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デザイナーが解説するNYのフォント・トレンド2019

NYでグラフィックデザイナーをしているKanaです。2019年も残すところあと1ヶ月となったので、私が思う今年のNYのデザイントレンドを、フォントというアプローチで振り返ります。サクサク5分で読めます。


シンプル・シンプル・シンプル!サンセリフロゴ

サンセリフとは、フォントの大まかなカテゴリのこと。文字の先端に飾りがあるのがセリフ、ないのがサンセリフである。VOGUEがセリフ、CHANELがサンセリフのロゴだと思っていただければわかりやすい。ここ数年、かなりのブランドがロゴをリニューアルしてセリフに変えており、2019年もこのトレンドは続いている。IT系やスタートアップがサンセリフ、ファッションはセリフのロゴというのが定番だったが、2019年は企業カテゴリよりもブランドイメージやターゲットによってロゴフォントを選ぶようになった。

サンセリフの良いところは、フレンドリーでモダン、かつ汎用性が高いところにある。上の写真のように商品に印刷したり、アニメーションを作ったりする際にも、ある程度太さがある方が作りやすい。様々な技術革新が進む2019年、サンセリフロゴの汎用性の高さはデザインの可能性を大きく開く。


70年代風ヴィンテージが新鮮なスラブセリフ

スラブセリフとはセリフとサンセリフの中間で、セリフの先端があるものの太めに残してあるものだ。70年代風のヴィンテージ感が出せると近年人気を盛り返してきた。NYのヨーグルトブームの先駆けとなったChobaniというヨーグルトメーカーも、ロゴをサンセリフからスラブセリフに一新した。このロゴは、ヨーグルトという毎日食べる身近な食品をカジュアルポップに仕上げ、かつスーパーの棚で目立たせるという役割を存分に果たしている。

スラブセリフはセリフのデコラティブでインパクトのあるところと、サンセリフの汎用性(印刷やアニメーションなど)の良いところを持ち合わせたロゴと言える。かなりトレンド感のあるフォントなので、スラブセリフの中でも長期的に使える字体を選ぶ手腕が問われるところだろう。


遊び心とおしゃれ感で魅せるハイコントラスト

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こうやって書いていくと、セリフはもう時代遅れ?と思われるかもしれないがそんなことはない。ハイコントラストという、線の太い部分と細い部分の差が大きいタイプのセリフが脚光を浴びている。

時価総額1200億円を超えるモンスターコスメブランドGlossierのセカンドラインPlayで使われているのがこのハイコントラストである。このフォントは、フォント自体がとてもインパクトがあって文字だけでおしゃれ感が出せる。長い文章を表示するには向かないが(ごちゃごちゃして読みにくい)ロゴにはぴったりである。演出次第でモダンにもヴィンテージ風にも転ぶことができる。Glossier PlayはベーシックなGlossierのデイリーメイクに「非日常を添える」ラインなので、ハイコントラストのインパクトと遊び心はぴったりのフォントである。


異素材を組み合わせて楽しむミックス・タイプ(フォント)

最近のフォントの使い方でトレンドとなっているのが、セリフとサンセリフを混ぜて使うミックス・タイプ(フォント)と呼ばれる手法である。ロゴがセリフであればサンセリフ、ロゴがサンセリフであればセリフをテキスト書体(長い文章)に使用することで強弱をつける。

不動産テックのスタートアップ企業Compassは、スタートアップとは言ってもNYの数億円規模の不動産を取り扱う企業である(上記インスタグラム)。モダンなサンセリフのロゴに、ポイントでセリフを組み合わせてラグジュアリーにも応用が効くようにしたブランディングはターゲットや商品価値とマッチしているのではないだろうか。

このミックス・タイプの手法はファッション雑誌などから始まり、今やほとんどの会社でロゴタイプ、ヘッドライン(タイトル用)、テキスト(本文用)の3つを合わせてブランディングするのが定番となっている。(個人的に、このフォントを組み合わせる作業がデザインの仕事の中で一番好きなところです。)


*通常デザイナーは文字について話すときにタイプフェイスという言葉を使いますが、日本では「フォント」が浸透しているので今回はフォントを使いました。

NYのアートディレクション・トレンドついてのnoteはこちらから読めます!

Photo courtesy: Glossier




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30歳でNYのParsons School of Designに留学。卒業後はNYの現地企業に就職し、美容業界でグラフィックデザイナー。留学から現地就職、デザイン、美容ウェルネスのトレンドをnoteにまとめています。
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