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オンラインゲームで美少女活動を10年続けた僕の話

--追記--
この記事が話題になりテレビ取材(TOKYO MX 5時に夢中!)を受けました


始まりは、焼きそばパンを売る少年だった。
僕のパンは飛ぶように売れ、いつしか行列ができるようになった。

やがて少年は、たくましいオークに成長する。その後、美少女海賊へと転生し、学園のアイドルとなって、本物の雑誌の読者モデルになり、最後は天使が光臨するお話である。

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2000年代の初頭。
世の中がITバブルにわいた時代に、日本にオンラインゲームの波が訪れた。

初めてやったオンラインゲームで僕は、見習いパン職人になった。
焼きそばパンをひたすら作って、激安で売った。そのゲームで料理はMPを回復するアイテムで、どこでも食べられる焼きそばパンはゲーム内で活動するのに必須だった。作るには一定のコストがかかるが、それを僕は、利益をほとんどのせず、激安で売ったのだ。これが評判を呼び、大変な売れ行きで、最終的には僕が道端で座っただけで、行列ができた。みんなから、

「焼きそばパンを売る少年。ありがとうよ」

と声を掛けられる。
楽しかった。友達もたくさんできた。
ゲームの中の焼きそばパンで、そんなに感謝して頂けるとは思わなかった。しかし、採算度外視の焼きそばパン作りに疲弊してしまった僕は、他のゲームに移動する。

次のゲーム(リネージュ2)では、屈強なオークの戦士になった。

そのゲームでは、スマートな騎士とか、美しいエルフを選んでプレイする人が多かったが、あえて、筋骨隆々なオークを選ぶ方々は、ユニークで、さらにマイノリティなため、やたら結束が強かった。オークによる、オークのための祭典。通称オーク祭りを覚えている方も多いのではないだろうか。

昼間は、ひ弱なサラリーマンの僕も、ゲームにINすると、「よぉ兄弟!元気か?」と陽気に声をかけられる。合言葉は「デジャカル パアグリオ!」(オーク族の挨拶)だ。日常生活において、見知らぬ人から「兄弟、姉御」と言われることは、まず無いだろう。もし言われたらビックリだ。しかしゲームの世界では、それが当たり前なのだ。

オークの兄弟生活も面白かったが、ある日、
7つの海を巡る面白そうなゲームを発見してしまった。

大航海時代Online。ロマンあふれる名前だった。調べると、海賊にもなれるとの事。別に、本当の海賊行為(PK)をしなくてもよい。私は海賊ですと「自称」すれば、それで誰でも海賊になれる。

僕は妄想した。
この世界で最も小さい船「バルシャ船」で、巨大な商船に対し、

「そこの船、停泊せよ。命が惜しければ積み荷を少し、よこしなさい」

こんなセリフを言ってみたかった。きっと、うける。
実行するにあたり、むやみに相手を怯えさせないために、ちびっ子美少女をキャラメイク。ちびっ子が、あきらかに強そうな大人に対し、独特な口調で、海賊行為をする。そんなちょっとドキドキする遊びをしてみたかった。

ついでに、当時流行していたネットで生放送を試みる。
世界初『美少女海賊系Vtuber』の誕生である。中の人などいない。

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航海中は時折災害がおこるが基本暇である。たまに海賊に出会うのもイベントの一つなのだ。実際に一般プレイヤーを襲ってみると、皆さんだいぶノリがよく、「ヒィ~!お助けを~!」とか言ってくれて、本当に積み荷を分けてくださったが、僕の船が小さすぎて、積載量がオーバーで受け取る事が出来ないという事案が多発。他にも「船が小さくて大変そうだから、船まるごとあげる」という、とんでもない豪商もいらしたのだが、海賊とはいえ、さすがに申し訳なく、丁重にお断りをした。

僕の美少女海賊生活は、なかなか充実したものだった。

しかし、ここで一つの問題が浮かび上がる。
美少女活動は面白いが、僕の事をリアルも美少女と勘違いされると、大変まずい。だが、希望も与えたいので、自分の中でルールを作った。

『美少女ロールプレイ 五箇条』
① とても丁寧な言葉(お嬢様ことば)を使いこなす
② 高価なアイテムを安易にもらってはいけない
③ 恋愛感情をもてあそんではいけない
④ ボイスチャットはしない。文字入力で対応する
⑤ 中の人の性別・年齢を疑われても、とぼける

特に③は、美少女を演じるうえで大変重要で、これを厳守せねば、とんだトラブルに巻き込まれてしまい、ゲームを楽しめなくなってしまう。

また、⑤に関しては、なぜか頻繁に聞かれるが、本当の事を言ってしまうと、みんなの夢が崩れてしまうので「JKです」と、つらぬき通した。
※JKが女子高生の略とは言っていない

放送回数が増えるにつれ、JKも板につき、僕の美少女生活は充実していく。そんな折、さらなる美少女をメイキング出来るゲームが出てきた。

こんどのゲーム(タワーオブアイオン)は「天使vs悪魔」の物語。決して、ビックリマンチョコではない。かなり、細かいキャラメイクが出来るのが特徴だった。

さっそくキャラメイク。満足のいく美少女ができあがった。
美少女であり、アイドルであり、JKなのである。完璧だ!

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そして、アイドルっぽい活動(みんなを癒す)をしていく。
さらに、このゲームは商業雑誌も作っており、何回か投稿していたら、本当に載ってしまい、まさかの読者モデルとしてデビューをはたした。

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森ガールであり、読モである。完璧すぎる!

かなり、いい感じに楽しんでいたのだが、このゲームは大変アクション性が高いゲームで、生放送でチャットに答えながら遊んでいたら、ある日の動画コメントで「大変へたくそですね♪」と言われてしまい、僕のアイドル人生はここまでかと感じ、静かにマイクを置くことにした......。

その一方、美少女の裏でこっそり「おじいちゃんキャラ」も作って遊んでいた。特にクリスマスになると、なぜか引っ張りだこになり大活躍する。

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そんな、大変面白かったこのゲームの会社(NCソフト)が新作を発表した。

舞台は、アジアンテイストのファンタジーゲーム
前作をしのぐ、キャラメイクのこだわりのある作りで、多彩なキャラクターが作れるゲーム(ブレイドアンドソウル)である。

僕はもちろん、このゲームでも美少女キャラを作った。

学園アイドル_01

完璧な学園のアイドルが生まれてしまった!恐るべきテクノロジーの進化である!
これは、上記の『美少女ロールプレイ 五箇条』をきっちり守っていかないと、大火傷をしてしまうと容易に想像がつく。心して遊ぶことにする。

このキャラでアイドル活動をしていたある日、ライバルが登場した。
なんと、プリンセス活動(姫キャラ)をしている方と遭遇したのである。

話を聞くと、かなり年季の入っている雰囲気がプンプンする。キャラ設定も、僕が北欧生まれの貴族の令嬢ならば、その方は、落ちぶれた王国のお姫様で、国を復興するために頑張っているという話をしてくれた。
さらに、その高貴なお方は、LINEスタンプまで作って販売し、日夜、お家再興を目指しているとのこと。ものすごい強者だ。

同じ志で、頑張っている仲間がいる。勇気をもらった。

そんな時、
裏で活動していた「おじいちゃんキャラ」にスポットがあたりだす。

みんなと無邪気に遊んでいたら、おじいちゃんの周辺に、よい子達が集まりだしてきた。調子に乗って、普段の活動を面白おかしく書いた記事をゲーム内のコミュニティ掲示板に投稿した。季節は8月、夏っぽい感じで。

ぶめぱん

ゲーム内のよい子たちから、たくさんの応援メッセージを頂いた。
また、公式イベントにも積極的に参加していく。

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「おじいちゃんが、こんな事をするなんて...。」というインパクトが抜群だったようで、まさかの賞を頂いてしまった

おじいちゃんを演じるうえで大事な事をここに記しておく。

『人気者になれる バーチャルおじいちゃん 五箇条』
① たくましく、力強いキャラメイクで安心感をあたえる
② セクハラ発言をしてはならない
③ 時々、おもしろい衣装をきる
(衣装と裏腹に、とても丁寧な言葉、紳士的なふるまいをする) 
④ むらがる子供達と楽しく遊ぶ
⑤ サンタのコスプレが似合う【最重要項目】

おじいちゃんは、恋愛トラブルに巻き込まれる心配がない。健全で安全なキャラだ。

また、⑤は最重要項目である。なぜならば、どんなオンラインゲームにも「クリスマスイベント」が必ずあるのだ。サンタの衣装が似合うだけで、毎年こども達からモテモテだ。加えてちょっとした「鳥料理」でも配布すれば、完璧である。

「よい子のみんな!メリークリスマス!」

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そんな事をしていたら、ゲーム内のフレンドがいつの間にか500人を超えていた。あまりに多くて、このままだと、誰が誰だかわからなくなってしまいそうになるため、一人づつ、出会ったエピソードをメモ書きして、台帳管理をする。

現実の僕がお客様と名刺交換した際は、名刺の裏にコメントと日付を書くようにしているのだが、この癖が役に立った。リアルで役に立つことは、ネットの世界でも役に立つ。みんなもドンドン使った方が良いぞ!

そんな僕は最近、JKから大天使にランクアップした。

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天使は、普通の人には見えない。なので、僕を見てリアクションをする人と出会ったら言うセリフがこれだ。

「君には、天使(私)が見えるのか!?心が清らかな証拠だ」

こういう遊びをしている。意外にみんな引かずに相手をしてくださり、こちらも楽しませてもらっている。そして天使プレイも、徐々に板についてきた。このまま継続していきたいと考える。

オンラインゲームは、世間的にはまだまだプレイ人口が少なく、そして敷居が高いせいか、悪い側面を話題にされがちだが、そんな事は決してない。ゲームでの出会いも、リアルでの出会いも同じだ。人を尊重し、楽しく過ごすことが大切なのである。

顔も名前も分からずとも、築かれていく信頼関係がある。何年も続けていられるゲームの世界だからこそ、そう強く感じる。
例えばゲームで出会った人とこんな事があった。

・大震災で物資が不足していた際「なんでも送るよ」と言ってくれた
(その方とは、今もずっと年賀状のやり取りをしている)
・病気になった父親の介護の相談を親身にうけてくれた
(自宅の間取り改造のため、設計図面など)
・ITトラブルの相談を受けたので、アドバイスをし復旧した
・仕事上の悩み相談をうけ、対策を一緒に考えた
・手作りの「いのしし肉ベーコン」を送ってもらった
・当時貴重で手に入り辛かった「獺祭」を酒蔵で代わりに購入してもらった

これは、ゲームの話でなく、リアルの話だ。
他にもゲーム内の友達が、eスポーツの世界大会に出て、賞金を獲得したこともあった。国内大会を見学に行き、優勝した時は本当に嬉しかった。ゲームの解説者になった人もいる。結婚した人も何人も知っている。

僕はこれからも学園のアイドルとして活動し、
バーチャルおじいちゃんとして老後も楽しむつもりだ。
この世界には、無限の可能性がある。
みんなにも、この楽しさを、ぜひ共有したい。

今、世界中が変わりつつある。

自宅にいながら様々な人と関わり、最高の時間を過ごすことができる。
オンラインゲームの未来は、これから先もきっと明るいはずだ。

GO!GO!バーチャルおじいちゃん!

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続編を書きました。

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📣ニュース📣
美少女活動を10年やっていたらテレビに出ちゃいました🥳

2021年4月8日「TOKYOMX 5時に夢中!」

※世の情勢をかんがみて、本記事のタイトルを変更しました。

かなった

ブレイドアンドソウルはアニメにもなっております!
人気声優の「悠木碧」さんや「チョー」さんも出演しています。
もちろん、ゲーム内ボイスも担当されています!

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