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ambrが心配な件

前提

ambr(アンバー)とは国産VRSNSである。2019年にα版がスタートし、2019年後半から長期メンテナンスを経て、2020年5月待望のオープンβ版が始まった。しかし、β開始から一週間が経とうとしているが「これは、やばいのでは?」という心配をしている。もしもサービス終了なんてことになったら辛くて生きていけない。
心配事について話す前に、まずは「VR」と「VRのSNS」について認識を共有する。VR機器にかける金額はユーザーによって異なる。廉価な「Oculus Go」(2万円〜)は購入しやすいものの、コンテンツ数は多くはない。「Oculus Quest」(5万円〜)はPC不要な割には遊べるコンテンツ数が多い。他は基本的にPCが必要になるため、初期費用の累計は20万を軽く超える。高価な分、制限なく遊べるメリットがある。

VR機器のスペックについてはここの図がわかりやすい。
https://vr-game.pw/blog/vr-cost-quality/

次にVRSNSについて認識を共有する。多くのスマホユーザーがゲームだけではなくSNSで遊ぶように、多くのVRユーザーもゲームだけでなくSNSで遊びたいのである(VRのゲームは基本有料で、コスパが悪いので尚更である)

VRのSNS世界は非常に魅力的で、既存のSNSとは全く異なる。TwitterやFacebookはテキストを、Instagramでは写真を、TikTokでは動画を用いて情報をやり取りしてきた。SNSはリアルタイムを追求し進化している。

VRのSNSでは3Dモデルのアバターを着用し、リアルタイムでコミュニケーションを取る。常に通話がかかっているような状態であり、身振り手振りも伝わるため、極めてリアルタイムなやり取りが可能になる。その分、非常に高い処理能力を要求され、ほとんどのVRSNSはOculus Quest以上のVR機器しか対応していない。最大手VRSNS「VRChat」が代表例だ。ライトユーザー層が多いOculus Goのユーザーには利用可能なVRSNSはない。

(※Oculus GoではAltspaceVRやGalaxityが利用可能であるが、日本人を観測したことはない。また、PCではVRChatが遊べるし、スマホではRecRoomやClusterが遊べるが、当然没入感はない。あくまで試してみたい人向け。)

2019年、ambrはライトユーザー層にとって唯一遊べるVRSNSとして君臨した。日本人がOculus Goで遊べる唯一のVRSNSであった。魅力的な世界観やドラゴン討伐など、他のVRSNSにはなかった魅力があった(らしい)。そして、オープンβが開始した現在…僕たちライトユーザー層もついにVRSNSの世界に入り浸ることができ、日の目を見ることができると思われた。β開始初日は話題を聞きつけた人たちで溢れかえり、これからはじまるVRSNS世界に期待し、胸を踊らせた。Oculus Go以外のVR機器にも対応したことで、人がたくさん来るのだと…そう思っていたのであった。

↓自販機や公衆電話の私

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期待された機能の未実装、厳しい制限、多数の不具合、そして過疎った

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↑天井にめり込むユーザーと驚くユーザー

β版は未実装、制限事項が厳しく、不具合のオンパレードであった。そして、その多くは実装・修正に至っていない。例を以下に挙げる。

未実装
・フレンド登録機能
・ドラゴン討伐等のイベント
・課金システム
・自撮りができない

制限事項
・PM8時からAM2時までしか遊べない
・9人以上が入れる部屋の作成はできない
・アバターの制限が極めて厳しく、利用可能なアバターは少ない

不具合
・ミュートにしても音が聞こえる
・Oculus Goだとアバターの首があらぬ方向に曲がる
・ログアウトできない
・使えるはずのアバターが表示されない

代表的な事例を挙げたが、もうすごい。フレンド機能がないということはSNSなのに一期一会なのである。Twitterで言うとフォロー機能がない状態。

未実装のものが多くて、アルファ版ではあった魅力無くなった(らしい)。不具合が多く、制限事項が厳しすぎたために、ヘビーユーザーにambrをやるメリットはなかった。新規ユーザーの多くはVRChatやClusterに消えていった。そしてログアウトできないことで「リアル版ソードアート・オンライン(笑)」と言われた。

既存ユーザーも期待していた機能がなかったことで徐々にフェードアウトしていくのがわかった。悲しいことにVRChatで「ambrオープン記念飲み会」が行われた。20人を超える参加者がいたらしい。同時刻、ambrには私含めて5人しかログインしていなかった。

肝心のOculus Goでのプレイはバッテリーが1時間も持たなかったり、充電しながらだと発熱で30分で機器が落ちてしまうこともあり、新規のライトユーザー層の獲得も困難であった。私も扇風機を利用しながら充電しなければ長時間利用できないのだ。

扇風機勢は私だけではないらしい…
https://twitter.com/noenoteen/status/1264873355808653312?s=20

最後に

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↑写真の共有や飲食をしている写真

多くのユーザーは語った「Oculus Goに引っ張られている」と。Oculus Goの処理能力に合わせる必要があるせいで、制限が厳しくて他のVRSNSを遊んできたVR機器ユーザーには満足できないということだ。ライトユーザー層はVRSNSから失せるべきなのか……1時間でバッテリーの限界が来て、充電しながらだと30分で発熱の限界が来るOculus GoでVRSNSをやるべきではないのかもしれない。

VR空間でお話したり、食事をしたり、写真を撮って共有したり、アバターを見せたりする体験は非常に面白く、有意義なものである。ambrの可能性は無限だと思うし、僕はambrが好きだ。

ただ、多くのユーザーを獲得するには足りないものが多いのかもしれない。そのためにOculus Goを切るべきだったのかもしれない。既にVRChatやClusterで制限なくアクティブしているユーザーよりも、PSVRユーザーを捕まえたほうがよかったのかもしれない。食事よりもアルファ版に存在していた機能の実装が優先だったのかもしれない。そもそも、β版を出す時期をもっと遅らせるべきだったのかもしれない(ご時世ってのはあるけど)

2020年後半から更にVRSNS世界の競争は加速する。最大手のVRChat、スマホ対応によって勢力を伸ばすClusterとRecRoom、そろそろ始まるFacebook Horizon……後発組VRSNSのambrにはさらなる進化を期待している。

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