
本屋で知らない人にいきなり話しかけられたときの話。
日々スマホでNewspicsを見たり、PCでGoogle Chromeから検索したりと、デジタル情報を入力する機会には事欠かない。しかし、ただの情報よりも、人から聞いた話よりも、実体験のインパクトのほうがよほど凄まじいものだと今強く思う。
昨日、紀伊国屋書店で「嶋浩一郎のアイデアの作り方」を買おうかどうか迷っていた。昔Kindle版で買って読んだことがあったし、ノート術的にはとても参考になった「超ノート術」(佐藤ねじ著)も、本書を参考にしていたらしい。
しかし、Kindle本って、なんだか質感がないので、いい本はよりちゃんと読み取るために紙の本でも買っている。紙の本でも買うべきか否か、と吟味していたのだが、そのとき、いきなり誰かに話しかけられた。
「すみません、おすすめの本とかってありますか?」
背の高い男性だった。本屋で知らない人に話しかけられたのは始めてで、思わず気が動転した。え?本屋で人に話しかけられるとかあるの?有名人じゃあるまいし。
海外だと「もしかしてニホンジン?大阪行ったことアルネ!」みたく話しかけられることはたまにあるのだけど。
おそるおそるお気に入りのノート術本をおすすめしつつ、世間話を10分くらいした。なんだか驚くほど自然に話が進んでいくので、この人はとてつもなくコミュ力が高い方なのか、はたまたとても変わった人なのか。ただ、あまりに突然のことで頭がうまく働かなかった。
「本屋で知らない人に話かけるとか、よくするんですか?」。そう聞いたぼくに、彼は「結構ありますよ。地元が田舎なんで、田舎の本屋だとよくありましたね。友達にも、本屋で知り合った人いますし。」
LINEのアカウント交換しません?と言われた。飲みにでもいきましょう、と。そして最後には彼はぼくの隣から去り、おすすめした本も平積みされていた場所に置いて帰った。
一通り終わったあと、思った。久々に価値観をぶっ壊されたな、と。これが価値観ぶっ壊される体験か...と半分放心状態だった。
が、その後LINEで連れに、一連の事件の様相を伝えると意外な答えが返ってきた。
「それ、マルチの勧誘とかだから。あたしも本屋でおすすめの本聞かれたことあるけど」
え!!!!そうだったの・・・。正直日本に帰ってきて、一番の衝撃だった。もちろん、未だ真相は定かではないのだけど、たしかに彼の話の焦点は「飲みにいくこと」にあった。
実際、話の流れとして、おすすめの本を聞きたいのではなく、アポをとることだった。と振り返って改めて思った。
よくよく考えてみれば、知らない人に声をかけるとき、それは大抵が利害が生じるなにかの理由だろう。
道を聞きたい、ナンパをしたい、名刺交換をして会社訪問・商品を売りたい...彼もぼくに話しかけてきたということは、なにかの利害関係を想定していたはずだ。
海外に住んでいたとき、「知らない人にはついていかないが原則」と考えていた。日本でだって変わらないはずなのに、なんだかそれも忘れてしまうほどに、平和ボケしているのかもしれない。
* * *
実はツレがそういう目に遭っていたことは、以前話に聞いていたことがあった。「そんなのありえない、マルチでしょ」くらいに返答していたのだが、自分で体験してみると、これほどまでの驚きと衝撃があるのか・・・と後ずさりした。
人から聞く話と、自分の実体験だとここまで情報量が違うのだな、と。とても勉強になった。ネットや情報収集で満足するのではなく、自分で体験しにかかることを、もっと大事にしようと思いました。
いやはや、ほんとうにびっくりした...。
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