だけど、何だか何日もあるから何でもできるような気がして、気持ちが大きくなり「連休明けに提出する」という約束が10本くらい重なっていて、しかも世間が休みなものだから気合もイマイチ入らず、ちょっと気を抜くと漫画を読んでいたりする。

・・・はっ!あと2日!しかも今日も明日も予備校の授業に行かねばならぬ!やだ!わたし予備校講師やめて執筆業に専念したらいいのに!というかライター業の仕事が山積みなのに小説の締切も迫ってて、小説かライターか、どっちか1本に絞ればいいのに!なんであれもこれもやってるんだ。超効率が悪い。もし1つに絞って徹底的に極めれば、もっとできるのに。

ああ、もうやだ全部やめたい。

と、謎の思考に陥ってしまって、わたし疲れてるな…これは病むな…と思ったので、紙に思考を書き出していった結果、新発見した!なのでこれはnoteに書き留めておかねばなるまい。モチベーションアップのために。迷いを消すために。

何を発見したかというと、わたしの中には「誰かの役に立ちたい」と「誰かの心を動かしたい」という欲求があるなあということ。後者はどういうものかというと、純文学作家とかになって芥川賞とかとって、ザ・アーティストって感じで、「読んで人生変わりました!」みたいな感じ。もっと平たく言うと「この人は唯一無二!この世にいてくれてよかった!すげー」って言われるような人に憧れてるんだなあ…。その気持ちのせいで、わたしには向いていない純文学の文学賞に出さなきゃって思ってて、それが通らないと自分はダメだ・・・と思いこませているんだなあ。

今、役に立つ部門では、小説家で博士で理系の難しいことを分かりやすく伝えられる超ニッチな「役に立つ人」になれたのに、満足できなくて自信をなくしている。

かといって、表現したいことや、書かなきゃいけないこととか、唯一無二の主張とかがあるかと言えば何にもない。ないのに、何かやらなきゃと、もがいていて、それも苦しい。

唯一無二の存在感とか、多くの人の心を動かす独創性とか、人に伝えなきゃいけない切実な想いとか、あったらとっくにやってる。もう41年、世間に中にすとんとおさまって特に違和感もなく過ごしてきたわたしは、生きづらさを抱えながら唯一無二の存在感を放って人々の心を大きく動かすようなアーティストではないことは判明している。これは環境と資質の問題だ。

がっかりした気持ちになって初めて、わたしは、「役に立つ」ことを「心を動かす」ことよりも下に見ていた自分に気がついた。誰かの作った役に立つもので溢れていて、誰かの仕事に助けられて生きているというのに。わたしを幸せを作っている人は無数の「役に立つ」仕事なのに。それに気づいたとき、ちょっと自分が恥ずかしかった。何回も何回も気づいた、気づいた、とこのnoteにも書きながら、まだわたしは、人からちやほやされて、すごいと思われたがっている。

ちやほやされたいというのは、わたしの原動力かもしれない。小さいときから人からすごいと言われそうな目立つ職業に憧れた。音痴なのに歌手になりたいって言ってみたり、アナウンサーになりたいって言ってみたり。中学生のときに、わたしの書いた小説を読んだ友達が「小説家になったら?」と言ったとき、わたしは「すごいと言われそうな目立つ職業」を見つけた。以来、小説家を目指し続けてきた。京大に入りたくて勉強したのも、すごいって言われたかったからだと思う。がんばって勉強したことと、小説を書き続けてきたことが、今のわたしを助けてくれている。

だから、その浅はかな動機を否定はしない。その代わり、わたしに言いたい。たぶん芸術とか純文学とかザ・アーティストみたいな細く険しい道を資質のある人たちの背中を見ながら追いかけて目指しても、すごいと言われる人にはなれないよ。

そうじゃなくて、わたしは「役に立つ」を極めた方が、すごいと言われる人になれる確率が高いんじゃないだろうか。わたしの複数のスキルが混ぜ合わさって、依頼者の願いをこれまでにない方法でかなえることができるかもしれない。もしかしたら、今までにない新しい文章ジャンルが生まれるかもしれない。小説の新しい可能性が広がるかもしれない。科学好きが増えるかもしれない。

何より、わたし、好きなんですね。誰かの願いをかなえる方法を模索して、オーダーメイドでかなえるのが。これはもう動かしようのない事実・・・。

えっと、まあ、それでどうするのって話だけども、とりあえず、既存の小説の評価基準や、一般的な小説家のイメージや賞にこだわらずに生きて行こうと思いました。道なき道を行くのです。usefulなものを生み出していくうちにたどり着く場所を見てみたいと思います。

写真は植木鉢から勝手に生えてきたムラサキカタバミ。花が咲いた。

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