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寒竹泉美
2020年9月1日 22:57
一、 その日は、ひどく疲れていた。頭が痛くて、眼球の奥に穴が空いたように目が乾いていた。一晩眠れば戻るというような健康的な疲れじゃない。僕がそのとき抱えていたのは、もうこれ以上何かを体に入れると破裂してしまいそうな暴力的な疲労だった。息を吐くと自分がばらばらになってしまいそうだった。 誓って言うけど、アルコールなんて一滴も飲んでなかったんだ。 とにかく家に帰りつかなくてはと、僕はタクシー